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アティア・ゼン編 七章 曙陽、ここに顕現す

午後八時十三分。

中央隊がダルタの寂れた町に到着し、調査を開始した。

「異常な神気濃度を探知。マブダフッド町に一体の魔塊眷属が潜んでると考えられます」

ミッケたちの耳の端末からセシリーの声が聴こえた。

「了解」

ミッケたちは二班に分かれて行動し始めた。

大業物(おおわざもの)心宮(こころみや)を握ったオレンジは建物の中に入った。

大業物心宮を握ったオレンジが居間に続く扉を開けると、中に潜んでいた魔塊眷属たちが悲鳴を上げながら窓を突き破って外に逃げ出した。

「心炎剣技」

大業物心宮を握り込んだオレンジが大業物心宮を真っすぐ構えてそう言うと、刀身が心炎を纏った。

邪砕(じゃさい)ノ一太刀(のひとたち)

刀身に心炎を纏う大業物心宮を握り込んだオレンジはそう言うと、大業物心宮を大きく縦に一振りして前を向いた。

「ブギャブギャ」

全力で逃げる闇化生物たちに心炎が当たり、闇化生物たちが蒸発した。

放たれた心炎は轟音と共に町を抉る。

「ヤッベェ・・・威力どうなってんだよ・・・」

業物(わざもの)二頭水龍(ふたがしらすいりゅう)を握ったアージヴァイズは抉られて焼け焦げた建物たちを見て唖然としながらそう言った。

「・・・まさか・・・お前たちに再び会うとは・・・」

宿幼魔塊第二十八番眷属カルジェンはアージヴァイズたちを見てそう言った。

「マジかよ・・・」

アージヴァイズはカルジェンを見て驚きながらそう言った。

「ミッケを信じて正解だったぜ・・・」

冷や汗をかいたアージヴァイズは笑みながらそう言った。

「・・・油断せずに行こう」

大業物心宮を構えたオレンジはカルジェンを見てそう言った。

「え!?あなたバカすぎません!?」

キャロッティはオレンジを見てドン引きしながらそう言った。

その時、アージヴァイズが騒ぎ始めた。

「ワーワーワー!!!!」

アージヴァイズはカルジェンを見て全力で叫んだ。

「何してるの!?」

大業物心宮を握ったオレンジはアージヴァイズを見て驚きながら言った。

「ワーワーワー!!!!」

アージヴァイズを見て何か思いついたキャロッティもカルジェンを見て全力で叫んだ。

「ねぇってば!」

オレンジはアージヴァイズとキャロッティを見て困惑しながらそう言った。

「相手は魔塊眷属だぞ敵うもんか!!」

業物二頭水龍を握ったアージヴァイズはオレンジを見て早口でそう言った。

「だから、ミッケ・カーリン部隊長級柄を呼んでるんです!」

業物灼龍を握ったキャロッティはオレンジを見てそう言った。

「・・・」

大業物心宮を握ったオレンジは悔しそうに歯を食いしばった。

「私ならやれる!!」

大業物心宮を握ったオレンジはアージヴァイズとキャロッティを見て怒鳴った。

「やれるもんか!」

業物二頭水龍を握ったアージヴァイズはオレンジを見て怒鳴った。

カルジェンが召喚した闇の召喚獣・狼がアージヴァイズたちに向かい始めると、ケンカしていたアージヴァイズとオレンジが闇の召喚獣・狼を見てギョッとした。

「ンッ!!」

炎を纏った業物灼龍(わざものしゃくりゅう)を握ったキャロッティは力一杯業物灼龍を振り、闇の召喚獣・狼を斬った。

斬られた闇の召喚獣・狼は灰になって消えた。

属性剣技(ぞくせいけんぎ)(みず)霧雨乱舞(きりさめらんぶ)!!」

業物二頭水龍を握ったアージヴァイズはそう言うと、途轍もない速度で闇の召喚獣・狼を切り刻んだ。

「キャロッティ!」

業物二頭水龍を握ったアージヴァイズがそう言うと、キャロッティが集まる闇に向かって業物灼龍を振った。

集まる闇は焼かれて灰になった。

「はぁ・・・はぁ・・・」

業物灼龍を握ったキャロッティは息を荒げながら闇の召喚獣・狼に業物灼龍を振った。

