宿幼決戦編 十五章 恐怖の信号、頭不明 000.000.00000
同年、三月三十日。
中央隊はドロシーを捜索するも、まったく見つからないまま被害が増えていった。
ドロシーは天陽札を張っている家屋を狙って神と人を殺して捕食している。
そんな中、アイリアが休暇から戻って来た。
アイリアが戻って来た中央隊はドロシー討伐作戦を本格化させることに。
「最近は燦水天狐族まで襲撃され、命を落としています」
ローランは中央隊のメンバーを見てそう言った。
「ここまで酷いと陛下に頼るのが賢明だと思うよ」
アイリアはローランを見てそう言った。
「それが・・・陛下に討伐要請を送ろうとしたところ、白狐 真白に不自然な動きがありました」
ローランはアイリアを見てそう言った。
「ここにきて裏切り者か・・・」
アージヴァイズはローランを見てそう言った。
「碌な奴じゃないな」
エコーはローランを見てそう言った。
「本当に内通者がいるなら、幹部がもう動いてる」
アイリアは背もたれにもたれながら言った。
「幹部が陛下と行動してるってことは、そいつはもうここから離れたのか?」
アージヴァイズはアイリアを見てそう言った。
「まぁ、慎重な奴なんだろうね」
アイリアはアージヴァイズを見て笑みながら言った。
「ということは・・・ドロシーはやっぱり私たちだけで倒さなきゃか・・・」
エコーはオレンジたちを見てそう言った。
「ミッケが一緒に出撃してくれるみたいだから、ミッケに頼る」
オレンジはエコーを見てそう言った。
「マジ!?良かった~」
エコーは嬉しそうに言った。
同年、三月三十一日。
巡回に出たミッケたちは周りを警戒しながら話をしていた。
「どうして天陽札を目印にしているのかが不思議だ。というか、効果ないの?」
オレンジは家屋の出入り口の上に貼られたお札を見てそう言った。
「天陽札は年に一度開催される神国祭の時にしかもらえない」
ミッケは周りを見ながら言った。
「うん、そんなこと誰でも知ってる」
オレンジはミッケを見てそう言った。
「その祭りに参加できる人は世界で二十人。天陽札を貰えるのは一人一枚。つまり、一年に出回るのは二十枚だ」
「ほとんど偽物ってわけか」
アージヴァイズは周りを見ながら言った。
「でも、どこに居るんだろうね・・・もしかして、昼間はミリアの外に居るのかな」
オレンジは周りを見ながら言った。
「奴はミリアから出ない。神気が薄くなっているこの辺に居る。住人を人質にして戦う気だったんだろう」
ミッケは玄関の引き戸が少し開いた家屋を見てそう言った。
「なるほどね」
足を止めたエコーは玄関の引き戸が少し開いた家屋を見てそう言った。
その瞬間、屋根を突き破り、ドロシーが出てきた。
「ウギャァァァァ!!!!」
液状闇塗れのドロシーは叫びながら空を飛んで、逃げた。
「逃げるんじゃねぇ!!このクソ雑魚ナメクジ!!」
叫び声が聞こえたその瞬間、家屋の中から三本の刀を帯締めに差し、一本の大太刀を手に持った黒眼、黒髪ツインテール。丈が短い緑色の着物で身を包んだ色白な肌の乙女、世旅 紅葉が屋根の穴から屋根によじ登った。
「なぁ!追わねぇの!?」
アージヴァイズはタブレット端末を起動させるミッケを見てそう言った。
「追ってるよ」
ミッケはタブレット端末を見ながらそう言った。
「行こう!」
オレンジはアージヴァイズたちを見てそう言うと、ジタバタと飛ぶドロシーを走って追い始めた。
「ヘルベルタ級、神気信号D.A-977,222.19999を追え」
耳に端末をつけたミッケはタブレット端末を見てそう言った。
「こちらヘルベルタ。神気信号D.A-977,222.19999の追跡を開始」
ヘルベルタ級衛星戦姫を装備した青眼、黒いメッシュが入った白髪ショートボブヘア。青色が基調の戦闘服で身を包んだ色白な肌の女性、ミッキー・ウォートリー・フォックスは端末を見てそう言った。
「全く・・・目視で追跡なんてよくやるよ・・・」
ミッケはタブレット端末を見てそう言った。
「クイーンキャット、神護国郊外に別の神気信号を発見した」
「番号は?」
「A-000,000,00001と頭不明、000.000.00000」
「・・・陛下と・・・誰だ?」
ミッケはタブレット端末を見てそう言った。
「・・・」
邪眼、赫灰色髪縦ロール。奇妙な金属製の装飾品がついた黒色のミニコルセットドレスを着た乙女、ラーフィアは辺りを見ながらゆっくりと歩いた。
ラーフィアは一瞬足を止めるも再び歩きだした。
「剣王が居るというのになぜあなたが?」
ラーフィアは前を見ながらそう言った。
「一匹の闇塊を探している」
黒眼、黒髪三つ編みポニーテール。黒いドレスを着た真っ白な肌の女性は水晶玉を見てそう言った。
「ドロシーという闇塊だ」
黒眼、黒髪三つ編みポニーテール。黒いドレスを着た真っ白な肌の女性はラーフィアを見てそう言った。
「ここに剣王が来たら全俗世を巻き込む戦争になる。良い判断だとは思えないよ」
ラーフィアは黒眼、黒髪三つ編みポニーテール。黒いドレスを着た真っ白な肌の女性を見てそう言った。
「案ずるな。もう去る・・・」
黒眼、黒髪三つ編みポニーテール。黒いドレスを着た真っ白な肌の女性はそう言うと、暗黒の霧になって消えた。




