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レディフ・フィアンゼ編 十四章 姿を現したノワール。

同年、十月十五日。

ローランたちはレプシデシアに起きた異変を調査するため、橘花国の橘花基地にある資料室に来ていた。

しかし、求めている見つかっておらず、何もわからないままだ。

「レプシデシアの黒色化・・・何もわかりませんね・・・」

研究者1は机に突っ伏してそう言った。

「青い炎と黒色化・・・橘花国にないならどこにもなさそうですね・・・」

ローランは資料を見てそう言うと、資料本を閉じた。

「ベネトさん。少しお腹すきませんか?少しお茶と軽食を買って来ようと思うんですが」

立ち上がる研究員1はローランを見て笑みながら言った。

「ありがとうございます。では、|紅花茶(アルクルトムティー)とクッキーをお願いして良いですか?」

ローランは研究員1を見て笑みながら言った。

「連合から経費が出るんですから、もう少し贅沢してもいいのに」

研究員1はローランを見て少し笑いながら言った。

「レムフィト国民と前線の兵士たちは常に空腹と戦っています。前線へ行かず、卓上で話すだけの者が高価なもので腹を満たすなど許されません」

ローランは研究員1を見てそう言った。

「本当にまじめですね。では、行ってきます」

研究員1はローランを見て笑みながらそう言うと、部屋から出た。

「・・・」

研究員1が資料室から出ると、ローランは立ち上がり、本棚を見て回った。

(ここにも情報がないとなると、グローニア総長も知らない可能性が高い・・・)

ローランは歩きながら本棚を見た。

(いや・・・もしかしたら、みより皇女陛下から聞いているのかもしれない。希望はまだあるか)

ローランは本棚にもたれかかり、本を読む女性の横を通り過ぎた。

「何かお探しで?」

本を持った銀氷眼、青黒髪ショートボブヘア。青と白の綺麗な着物で身を包んだ色白な肌の女性、フィービー・ヴィニ・ミリア=ヘリズランドは笑みながらそう言うと、本を閉じた。

「え?」

振り向いたローランはフィービーを見て少し驚きながら言った。

「あぁ、探し物がないとここには来ませんね。失礼しました」

フィービーはローランを見て笑みながらそう言うと、椅子に座った。

「まぁ・・・でも、なかったので・・・大丈夫です」

少し胸騒ぎを感じるローランはフィービーを見てそう言うと、立ち去ろうとした。

しかし、その時、フィービーが口を開いた。


「レプシデシアの黒色化」


フィービーがそう言うと、ローランが慌てて振り向いた。

「グローニア総長から言伝を頂いてあなたたちに会いに来たんです」

フィービーはローランたちを見て笑みながら言った。

「・・・グローニア総長から・・・?」

ローランはフィービーを見て恐る恐る言った。

「グローニア総長はレプシデシアに起きた変化ついて何か知っているんですか!?」

冷や汗をかいローランはフィービーを見てそう言った。

「グローニア総長はそれこそがレプシデシアの原初の姿だと言っていました。名をノワール・・・と」

フィービーはローランを見て笑みながら言った。

「ノワール・・・」

冷や汗をかいたローランはフィービーを見てそう言った。

「圧倒的だったようですよ。精鋭級第三位と精鋭級第二位を一発の剣技で倒した。なんて話していました」

「・・・なぜ・・・記録が残ってないんですか?部屋中探しましたよ!?」

ローランはフィービーを見て大声でそう言うと、冷や汗を垂らした。

「資料なら前皇女陛下の墓にありますよ」

「ど・・・どうして・・・」

ローランはフィービーを見ると、少しうつむいてそう言った。

「記録があると必ず比較される。比較結果は本人を苦しめるだろう。と、グローニア総長が言ってました」

「まぁ、精鋭級疑似神姫を一発の剣技で倒せる者と比較されたらあまりに可哀想ですよね」

フィービーはローランを見て少し笑いながら言った。

「ただの四等疑似神姫を死闘の末に倒した・・・なんて・・・」

フィービーは笑いながら言った。

「・・・」

ローランたちは何も言い返せず、黙り込んだ。

「失礼・・・」

口元を軽く押さえたフィービーは嘲笑しながらそう言った。

「前の操縦士は精鋭級疑似神姫を数発で倒したのに・・・前の操縦士は雪風部隊を最大限庇いながら月浜四剣士と戦ったのに・・・」

ローランはフィービーから発せれらた月浜四剣士という言葉を聞いて酷く驚き、目を見開いた。

「前皇女陛下と当時の橘花軍人たちは雪風さえ出撃させなければ・・・と酷く悔やんだそうです。悔しさから酒に呑まれて復帰できなくなった者、責任を感じて自害した者まで居たそうです」