「ウァッ!!」

キャロッティは闇の召喚獣・狼に体当たりされて吹き飛んだ。

「私に任せればいいんだよ!!」

心炎を纏った大業物心宮を握ったオレンジはそう言うと、キャロッティに集まる闇の召喚獣・狼に大業物心宮を振った。

強烈な脈動と共に闇の召喚獣・狼が斬れ、蒸発し始めた。

「よし!斬った!」

心炎を纏った大業物心宮を握ったオレンジは燃える闇の召喚獣・狼を見て笑みながら言った。

しかし、炎は急速に力を失い、闇の召喚獣・狼が再生した。

「・・・」

心炎を纏った大業物心宮を握ったオレンジは次々と集まってくる闇の召喚獣・狼を見て冷や汗を垂らした。

オレンジは後ろから来た闇の召喚獣・狼に押し倒されて足から捕食され始めた。

「ウワァァァァ!!!!痛い!!痛い!!」

噛まれるオレンジは砂を掴み、もがきながら泣き叫んだ。

「ミッケミッケミッケェェェェ!!!!」

キャロッティを抱きしめるアージヴァイズは増々集まってくる闇の召喚獣・狼を見て泣きながら叫んだ。

「・・・」

途轍もない速度で走って来たミッケはアージヴァイズたちに集まる闇の召喚獣・狼を次々と斬った。

「・・・」

灰になって消える闇の召喚獣・狼を見るオレンジは安堵して脱力した。

「助かった・・・」

泣きべそをかいたアージヴァイズは安堵しながら言った。

「苦しい・・・」

アージヴァイズに強く抱きしめられるキャロッティは苦しそうに言った。

「包帯を巻いてあげて」

ミッケはアージヴァイズに闇化の浸食を抑える特殊な包帯を渡しながら言った。

「わかった!」

包帯を持ったアージヴァイズはミッケの後姿を見てそう言った。

「頼んだよ」

ミッケはアージヴァイズを見てそう言うと、カルジェンを見た。

大業物明乃白隼を握ったミッケがカルジェンに向かって歩み始めると、道を塞いでいる闇の召喚獣・狼たちが下がって逃げ始めた。

「な、なんて威圧感・・・」

カルジェンはミッケを見て冷や汗をかきながら言った。

大業物明乃白隼を握ったミッケはカルジェンに向かって走った。

(クソ・・・弱気になるな・・・)

カルジェンはミッケを見ながら闇の召喚獣・狼を操った。

「・・・」

大業物明乃白隼を握ったミッケは向かってくる闇の召喚獣・狼を次々と斬りながら走る。

オレンジの足に包帯を巻き終えたアージヴァイズがキャロッティとオレンジを引きずって逃げようとしたその時、オレンジが起き上がってカルジェンに向かって走った。

「クソバカが!!もう知らねぇ!!」

アージヴァイズはオレンジを見てそう言うと、キャロッティを抱きかかえてエコーたちの方へ逃げた。

「行け。狼たち」

カルジェンは走って来るオレンジを見てそう言った。

「属性剣技・(かぜ)波風(なみかぜ)(みだ)()り!!」

業物嵐風(わざものあらしかぜ)を握ったエコーはそう言いながら召喚された闇の召喚獣・狼を剣技で斬った。

「もう一人は!?」

業物水落(わざものみずおとし)を握ったジュナは逃げて来たアージヴァイズとキャロッティを見て驚きながら言った。

「カルジェンに向かっていった!」

アージヴァイズはジュナを見てそう言った。

「・・・」

大業物心宮を握ったオレンジは闇の召喚獣・狼に囲まれた。

その時、上空から数発のエネルギー弾が降って来て闇の召喚獣・狼たちを消し飛ばした。

「あぶねぇ・・・」

オレンジは上空を見てそう言った。

「ありがとうは?」

セシリー・L-95は観測機を使って地上を見ながらそう言った。

「ありがとう・・・」

オレンジは上空を旋回するセシリー・L-95見てそう言った。

「・・・」

大業物明乃白隼を握ったミッケはカルジェンに向かって大業物明乃白隼を振った。

(鋭い剣術だ。しかし、わかりやすい)

カルジェンは大業物明乃白隼を簡単に避けた。

しかし、カルジェンが油断していたところに脇差(わきざし)が現れた。

(ど、どこに隠していたッ!!)

