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ローナミア・フィエンゼ編 十四章 揺蕩う光

同年、四月十八日。

ローラから連絡を受けた梨々香が神軍拠点艦一番艦イクイノックスの食堂で待っていた。

「梨々香お兄ちゃん。こんな時間に食堂に来るなんて珍しいね。誰かと待ち合わせ?」

ヴェルベサは梨々香を見て笑みながら言った。

「うん、ローラから連絡を受けてね」

梨々香はヴェルベサを見て笑みながら言った。

「ローラ・・・そっか」

ヴェルベサは笑みながらそう言うと、少し離れた机の席に座った。

「陛下、お待たせしました」

少し早歩きで梨々香に向かうローラは梨々香を見てそう言った。

「大丈夫だよ」

梨々香はローラを見て笑みながら言った。

「で、何があったの?」

梨々香は椅子に座ったローラを見て笑みながら言った。

「本日は報告が二つあります」

ローラは梨々香を見てそう言った。

「聴こう」

「一つ、アージヴァイズ・ベルコント・ニコルという下位組織員が太陰剣技(たいいんけんぎ)を使っているようです」

「・・・そうか・・・」

梨々香は絞り出すようにそう言った。

「銀月華があれば良かったが・・・今は在庫がない」

梨々香はローラを見てそう言った。

「では、どうすれば」

「残念ながら、どうしようもできない。太陰剣技の拡散を防止する方向で動いてくれ」

「わかりました」

ローラは梨々香を見てお辞儀しながらそう言った。

「もう一つは?」

「寺島 陽上位組織員の処分についてです。彼女はアージヴァイズ・ベルコント・ニコルの師匠だと言っています。そのため、太陰剣技を発現させた責任があると」

ローラは梨々香を見てそう言った。

「・・・随分と弟子思いな師匠だ・・・何とかしてあげたいという気持ちは伝わってくるよ」

「だが、太陰剣技は個人の意思によって発現する。よって、責任を誰かが肩代わりできるものではない」

「・・・わかりました」

ローラは梨々香を見てお辞儀しながらそう言った。

「こちらからも報告がある」

「何でございましょう」

ローラは梨々香を見てそう言った。

「超深度潜水調査隊から調査の結果が届いた」

「やはり、グイードリヒですか?」

「違った」

「では・・・何が原因で?」

ローラは少し困惑しながらそう言った。

「超深度潜水調査隊が海底より回収したものだ」

梨々香はそう言うと、奇妙な金属片を見せた。

「・・・ラーフィアのッ!!」

ローラは奇妙な金属片を見て驚きながらそう言った。

「彼女は明らかに魔女の支配から抜けて活動している。魔女が関与しているとは思えない」

梨々香はローラを見てそう言うと、奇妙な金属片を見た。


午後二時三分。

ローラはアージヴァイズと陽の処分を見送った。

しかし、陽は自責の念から神軍を去ってしまう。

「やはり、梨々香さんのようにはできないな・・・」

頭を抱えたローラはため息交じりにそう言った。

「正義の結末と言うのは大抵こんなものさ。守りたくないものばかり守れて、守りたかったものは守れない」

リヴァはローラを見てそう言った。

「梨々香さんは結構上手くやってる印象があるんだがね」

頭を抱えたローラはリヴァを見てそう言った。

「梨々香さんは臨機応変に動くからね。それに加えてあの冷静さだ。想定外という言葉が嘘みたいに聞こえる」

「ハウレティアに行く勇者はもう決まったのか?」

ローラはリヴァを見てそう言った。

「あぁ、決まったよ。今回は天道(てんどう)の勇者が行く」

「あの小娘が?」

「あぁ」

「陛下は何を考えているんだ・・・」

「彼女は梨音(りおん)を師に鍛錬を積み、梨音から任を受け継いだ。優秀じゃない方がおかしい」

「幼い頃に嫌いだった口うるさい老人はこのような気持ちだったのだな・・・」

ローラは頬杖をついてそう言った。


同年、四月二十日。

剣術の基礎を覚えたアージヴァイズとジュリアたちが下位組織員として調査に参加した。

出撃地はハウレティア国。

下位組織員の中には剣技を覚えただけで自由には使えないという者がほとんど。

圧倒的火力を誇る太陰剣技を使うアージヴァイズは下位組織員たちが頼りにされ、ちやほやされていた。

「あの力強さはまるで陛下だった。すごい剣士になるよ。二コル」

下級組織員1(下級神)はアージヴァイズを見て笑みながら言った。

「やぁ、君たちが今回派遣された下位組織員かい?」

上位組織員の西川(にしかわ) ののはアージヴァイズたちを見て笑みながら言った。

