休暇編六章 ヴァルトロス町観光
観光を終えたリリーたちは馬車に戻った。
馬たちも休憩が終わっていて、準備が完了していた。
「じゃあ、引き続きお願いします」
リリーは運転手を見て笑みながら言った。
「お任せくださいませ」
運転手はリリーを見て笑みながら言った。
リリーたちを乗せた馬車は走り出す。
町を出ると、広がっていたのは牧場・・・ではなく、水産物の養殖場だった。
厳重に管理される養殖魚は生食も可能だ。
「都市まであとどれくらい?」
キャロルはリリーを見て笑みながら言った。
「町を二つ過ぎたらマッケリスだよ」
リリーはキャロルを見て笑みながら言った。
「なんかさ、ベラ・ジ・ルルの旅行雑誌とかってマッケリスを首都って紹介してるよね」
カレンはリリーを見てそう言った。
「うん」
リリーはカレンを見て笑みながら言った。
「皇女とか女王が居る国の首都ってさ、王都って言わない?普通」
カレンはリリーを見てそう言った。
「王都は別にあるからね。私たちが向かっているマッケリスは神軍が管理する都市なんだ」
リリーはカレンを見てそう言った。
ベラ・ジ・ルルのマッケリス都市は神軍が来たことによってできた新首都である。
ベラ・ジ・ルル国民はマッケリスを首都と呼び、王都ベラジンヘスクを首都として頑なに認めようとしない。
「マッケリス・・・超楽しみ~」
レイチェルは嬉しそうに言った。
「どれくらい都会なの?」
キャロルはリリーを見て笑みながら言った。
「みんなが思っているような都会ではないかな。自動車はなくて、移動手段は変わらず馬車だ」
リリーはオレンジたちを見て笑みながら言った。
「また馬車!?」
オレンジたちは驚きながら言った。
「お客さん方」
運転手が大声でそう言うと、オレンジたちが運転手を見た。
「マッケリスの馬車をこんな田舎馬車と一緒にしちゃダメですぜ」
運転手は笑みながら言った。
「どう違うの?」
グリードリヒは運転手を見てそう言った。
「マッケリス馬車は白塗りで純金の金具っていう風に統一されてまして、馬も毛並みが綺麗で背が高くてもぉ~すごい」
「へぇ~」
グリードリヒたちは運転手を見てそう言った。
「それに、マッケリスは治安が良くて物価が安い!部隊長級様の直属部隊が警備をしていて物価はそこらにある町の半分以下!」
「あんな町に住めたらどれだけ幸せか・・・」
運転手はため息交じりにそう言った。
「治安が良くて物価が安いのに住めないの?」
オルガは運転手を見てそう言った。
「マッケリスに住むには信用が必要なんです。何人もの上位組織員と知り合って紹介状を貰い、部隊長級様からの審査を受けてやっと住めるんです」
眉を顰めた運転手はオルガを見てそう言った。
「まぁ、あちきみたいな田舎馬車の運転手には無理ですよ」
運転手はため息交じりにそう言った。
養殖場地帯を抜けると、町に着いた。
馬車はここで一休憩。
酒を飲まない組は馬車で待ち、酒を飲む組は酒を飲みに観光を始めた。
「ここは薬の町なんだね」
カレンは周りを見てそう言った。
「お酒あるかな」
オルガは周りを見てそう言った。
「薬酒って言うのあったよね・・・」
キャロルは周りを見てそう言った。
「あぁ~・・・あの変に甘くて臭い酒ね」
レイチェルは周りを見てそう言った。
「あれがあったら逃げよう」
レイチェルはカレンたちを見てそう言った。
昔を思い出しながら観光するレイチェルたちは酒屋を見つけた。
薬用酒専門の酒屋だが、つまみは体に悪そうで美味しそうな物ばかりだ。
「若い!小さい!可愛い!」
オルガは煙草を銜えた小さな店主、リヴァ・ロッテ・グロッサを見て笑みながら言った。
「第一声がそれとは随分と愉快な娘だ」
煙草を銜えたリヴァはオルガを見て笑みながら言った。
「なに~?店主さん強いの~?」
椅子に座ったレイチェルは煙草の灰を灰皿に落とすリヴァを見て笑みながら言った。
「私たち、これでも元軍人だよ?」
椅子に座ったキャロルはリヴァを見て笑みながら言った。
「奇遇だな。僕も元軍人だ」
リヴァはレイチェルたちを見て少し笑いなら言った。
「そうなの?ベラ・ジ・ルル軍?」
レイチェルは酒を作るリヴァを見て笑みながら言った。
「神軍だ」
リヴァが酒を作りながらそう言うと、レイチェルたちは顔を見合わせて驚いた。
「とは言っても、何の称号もないただの剣士だよ」
レイチェルたちの前に酒を出すリヴァはレイチェルたちを見て笑みながら言った。
「なんだ~ビックリした~」
冷や汗をかくカレンはリヴァを見てそう言った。
「これが薬酒?」
グラスに入った酒を見たキャロルはリヴァを見てそう言った。
「これは蒸留酒にティルフルっていう松成果実を入れて再醸造し、香り付けしたジンって言う薬用酒を炭酸水で割ったものだ。飲みすぎなければ消化器官に良い」
煙草を持ったリヴァはレイチェルたちを見て笑みながら言った。
「さては人を健康にする気ないな?」
レイチェルは煙草に火をつけて吸うリヴァを見て笑みながら言った。
「健康って言うのは自分から得るものだ。誰かに与えられるものじゃない」
煙草を持ったリヴァはレイチェルを見てそう言った。
少し酒を飲み進めると、レイチェルがリヴァの経歴について深堀し始めた。
「ねぇ、店主はどんな経歴を持ってるの?」
レイチェルはリヴァを見て笑みながら言った。
「闇化生物五百三十八体と魔塊眷属十八体を討伐、魔塊眷属を二体撃退。"死星"の異名を持つ魔塊眷属と戦った時に負傷して退役した」
リヴァは少しつまらなさそうに言った。
「それと、今は一人の弟子が部隊長級乙として、もう一人の弟子が部隊長級柄として陛下の傍で活躍している」
リヴァは少し嬉しそうに言った。
「へぇ~」
グリードリヒたちは少し嬉しそうに言った。
「って、それめちゃすごくない!?」
グリードリヒはリヴァを見て驚きながら言った。
「才能ある者がたまたま僕の所へ来ただけだ」
リヴァはグリードリヒを見てそう言うと、灰皿に煙草を押し当てて火を消した。
午後六時。
リリーたちが宿で休んでいる時、薬用酒専門の酒場に立華 梨々香が来ていた。
「久しいな。リヴァ」
空色眼、朱色髪ポニーテール。黒いカッターシャツを着て黒いコートを羽織り、黒い長ズボンを穿いた色白な肌の男性、立華 梨々香はリヴァを見て笑みながら言った。
「陛下・・・やはり、今回は六合様でしたか」
リヴァは梨々香を見て笑みながら言った。
「彼女にも息抜きが必要だと思ってね」
梨々香は椅子に座りながらそう言った。
「カスミとユリカは元気ですか?」
「元気ですよ。今回はミッケも来ています。会えると良いね」
梨々香はリヴァを見て笑みながら言った。
「・・・会わない方があの子のためでしょうな・・・」
リヴァは悩ましそうに言った。
「面倒ごとに巻き込まれるのは嫌でしょうから」
梨々香の前に酒を出すリヴァは梨々香を見て笑みながら言った。