カルジェンは脇差を見て驚いた。

ミッケは脇差を振り、カルジェンの両目を斬って視界を奪った。

(ば、バカなッ!私の目を的確にッ!)

カルジェンは冷や汗をかいて歯を食いしばると、拳を振った。

大業物明乃白隼を握ったミッケは拳を避けた。

(こいつの・・・こいつの生気は!水!いや、風!火か!いや、雷だ!そして、あいつは私から離れた!)

カルジェンは笑みを浮かべた。

カルジェンは目を再生させると、ゆっくり眩しそうに瞼を開けた。

その瞬間、大業物明乃白隼がカルジェンの腹部を斬り、稲妻と共にカルジェンの体が横真っ二つに斬れて上半身が地面に転がった。

雷壊剣技(らいかいけんぎ)!」

業物嵐風を握ったエコーはミッケを見て笑みながらそう言った。

「・・・どうして雷壊剣技で・・・」

驚くオレンジはミッケを見てそう言った。

「ば、バカな・・・こんな雑魚が・・・この私を・・・」

カルジェンは地に両手を突き、顔を上げ、ミッケを見てそう言った。

「私の力を一太刀目で見抜けなかった時点でお前の負けだ」

大業物明乃白隼を握ったミッケはカルジェンを見てそう言うと、大業物明乃白隼を構えた。

(傷が思ったように治らない・・・まさか!陽の力ッ!?)

冷や汗を垂らすカルジェンはミッケを見つめた。

(何とかして、何とかしてこの最大の危機を脱しなければッ!!)

カルジェンが歯を食いしばったその時、心炎を纏った大業物心宮を握り込んだオレンジはカルジェンに飛びかかった。

(心炎剣技の方が強いんだ!絶対に斬れる!!)

大業物心宮を構えたオレンジはカルジェンを見つめた。

(なんてことだ・・・!!チャンスが向こうから!逃げ道が向こうからやってきた!!)

