休暇編四章 カナルッタ町観光
貧困街を抜け、田舎を抜けると、賑やかな町に出た。
馬車はここで一休みするため、リリーたちは少し観光する。
「やっと町だ~!」
グリードリヒは伸びをしながらそう言った。
「はぁ~・・・なんか疲れた・・・」
ジュリアはぐったりしながらそう言った。
「食べ歩き!食べ歩きしよ!」
エコーはリリーを見て笑みながら言った。
「ここはごちゃまぜだから、みんなで歩こっか」
リリーはアージヴァイズたちを見て笑みながら言った。
リリーたちが食べ歩きしていると、ワイン屋に通りかかった。
「私の名前!私の名前のワイン!」
レイチェルはワイン屋の陳列窓にあるワイン瓶を指さして笑みながら言った。
「レイチェルなんてどこにでも名前じゃん」
寿司が入った木箱を持ったカレンは笑みながらそう言うと、寿司を食べた。
「どれどれ~いくらかな~」
レイチェルはワイン屋の陳列窓にあるワイン瓶を見て笑みながら言った。
神代第二百十一六合期九百万年代、北極島グローニアキャット集落にて醸造。
銘柄 レイチェル。
保管状態 コレクション品。
色 茜。
価格 五百二十万リズ。
「・・・何この値段・・・」
レイチェルはドン引きしながら言った。
「これっていつ醸造??」
寿司を食べたキャロルはリリーを見てそう言った。
「数億年前かな」
リリーはキャロルを見て笑みながらそう言った。
「絶対飲めないじゃん!!」
レイチェルはリリーを見て大声でそう言った。
「というかよく残ってるね!」
驚くキャロルはリリーを見てそう言った。
「当たり前じゃん」
リリーはレイチェルを見て笑いながら言った。
「これは瓶の価値。入ってるのはただの着色水だよ」
リリーはレイチェルを見て笑みながら言った。
「味の価値じゃなくて歴史的価値ってことか。中々興味深いね」
カレンはワイン瓶を見てそう言った。
「瓶の材質は今と同じなのかにゃ」
ミッケはワイン瓶を見てそう言った。
「いいや、数億年経っても形を保ってるんだから明らかに違うよ」
「ロストテクノロジーってやつかにゃ」
ミッケとカスミはワイン瓶を見て話し始めた。
「む~」
レイチェルはワイン瓶を見て不機嫌そうに唸った。
「お嬢さん、北極島式醸造が好みかい?」
店から出てきた老店主はレイチェルを見て笑みながら言った。
「え?これ飲めるの?」
ワイン瓶を指さすレイチェルは煙管を銜えた老店主を見てそう言った。
「ん?」
煙管を銜えた老店主はワイン瓶を見た。
「飲めるには飲めるけど、ただの着色水だよ?」
煙管を持った老店主は笑いながらそう言った。
「店の恰好を良くするための飾りみたいなものさ」
煙管を持った老店主はレイチェルを見て笑みながら言った。
「でも、こういうワインって高いんでしょ?」
レイチェルは煙管を持った老店主を見てそう言った。
「北極島式醸造はピンキリだよ。私が認めるのは一・五サラからの品だね」
「へぇ~気になるから寄ってみて良い?」
レイチェルはリリーたちを見て笑みながら言った。
「私は良いよ」
リリーはレイチェルを見て笑みながら言った。
「まぁ、私たちも別に良いけど」
アージヴァイズたちはレイチェルを見てそう言った。
ワイン屋に入ると、グリードリヒたちはワインを見始めた。
「このワイン瓶かっけぇ」
アージヴァイズは金の装飾が施された酒瓶を見て笑みながら言った。
「南極島で造られた葡萄酒だね。祭事で使用されていた物を真似て作ったって書いてある」
リリーは金の装飾が施された酒瓶を見てそう言った。
「いくらだ・・・?」
アージヴァイズは金の装飾が施された酒瓶を見てそう言った。
「うわ・・・三百リズ・・・」
アージヴァイズは金の装飾が施された酒瓶を見てドン引きしながら言った。
「こういうのは成金が好むから売れるんだよ」
エリーは金の装飾が施された酒瓶を見てそう言った。
「知識が浅いにゃ~」
ミッケは金の装飾が施された酒瓶を見て笑みながらそう言った。
「・・・」
エリーはミッケを見た。
「南極島の民族と言えば燦水天狐族だにゃ。金陽炎聖君、所謂万象様から知恵を貰い、火を起こし、それが聖火として代々守られながら使われている。南極島と燦水天狐族にはそんな歴史がある」
ミッケはエリーを見て笑みながら言った。
「そして!!燦水天狐族が行う祭事と言えば六合万象邂逅祈願祭!北極島の神と南極島の神が再び出会えるようにと祈る美しいお祭り・・・!」
ミッケは目を輝かせながらそう言った。
「・・・」
エリーはミッケを見てドン引きしている。
しかし、ミッケの話は止まらない。
「これは万象様が咲かせたという金色の花だと思うにゃ!これはその聖火!これが人々の喜び!」
ミッケは金の装飾が施された酒瓶を指さしながらそう言った。
「へぇ~」
アージヴァイズたちは金の装飾が施された酒瓶を見てそう言った。
「・・・」
エリーはリリーを助けてほしそうに目線を送った。
「・・・」
リリーはワイン瓶を見ている。
「・・・ん?」
金の装飾が施された酒瓶に目線を戻したエリーはそう呟いた。
「どうしたの?」
オレンジはエリーを見てそう言った。
「何でもないよ」
エリーはオレンジを見てそう言った。
(この花・・・もしかして、金陽華?でも、陛下は一度目の回帰だって言っていた・・・どういうことだ・・・?)