「そうだぜ」

アージヴァイズはののを見て笑みながら言った。

「お前!下位組織員の癖に随分エラそうだな!!敬語を使え!敬語を!!」

ののはアージヴァイズを見て怒鳴った。

「下位組織員に対してエラそうにして良いなんて言うルールないんですが。西川上位組織員」

薄緑色が基調の戦闘服で身を包んだゆかりはののを見てそう言った。

「ぶ、部隊長・・・」

ののはゆかりを見て畏縮しながらそう言った。

「山下じゃないか!知り合いが部隊長で良かった!」

アージヴァイズはゆかりを見て驚き、笑みながら言った。

「私語は慎んでください。任務中ですので」

ゆかりはアージヴァイズを見てそう言った。

「なんか冷たくね?」

アージヴァイズはゆかりを見て少し拗ねながら言った。

「注目」

ゆかりが手を上げてそう言うと、神軍組織員たちがゆかりを見た。

「今回の目的は調査です。ハウレティア周辺でサトリが観測されていますので、戦闘許可は一切下りていません」

ゆかりがそう言うと、神軍組織員たちが一気に騒めき始めた。

「注目!」

ゆかりが大声でそう言うと、神軍組織員たちが慌ててゆかりを見た。

「ここからは指示を出します。あなたたちは闇化生物の痕跡を収集してください。闇結晶、液状闇何でも構いません」

ゆかりはそう言うと、風を纏った。

「なんで戦っちゃダメなんだ?私強いぜ?」

アージヴァイズはゆかりを見てそう言った。

その瞬間、鞘に納まった剣がアージヴァイズの頭を叩いた。

「イッテェー・・・」

アージヴァイズは頭を押さえながら痛そうに言った。

「随分と礼を欠いた小娘、前の軍隊で何を学んできた。指揮を乱す者が戦場に必要だと言われて来たのか?」

サクチャー部隊長級柄はアージヴァイズを見てそう言った。

「うるせぇ!!私より弱いくせに!!」

アージヴァイズはサクチャーを見て怒鳴った。

「今作戦の指揮官である私の言うことが聞けないなら帰ってください。邪魔でしかありません」

ゆかりはアージヴァイズを見てそう言った。

「に、二コルが帰るなら私たちも帰る!」

下位組織員2(人)はゆかりを見てそう言った。

「勝手にどうぞ」

ゆかりは下位組織員2(人)を見てそう言った。

「・・・」

下位組織員2(人)はゆかりを見て冷や汗をかき、黙った。

「調査開始」

ゆかりは部隊員たちを見てそう言うと、生み出した風に乗って飛び上がった。


アージヴァイズたちは文句を言いながらも痕跡を集め始めた。

アージヴァイズについていく者がほとんどで、かなり集団で痕跡を集めている。

「二コルについていけば安全だし、討伐成績がもらえるかもしれない」

下位組織員2(人)はアージヴァイズを見て笑みながら言った。

「・・・き、君は弱い。私がついてくることに感謝すると良い」

ののはアージヴァイズを見てそう言った。

「別に頼んでないよ」

アージヴァイズは前を見てそう言った。

(この風・・・エリーか?)

髪と服が靡き始めたアージヴァイズは冷たい風に乗って飛んでくる淡い光の粒を見た。



遠くの方が騒がしくなると、他の隊員たちが走り去っていった。

走り去ったのは、カレン・ジェイド・フリエルとその他下位組織員だ。

「上空に敵影!!敵影!!」

茶眼、黒髪ミディアムボブヘア。空色と紺色が基調のスカートタイプの戦闘服で身を包んだカレン・ジェイド・フリエルは空を見てそう言った。

「おい!早く行くぞ!」

ののはアージヴァイズを見てそう言った。

「敵弾!!散会しろ!!」

アージヴァイズはそう言うと、剣を一本抜いて構えた。

アージヴァイズが命炎を纏った。

「うわぁぁぁぁ!!!!」

下位組織員たちは飛んでくる大量のエネルギー弾を見て叫んだ。

「剣技!三日月六連!!」

青く輝く剣を握ったアージヴァイズはそう言うと、青く輝く剣を振り、三日月形の斬撃波を飛ばした。

身が突き型の斬撃波は大量のエネルギー弾を消滅させ、銀色の光が火花のようにバチバチと音を立てて輝いた。

「すごい!!お前はとても強い!!」

ののはアージヴァイズを見て笑みながら言った。

「流石だよ!二コル!」

下位組織員たちはアージヴァイズを見て笑みながら言った。

「そんなことねぇよ」

青く輝く剣を握ったアージヴァイズは部隊員たちを見て照れ笑いしながら言った。

「追え!!逃がすな!!」

緑眼、白髪にツインテール。紺色が基調のスカートタイプの戦闘服で身を包んだ色白のTT-42B-46-01 ジュナ・グリッチアはアージヴァイズたちを見て大声でそう言った。