フィービーはローランを見てそう言った。

「・・・月浜四剣士を・・・追い詰めた・・・」

ローランは嬉しそうに笑みながらそう言うと、拳を握り込んだ。

「だから、墓まで持っていたわけです。納得していただけました?」

フィービーはローランを見て笑みながら言った。

「前の・・・前の操縦士の名前は?その・・・ノワールを使っていた操縦士の名前!」

ローランはフィービーを見てそう言った。

「リベードリヒ。グローニア総長はそう言ってましたよ」

フィービーは少し困ったように言った。

「リベードリヒ・・・」

ローランはフィービーを見てそう言うと、考え始めた。

「あのお方を俗世の者物が記録に残すことなんてできない。あのお方は世の主ですからね」

フィービーが笑みながらそう言うと、資料室のドアが開いた。

「・・・!?」

ローランは驚きながら周りを見ていつの間にか消えたフィービーを探した。

「すみません、ベネトさん。ちょっと時間がかかってしまって」

研究者1はドアを絞めながらそう言った。

「紅花茶とクッキー。買ってきましたよ」

研究者1はローランを見て笑みながら言った。

「・・・ありがとう・・・ございます」

ローランは唖然としながらそう言うと、紙袋を受け取った。


「・・・」

屋根に現れたフィービーは橘花国の街並みを見た。

「喋り過ぎだよ。小娘」

屋根に座ったウェンディは橘花国の街並みを見てそう言った。

「・・・あなた、何者なんですか?」

「何者って、ウェンディだよ?」

ウェンディはフィービーを見てそう言った。

「私は生まれてから一万年も経つ神だ。南極島に籠り、世の情報が得られなかったとはいえ、神気探知能力は誰よりも高い」

「私からすれば、一万年しか経っていない小娘だよ。六合様が怖くないなら私について聞いてみれば良い」

ウェンディはフィービーを見て笑みながらそう言うと、金色の風になって消えた。

「・・・怖くないわけないだろ・・・嫌な奴め」

フィービーはそう言うと、飛び上がった。


同年、十月十六日。

ローランはフィービーの話が忘れられず、考え込み過ぎて体調を崩し、休暇を過ごしていた。

「月浜四剣士を・・・あの月浜四剣士を・・・」

グラスを持ったローランは氷が浮かんだウィスキーを見てそう呟いた。


レムフィトは以前、月浜四剣士の一角、絶対王者ビゼル・ゼノヴァーンに襲撃されて大きな被害を受けた。

千六百四十三年、当時三歳だったローランは襲撃によって家も家族も故郷も全て失った。

広がる瓦礫の中で泣き、瓦礫の海を彷徨っていたところを当時レムフィト帝国軍の軍人だったクリスティーナ率いる救助隊に救われた。


(月浜四剣士と戦った・・・グローニア総長、レプシデシア前操縦士、ヘリズランドさん・・・他に生き残りが居るとすれば、その人も圧倒的実力者だ・・・)

グラスを持ったローランはウィスキーを飲んだ。

(どうして橘花国は・・・橘 ひより前連合総長はその人たちを外した・・・!!)

グラスを持ったローランは怒筋を浮かべ、グラスを持つ手に力を込めて震えた。

(月浜四剣士と戦える逸材を・・・!!圧倒的に無能だ!!圧倒的に!!)

