宿幼決戦編 三章 白神の計画
一方、梨々香と橘 カエデはミリア国にある寿司屋で寿司を食べていた。
「ベネローブから結構前に聞いたんだけれど、神具の確保が絶望的だと考えたサウスドラゴニアが疑似神具なるものを生み出しているそうなんです」
赤眼、朱色髪ショートヘア。白いワイシャツに黒いコートを羽織り、黒い長ズボンを穿いた微褐色肌の男性、梨々香は寿司を見てそう言った。
暗青眼、薄青色髪ロングヘア。薄灰色のセーターで身を包んだ色白な肌の女性、橘 カエデは寿司を食べると、梨々香を見た。
「・・・疑似神具?」
咀嚼するカエデは梨々香を見つめてそう言った。
「えぇ、神具と同じ効力を持つ武器だそうです。まぁ、この結果から分かったことは・・・月浜残党軍の一部がサウスドラゴニアに渡ったらしい」
梨々香はビールジョッキを持ってビールを飲むカエデを見てそう言った。
「誰かはわかってないの?」
空のビールジョッキを置いたカエデは出された寿司を見てそう言うと、寿司を持って食べた。
「わかってはいない」
梨々香はそう言うと、二つの欠片を生成して見つめて消した。
「宿幼・・・色々と可笑しいよね。ヴェルベサを返り討ちにしたりとかさ」
咀嚼するカエデは梨々香を見てそう言った。
「そうかな。奴らは器次第で強くなったり弱くなったりするから、可笑しいとは思わないよ」
梨々香はそう言うと、箸を握って寿司をつまみ、寿司を食べた。
「・・・そろそろ下手な演技はやめてくれないかな」
カエデは梨々香を見て少し笑いながらそう言った。
「俗世の者たちを騙せても私は騙せないよ」
ジョッキを持ったカエデは甘酢生姜を食べる梨々香を見てそう言った。
しかし、梨々香は何も答えない。
「どうして白梅さんを宿幼に渡したの?ナハトを解放するんだったらあなたの剣技でもできたはずだ」
ジョッキに入ったビールを飲み干したカエデは箸を握った梨々香を見てそう言った。
「本当の目的は何なの?」
空のジョッキを持ったカエデは梨々香を見てそう言った。
「・・・宿幼を手に入れたい。妻からそう言われましてね・・・」
箸を握った梨々香は咀嚼しながら言った。
「宿幼を・・・手に入れる??」
カエデは梨々香を見て驚きながらそう言った。
「私が妻に可能性を感じたように、妻も宿幼に可能性を感じたのでしょうね」
梨々香はそう言うと、湯飲みを持ってお茶を飲んだ。
(宿幼・・・君には何か特別な力がある。君がいれば、メイジーにも勝てる)
六合は木の上に座った真白と見つめ合った。