「確実に吹き飛ばす・・・」

青眼、根本が薄赤い白い深紅髪にツインテール。赤が基調の軽量化を求めた戦闘服に身を包んだ生者の肌とは言い難い肌のTT-42B-34 クロウゼウ・レイヴァーンは岩を見てそう言うと、主翼を可変させ、爆刃を正面に向けた。

「射程圏内に入るぞ!!」

ののはアージヴァイズを見て大声でそう言った。

「大丈夫だ!!私に任せろ!!」

命炎を纏ったアージヴァイズは笑みながらそう言った。


「・・・」

ののは迫る光を見て冷や汗を垂らした。

ののが目を見開いたその時、アイノアを装備したジュリアがクロウゼウ・レイヴァーンに突撃した。

「真っ向勝負だ!」

クロウゼウ・レイヴァーンはジュリア・アイノアを見てそう言った。

ジュリア・アイノアとクロウゼウ・レイヴァーンが激突すると、クロウゼウ・レイヴァーンが爆散し、ジュリア・アイノアが爆炎を通り抜けた。

「クソ!なんて強さだ!」

青眼、白髪ツインテール。青と白が基調のスカートタイプの戦闘服で身を包む生者の肌とは言い難い肌のTT-42B-50 キイは大鎌でジュリア・アイノアの攻撃を防ぎながら言った。

「属性剣技・雷。天雷破断!!」

剣を握ったジュリア・アイノアは大鎌を握ったキイを見てそう言うと、剣を振り下ろした。

雷を纏った剣が大鎌に当たると、雷鳴と共に大爆発を起こした。


「異天貴装強すぎ」

異天貴装フォンドレシアを装備したグリードリヒは疑似神姫たちを見て笑みながらそう言った。

「・・・」

色が抜けた青眼、毛先が青い白髪にツインテール。青色が基調の胸元とスカートに白いフリルがついたスカートタイプの戦闘服で身を包んだ生者とは言い難い肌のTT-42B-10-01 フライ・カルデッドディアはグリードリヒ・フォンドレシアを見ながら高速で接近した。

(当たる!)

拳を強く握り込んだフライ・カルデッドディアはグリードリヒ・フォンドレシアを見ながら拳を突き出した。

グリードリヒ・フォンドレシアはフライ・カルデッドディアの拳を避けると、瞬時にステッキを構えて怪しげな霧を纏った。

冥転剣技(めいてんけんぎ)冥府(めいふ)霧雨(きりさめ)

ステッキを構えたグリードリヒ・フォンドレシアがそう言うと、霧雨が発生し、フライ・カルデッドディアを襲った。

「な、なんだこの雨!!」

フライ・カルデッドディアは集まる霧雨を見てそう言った。

霧雨はフライ・カルデッドディアを隠し、フライ・カルデッドディアごと消え去った。



「速い・・・!」

灰青眼、薄群青色髪にツインテール、灰色の死カートタイプの戦闘服で身を包んだ生者の肌とは言い難い肌のTT-42B-31-01 カーラ・キリアウスはレイチェル・バルドジェッチを見てそう言いながら手に握った剣を振った。

爆刃剣を握ったレイチェル・バルドジェッチは爆刃剣で剣を弾き返し、カーラ・キリアウスを見つめた。

剣を握ったカーラ・キリアウスはレイチェル・バルドジェッチから離れた。

その瞬間、爆刃剣を握ったレイチェル・バルドジェッチが爆刃剣の切先をカーラ・キリアウスに向けた。

「!?」

剣を握ったカーラ・キリアウスが爆刃剣を見て驚いた瞬間、爆刃剣が白煙を噴き、爆刃が発射された。

この爆刃、アディ式爆刃E80B1は八百キロ爆弾相当の威力がある。

至近距離で受ければ撃墜は確実だ。

飛翔する爆刃はカーラ・キリアウスのバリアを貫徹し、剣に当たって爆発した。


TT-42B-72 カレン・ミューミが燃えながら墜ちていく。

「集中砲火だ!一匹ずつ確実にやるんだ!」

藍眼、金髪ツインテール、藍色と金色と白色が基調のスカートタイプの戦闘服で身を包む色白な肌のTT-42B-59 ケイト・クイーンアイはTT-42B-60 グリードリヒ・フォンドレシアを追いかけながらそう言った。

疑似神姫たちはケイト・クイーンアイに続いてグリードリヒ・フォンドレシアを攻撃する

疑似神姫たちがグリードリヒ・フォンドレシアを攻撃していたその時、青い火の粉が舞い散り、疑似神姫たちが斬れて燃え上がった。

(こ、この胸騒ぎは・・・!!!!)