エリーは金の装飾が施された酒瓶を見つめた。
「リリー!これって飲める!?」
レイチェルはリリーにワイン瓶を見せてそう言った。
神代第二百五十万象期百年、中津酒造にて醸造。
銘柄 レイチェル。
保管状態 良好。
色 白。
価格 二・六サラ。
「飲めるよ」
リリーはレイチェルを見て笑みながら言った。
「やった!」
ワイン瓶を見たレイチェルは嬉しそうに言った。
「これ、いつのワインなの?」
キャロルはリリーを見てそう言った。
「約五年前の品だね」
リリーはキャロルを見て笑みながら言った。
「へぇ~」
ジュリアたちはワイン瓶を見てそう言った。
リリーたちはワインを買って店から出ると、小さな売店に行った。
「プラコップと氷、それからお好みで炭酸水か水を買うと良いよ」
リリーはレイチェルを見て笑みながら言った。
「え!?ワインを薄めるの!?嫌だよそんな変な飲み方・・・」
レイチェルはリリーを見てそう言った。
「北極島式ワインは私たちが知るような・・・」
リリーが話していると、レイチェルはさっさと買い物を終え、リリーの腕を引っ張って店から出た。
レイチェルはワクワクしながらワインを開け、プラコップにワインを入れた。
「中津酒造ってどこにあるの?」
ジュリアはワイン瓶を見てそう言った。
「神軍拠点艦三番艦の艦内にある」
リリーはジュリアを見て笑みながら言った。
その時、レイチェルが悲鳴を上げた。
「どうしたの!?」
アージヴァイズたちはレイチェルを見て驚きながら言った。
「ウゥッ~・・・酸っぱい!渋い!舌痛い!」
目をバッテンにしたレイチェルは唸るようにそう言った。
「だから言ったのに・・・」
リリーはレイチェルを見て呆れながら言った。
「どういうこと?」
冷や汗をかいたカレンはリリーを見てそう言った。
「北極島式ワインはアルコール度数が四十度以上ととても高いんだ。だから、薄めて飲むんだよ」
眉を顰めたリリーはグリードリヒたちを見てそう言った。
「あぁ、知らなかったのかにゃ?」
ミッケはレイチェルを見て笑みながら言った。
「甘くないのは!?」
レイチェルはリリーを見てそう言った。
「レムフィト式は発酵中に度数が高い他のお酒を加えて酵母菌をあえて殺すから甘みが残る。それと反対に、北極島式は発酵中に度数が高い他のお酒を加えないから甘みがなくなる。ちなみに、北極島式が古い醸造法だ」
リリーはレイチェルを見てそう言った。
「えぇ~・・・美味しくないよ~」
レイチェルはワインを見てそう言った。
「・・・あのグローニアキャットのお姉さんにあげてこよ!」
青眼、黒髪ツインテール。灰色のワンピースで身を包んだ褐色肌の乙女を見たレイチェルはワイン瓶を持ち、立ち上がってそう言った。
「ダメだよ!割材ないのに!」
キャロルはレイチェルを見てそう言った。
「ねぇ!これあげる!」
ワイン瓶を差し出したレイチェルは青眼、黒髪ツインテール。灰色のワンピースで身を包んだ褐色肌の乙女を見て笑みながら言った。
「ん?お姉さん、十六の乙女に酒を渡すなんてとんだ悪だね」
ワイン瓶を受け取った青眼、黒髪ツインテール。灰色のワンピースで身を包んだ褐色肌の乙女はレイチェルを見て笑みながらそう言った。