冷や汗を垂らすカルジェンはオレンジを見て目を見開き、笑みを浮かべた。

「狼ィィィィッ!!」

カルジェンはそう叫び、闇の召喚獣・狼を召喚した。

闇の召喚獣・狼は飛びかかるオレンジの横を狙い、飛びかかった。

「ッ!」

大業物心宮を握ったオレンジは闇の召喚獣・狼を見て目を見開き、冷や汗をかいた。

オレンジに向かう闇の召喚獣・狼の首を大業物明乃白隼が斬るも、オレンジに向かったもう一体の闇の召喚獣・狼がミッケの利き腕を食い千切った。

「・・・」

利き腕を食い千切られたミッケは全く焦ることなくカルジェンを見つめる。

その瞬間、狼型の闇の召喚獣・狼の口に付着したミッケの血が燃え上がり、全身が燃えて爆発した。

着地したミッケは大業物明乃白隼を生成して右手で握った。

「・・・はぁ・・・はぁ・・・」

冷や汗を垂らすオレンジは息を荒げ、崩れるように座り込んだ。

「ミッケ!オレンジと闇の召喚獣・狼は私たちに任せろ!」

業物二頭水龍を構えたアージヴァイズは向かってくる闇の召喚獣・狼を見てそう言った。

「オレンジ!立ってよ!」

業物嵐風を握り込んだエコーは闇の召喚獣・狼を見てそう言うと、業物嵐風を振った。

闇の召喚獣・狼たちは風を受けて吹き飛ばされ、壁に激突して液状の闇に変わった。

「ミッケ!!どうしたんだよ!!」

オレンジに肩を貸すアージヴァイズは立ち尽くすミッケを見てそう言った。

「よしよし・・・追ってこない」

カルジェンはミッケを見て笑みながらそう呟くと、前を向いた。

「・・・」

ミッケがカルジェンを見た瞬間、辺りの雰囲気が変わった。

「・・・」

押されるように態勢を崩したカルジェンは冷や汗をかきながら態勢を立て直し、振り向いた。

「何・・・この感じ・・・」

エコーはミッケを見て冷や汗をかきながら言った。

曙陽(しょこう)・・・」

大業物明乃白隼を握り込んだミッケはカルジェンを見てそう言うと、刀身に曙色(しょいろ)の陽光を纏わせた。

「何だ・・・何なんだお前は!!」

振り向いたカルジェンはミッケを見て怒鳴ると、前を向いて全力で逃げ続けた。

「ここに顕現す」

大業物明乃白隼を握ったミッケはそう言うと、大業物明乃白隼を一振りした。

「バカな・・・バカなバカなバカなッ!!なぜ夜明がぁあ!!」

逃げるカルジェンは曙陽を見て悲鳴を上げた。

曙陽が顕現すると、衝撃波が発生して土煙が広がった。

「す、すげぇ・・・」

息を荒げるアージヴァイズは灰になる闇の召喚獣・狼を見てそう言った。

「こいつかァァァァッ!!七陽の勇者と言うのはァァァァ!!!!」

目を見開いたカルジェンは悲鳴を上げながら燃え、灰になった。

「・・・」

ミッケは地面に大業物明乃白隼を突き刺し、支えにしながらも立っていた。

「ミッケ!!」

冷や汗をかいたアージヴァイズたちは大声でそう言うと、ミッケに駆け寄った。

「ジュナ!早く包帯を!」

冷や汗をかいたキャロッティは救急箱を持ったジュナを見てそう言った。

「大丈夫・・・ゆっくりで・・・」

汗をかいたミッケは慌てるジュナを見て笑みながら言った。

「オレンジは無事?」

ミッケはアージヴァイズを見てそう言った。

「あぁ・・・何とか」

アージヴァイズはミッケを見てそう言うと、座り込んだオレンジを見た。

「なら、良かった」

ミッケは座り込んだオレンジを見て笑みながら言った。

「強力な魔塊眷属を討伐。収集物を持って帰還する」

ミッケは端末の電源を入れてそう言った。


同年、八月十二日。

調査を終えたミッケたちが帰還した。

ダルタ民たちはミッケたちの帰還にお祭り騒ぎ。

魔塊眷属を討伐したと大いに盛り上がりながら赤ワインを飲み始めた。

「無茶をして利きを腕を失うなんて・・・いつの間にかお人好しになっちゃって」

ミューテ・レン・アンソロジーはミッケを見て笑みながらそう言った。

「そんなんじゃないですよ。自分の心に傷をつけたくないからやったまでです」

ミッケはローラを見てそう言った。

「良い子だね。残る?離れる?」

ミューテはミッケを撫でながらそう言った。

「もちろん残りますよ。もう一人の部隊長級があれじゃ、不安で夜も寝れない」

ミッケはミューテを見て笑みながら言った。

「というか、曙陽の勇者様は?」

ミッケはミューテを見てそう言った。

「神軍幹部はラバログに集結してる。ちょっちヤバいことが起きててね・・・」

ミューテはミッケを見て笑みながらそう言った。


ミューテと話を終えたミッケはシャワーを浴びてテントに戻った。

「あ、ミッケ」

寝転がり、うとうとしていたエコーはミッケを見てそう言った。

「まだ寝てなかったんだ」

ミッケはそう言うと、布団の上に寝転がった。

「・・・オレンジがすごく気にしてたよ」

「そっか」

ミッケは瞼を閉じてそう言った。

「おやすみ」

ミッケはそう言うと、眠った。

「・・・うん、おやすみ・・・」

眉を顰めたエコーはミッケを見てそう言った。

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