ケイト・クイーンアイは目を見開き、円状に広がる青い炎を見た。

その瞬間、青い炎がケイト・クイーンアイの前に現れ、中から青く輝く双剣が姿を見せた。

「なぜぁぁぁぁ・・・なぜぇ・・・奴がぁぁぁぁ・・・!!」

ケイト・クイーンアイは首を捉える青く輝く双剣の先を見て苦しそうに叫んだ。

「・・・」

青く輝く双剣を握ったリベードリヒ・ノワールがケイト・クイーンアイを見つめる。

「アァァァァァァァァ・・・」

首を斬られるケイト・クイーンアイは目を見開き、苦しそうに悲鳴を上げた。

青く輝く双剣はケイト・クイーンアイの首を斬り落とした。


「・・・はぁ・・・はぁ・・・」

青く輝く双剣を握ったアージヴァイズは息を挙げながら青い炎を見た。

「これが・・・私の力・・・」

青く輝く双剣を握ったアージヴァイズは青く輝く双剣を見て嬉しそうに言った。

「すごい!!圧倒的だ!!」

下位組織員5(人)はアージヴァイズを見て笑みながら言った。

「二コル!君は部隊長級組織員になるべきだ!!」

下位組織員6(人)はアージヴァイズを見て笑みながら言った。

「・・・そうか。ありがとな」

青く輝く双剣を握ったアージヴァイズは下位組織員たちを見て笑みながら言った。

「・・・そう言えば・・・今日は体調が良い・・・」

青く輝く双剣を握ったアージヴァイズはそう呟いた。



「・・・」

剣を握り込んだサクチャーは冷や汗を垂らす。

「・・・」

やや艶がある黒髪で目を隠し、紅白の巫女服で身を包んだ異常なまで白い肌の少女は焦点が合わず、ぐったりしながらも幸せそうな神軍組織員たちと疑似神姫たちに触れながら歩いた。

「とても幸せそう。綺麗な幻想を見ているんだね」

ゆっくりと歩くやや艶がある黒髪で目を隠し、紅白の巫女服で身を包んだ異常なまで白い肌の少女は笑みながらそう言った。

「君はもう魂まで消えてしまったか」

やや艶がある黒髪で目を隠し、紅白の巫女服で身を包んだ異常なまで白い肌の少女は抜け殻のようになったケイト・クイーンアイに触れて笑みながら言った。

「人なんかに関わるのが悪いんだ。あのお方に使える神なのに」

やや艶がある黒髪で目を隠し、紅白の巫女服で身を包んだ異常なまで白い肌の少女は下級神や神姫に触れてそう言うと、サクチャーの方を向いた。

「山下さん!山下さん!!目を覚ませ!!」

剣を握り込んだサクチャーはやや艶がある黒髪で目を隠し、紅白の巫女服で身を包んだ異常なまで白い肌の少女を気にしながら木にもたれかかり、唸るゆかりの前に背を向けてしゃがみ込んでそう言った。

「あなたはどうして幻想に堕ちないの?不思議・・・」

やや艶がある黒髪で目を隠し、紅白の巫女服で身を包んだ異常なまで白い肌の少女はサクチャーの方を見てそう言った。

「私は世の大権を獲得するためフンケルンと切磋琢磨した神だ。フンケルンの神術にはもうやられんよ」

サクチャーはやや艶がある黒髪で目を隠し、紅白の巫女服で身を包んだ異常なまで白い肌の少女を見てそう言った。

「まぁ、どうでもいいや」

やや艶がある黒髪で目を隠し、紅白の巫女服で身を包んだ異常なまで白い肌の少女はそう言うと、アージヴァイズに近づいた。

「人間は、皆、死ぬ」

やや艶がある黒髪ロングヘア。紅白の巫女服で身を包んだ異常なまで白い肌の少女はアージヴァイズに触れて笑みながら言った。

「幻想を見ているなんて気付かずに・・・」

やや艶がある黒髪ロングヘア。紅白の巫女服で身を包んだ異常なまで白い肌の少女はそう言うと、立ち上がった。

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