宿幼決戦編 四章 魔剣士と恐れられた彼女は・・・
千七百年に入り、大陸各地に居た古の民族がミリア国に移住して商売を始めた。
北極島の民族グローニアキャット、南極大島の民族燦水天狐。
燦水天狐は商売がすごく上手ですぐに勢力が拡大。
一方のグローニアキャットは商売は下手だがとても機敏で賢いため様々な国防・技術分野で活躍している。
どちらの民族も遠くもなく近くもない関係で過ごしている。
「わかってはいたが、燦水天狐族は安全な場所を見つけると途轍もない勢いで増えるね」
梨々香は窓から外を見てそう言った。
「不味かったですか?」
桜は梨々香を見て笑みながら言った。
「宿幼決戦で安全地帯となるのはこのミリア国だけだ。今後のことを考えると、十億人未満が理想・・・現在国外に住まう者たちを受け入れられなくなる」
「若い者を増やして価値を示さぬ者たちが悪いでございましょう?若い者がいなければ衰退の一途をたどるだけです」
「その通りではある・・・ただ、多くの歴史や文化が失われてしまうのはあまりに惜しい」
梨々香は桜を見てそう言った。
同年、三月二十一日。
シュペーファームに到着した梨々香は、休暇を利用して手伝うアイリアと牧場長のアンティーナに迎えられた。
「どうも~万象様」
黄眼、灰色髪サイドポニーテール。紺色の作業服で身を包んだ色白な肌の女性、アンティーナ・カルティナーレ・シュペーは梨々香を見て笑みながら言った。
「仲良くやれているみたいだね」
梨々香はアンティーナとアイリアを見て笑みながら言った。
「嫌な時期もあったけど、それは全部過去だからね」
作業服で身を包んだアイリアは梨々香を見て笑みながら言った。
アンティーナは泣代奪還戦で負傷したたところを天星ヒルデガルトと七陽の勇者の一角、金輪の勇者率いる特別編成隊に助けられ、戦禍から退くことを誓い、幸せを返してもらい、人に戻った。
あれだけ冷酷だった化け物は、信じられないほど温厚で優しい母になった。
「素晴らしい考えだ。私もそんな考えができる者になりたかった」
「梨々香の方が立派だよ。一人で何十億人の人と数千万の神を護るなんて、相当な考えがないとできないよ」
「ありがとう」
梨々香がアイリアを見て笑みながらそう言うと、アイリアが少し照れた。
「では、グリードリヒに挨拶してきますね」
梨々香はアンティーナを見て笑みながら言った。
「はい~」
アンティーナは梨々香を見て笑みながら言った。
アンティーナとアイリアに挨拶を終えた梨々香は、梨々香の紹介でこの牧場に入社したグリードリヒ・ポリー・ヤングブラッドと話していた。
「元気そうだね」
梨々香は赤眼、黒髪ツインテール。紺色の作業服で身を包んだ色白な肌の女性、グリードリヒ・ポリー・ヤングブラッドを見て笑みながら言った。
「はい、とても元気にやらせてもらってます」
グリードリヒは梨々香を見て笑みながら言った。
「生き物を扱う仕事だから休むことが難しいかもしれないけど、適度に休みを取るように」
「はい、わかってます」
「じゃあ、何事もなければ来月も来るからよろしくね」
「はい!」
梨々香が牧場の出入り口へ向かうと、アイリアが走って来た。
「お出迎えするよ」
アイリアは梨々香を見て笑みながら言った。
「ありがとう」
梨々香はアイリアを見て笑みながら言った。
「万象様!私の娘をどうか闇からお救いください!」
苦しそうな子供を連れた母親は梨々香を見て頭を下げながら言った。
「・・・闇・・・」
アイリアは子供を見てそう言った。
「まさか・・・奴の力が?」
アイリアは梨々香を見て呟いた。
「どうだろうね」
梨々香は親子を見てそう呟いた。
「万象様!お金はいくらでも払います!どうかどうか!」
母親は梨々香を見て深々と頭を下げながら言った。
「良いだろう」
梨々香は鬼っ娘親子のお母さんを見てそう言うと、扇子を生成して持ち、広げた。
綺麗な扇子を握った梨々香は美しく舞い踊った。
しなやかでもあり、力強くもあり、希望に満ち溢れている。
「す、スゴ・・・」
アイリアは綺麗な扇子を握り、舞う梨々香を見て驚きながら呟いた。
「・・・」
舞い踊った梨々香は綺麗な扇子を顔の前で閉じた。
「終わりましたよ」
梨々香は親子を見て笑みながらそう言うと、扇子を消滅させた。
「体調がよくなった!」
子供は梨々香を見て笑みながら言った。
「ありがとうございます!お礼は必ず!」
母親は梨々香を見て笑みながらそう言うと、何度も頭を下げた。
「お礼はいりませんよ。お子さんをもっと大切になさってください」
梨々香は母親を見て笑みながら言った。
親子が去ると、アイリアは梨々香に質問した。
「あの踊り・・・闇を消せるの?」
少し驚くアイリアは梨々香を見てそう言った。
「消せるわけないじゃないか。ただの気休めさ」
梨々香はアイリアを見て笑みながら言った。
「で、でも、体調良くなったって言ってたよ?」
アイリアは梨々香を見てそう言った。
「ただの思い込みだよ。プラシーボ効果という奴さ」
「えぇ~・・・」
アイリアは少しがっかりしながら言った。
アイリアと別れた梨々香は桜とミリア国の高級酒場に行った。
「ご注文は」
緑眼、薄緑色髪ショートツインテール。白色のカッターシャツを着て黒いタイツと黒いミニスカートを穿いた色白な肌の乙女、山下 ゆかりは梨々香を見てそう言った。
「純米酒を」
椅子に座った梨々香はそう言った。
「はい」
ゆかりは梨々香を見てそう言うと、純米酒の瓶と杯と手紙封筒を梨々香の前に置いて他の客の所へ行った。
梨々香は手紙封筒を手際よく手に取ると、中に入っている資料を見た。
桜は資料を覗き見た。
「この一件、任せて良いかい?」
資料を持った梨々香はそう言った。
「今日奢るなら」
桜は梨々香を見て笑みながら言った。
「良いでしょう」
梨々香は桜を見てそう言うと、純米酒の瓶を持って純米酒を杯に注いだ。
「交渉成立じゃな」
桜は笑みながらそう言うと、杯を持って純米酒を飲み干した。




