宿幼決戦編 十六章 屈強で不屈の乙女
一方、ドロシーは直上して逃亡を図っていた。
「クソ!燦水天狐め・・・!!」
ドロシーは直上しながら叫んだ。
その瞬間、ドロシーの陽光の槍が腹部を貫通した。
「命中!」
アイリアは上空を見てそう言った。
落下地点に向かって走るオレンジたちを見たミッケは全力で走りながら大業物明乃白隼を握って鞘から抜いた。
「・・・あぁ・・・アァァァァァァァァ!!!!」
目を見開いたドロシーは空に手を伸ばしながら叫んだ。
「ヌワァァァァァァァァ!!!!」
ドロシーは叫びながら屋根に墜落し、屋根から転がり落ちた。
(結晶で・・・結晶で膜を作り出すんだッ!!)
ドロシーは結晶化し始めた。
しかし、結晶化するより先に心炎に包まれた大業物心宮がドロシーの首を斬った。
「斬った!!」
業物二頭水龍を振ったアージヴァイズは広がる心炎を見て笑みながら言った。
大業物明乃白隼を握ったミッケはオレンジを引っ張って投げ飛ばした。
「神技、鞭嵐」
ドロシーの頭が笑みながらそう言うと、ドロシーの体から大量の触手が出てきた。
大量の触手は赤黒い稲妻を放ちながら暴れ、辺りの建物を全て粉々に破壊した。
瓦礫が遥か上空まで飛び上がり、土煙が辺りを包む。
「・・・!!」
アージヴァイズは目を覚ますと同時に飛び起き、周りを見た。
すぐ近くにはカエデと紅葉が立っていた。
「・・・元連合総長・・・」
アージヴァイズはカエデを見てそう呟いた。
「そうだ!!みんなは!!」
アージヴァイズはそう言いながら起き上がった。
「生きている」
カエデは黒い革手袋をはめながらそう言った。
「・・・そうか・・・」
アージヴァイズはカエデを見て安堵しながらそう言った。
アージヴァイズはカエデについていった。
「梨々香たちは大陸南部に居るから来れない。剣帝世旅 紅葉が対処に当たったけど、他の魔塊眷属とは何か違うみたいで倒すまではいかなかった」
カエデはアージヴァイズを見てそう言った。
アージヴァイズはオレンジたちと合流し、周りの調査を始めた。
「ミッケと部隊長たちのおかげで犠牲者はいない。ミッケがいなければ犠牲者は何十万人にもなってた・・・」
オレンジはアージヴァイズたちを見てそう言った。
烏輪の勇者代理であるミッケの一声で多くの部隊が動き、驚きの速さで住民の避難が終わった。
その結果、犠牲者は一人も出なかった。
「魔塊とまではいかないけど、私たちがどうにかできる相手じゃなさそうだね・・・」
エコーはオレンジを見てそう言った。
「神軍幹部にも頼れそうにない・・・ミッケも負傷して戦線には出られない」
オレンジはアージヴァイズたちを見てそう言った。
「何とかでれるよ」
右足が欠損し、左目に包帯を巻いたミッケはオレンジを見てそう言った。
「ば、バカ言えよ!そんな状態で戦えるもんか!」
眉を顰めたアージヴァイズはミッケを見てそう言った。
「ミッケ、私たちを信用して」
オレンジはミッケを見てそう言った
「信用はなんでも越えられる便利なものじゃない」
ミッケは大業物明乃白隼を地面に突きながら歩き、そう言った。
「・・・お前・・・そんな状態じゃ・・・」
眉を顰めたアージヴァイズはミッケを見て悔しそうに言った。
「アージヴァイズたちは負傷したらそれまで。生きていても、うちみたいに気楽になんて生きていけない」
ミッケはアージヴァイズたちを見てそう言った。
「うちに任せるにゃ」
ミッケはアージヴァイズたちを見て笑みながら言った。
「・・・クソ・・・あの小娘ッ・・・」
怒筋を浮かべたドロシーは再生しない傷を見て怒りが籠った声でそう言った。
「人でも良い・・・人でも良いから食わなければ・・・」
怒筋を浮かべたドロシーは窓から外を見た。