空になったグラスを持ったローランは机の上にグラスを強く置いた。

強く置いた衝撃で氷が音を立てて崩れた。


一方、アージヴァイズたちは部屋でのんびりしていた。

「なんか・・・神軍が暴れ始めてから一気に争いが減ってるよな。出てくるニュースは友好条約とか何とか・・・そんなのばっかだ」

アージヴァイズはテレビを見てそう言った。

「副総帥、大丈夫かな。何かあったのかな」

オレンジは雑誌を見てそう言った。

「まぁ、何かあったのは間違いないでしょ。レプシデシアを調査した後に休みって」

エコーは拳銃を手入れしながら言った。

エコーは拳銃の刻印に触れると、笑みを浮かべた。


「あ、研究者さん」

廊下を歩いていたミッケは研究者1を見て笑みながら言った。

ミッケを見た研究者1は逃げるように去った。

「・・・何だろう・・・変だにゃ・・・」

ミッケは走り去る研究者1を見てそう言った。


「あの副総帥が休暇を?珍しいね」

携帯端末を握った梨々香は下を流れる雲を見て笑みながら言った。

「あぁ、そうなんだ。それも、レプシデシアの調査を行った後。何か変なことに巻き込まれたんじゃないかと思ってな・・・」

眉を顰めたクリスティーナは電話機を見てそう言った。

「まぁ・・・ちょっとした昔話を知ったんだろう。酒に溺れないように適当に電話をかけて話を聞いてあげるといい」

「あぁ、アドバイスをありがとう。そうさせてもらうよ」

受話器を握ったクリスティーナは電話機を見て笑みながらそう言うと、受話器を戻した。

「誰から?」

櫛を持ったローラに二つ結びの髪を梳かれるリベードリヒは梨々香を見てそう言った。

「レムフィトの総帥だよ。あの副総帥は予想以上に月浜四剣士を恨んでいるようだ」

梨々香はリベードリヒを見てそう言った。

「月浜四剣士ね・・・」

リベードリヒは嘲笑しながらそう言った。

「あれだけ魂魄を使って、まだ戦えるのかな」

リベードリヒは梨々香を見てそう言った。

「早期に撃破された二名は戦えると思うよ」

梨々香はリベードリヒを見て笑みながら言った。

「まぁ、戦う気があるかどうか・・・だけどね」

梨々香は太陽を見てそう言った。


同年、十月十八日。

オレンジたちが更衣室で着替え、カタパルトに向かっていた。

つい数分前、偵察部隊から疑似神姫再襲来の予兆ありと報告があったため、出撃命令が出たのだ。

オレンジたちが出撃準備を行っている時、アージヴァイズは指令室に来ていた。

「何で私だけ待機なんだよ!!」

アージヴァイズはローランを見て怒鳴った。

「レプシデシアがなぜ黒色化したのか、グローニア総長から話を聞くまで出撃は控えてもらいます」

ローランはアージヴァイズを見てそう言った。


「疑似神姫を探知・・・No.59・・・」


冷や汗をかいたオペレーター1は情報が映るモニターを見てそう言った。

指令室を包んだのは、圧倒的絶望感。

精鋭級疑似神姫のNo.2と言われる撃墜王、ケイト・クイーンアイの襲来。

キイ以上の実力者が襲来したのだ。

「へ・・・ヘリズランドさん!ヘリズランドさんは!!」

冷や汗をかいたローランはオペレーター1を見てそう言った。

「呼びました?」

エリーはローランを見てそう言った。

「ヘリズランドさん!早急に出撃してください!!No.59が来たんです!!」

慌てたローランはエリーを見てそう言った。

「それはすごい奴が来ましたね。まぁ・・・」

「足手纏いが居る中で戦うなんて無理なんで・・・」

エリーの言葉を聞いてローランは目を見開いた。

「今は技術者ってことで、技術者たちと避難しておきますね」

エリーはローランを見て笑みながらそう言うと、アージヴァイズが一歩を踏み出した。

「・・・」

エリーはアージヴァイズの拳をいとも簡単に受け止めた。

「!?」

アージヴァイズはエリーを見て驚いた。

「装備した時点で原初化しないなんて論外。前の操縦士であるリベードリは劣等で戦えない最悪な人材なんて悪口ばっかり言われてたなぁ・・・そんな子がビゼルの首を斬りかけたのに、君は何をしたんだろうね」

エリーはアージヴァイズを見てそう言った。

「・・・」

アージヴァイズはエリーを睨んだ。

「ねぇ?優秀で戦える最高の人材。言ってることがわかるかな?」

エリーはアージヴァイズを見て笑みながら言った。

「・・・」

アージヴァイズはエリーを見て目を見開き、怒筋を浮かべた。

「と言うわけで、人が足りないならこの優秀な人材に声をかけてあげてください」

アージヴァイズの拳を簡単に押し返したエリーはローランを見て笑みながら言った。

エリーが去ろうとした時、ローランがエリーの腕を掴んだ。

「・・・何ですか?まだ何か?」

エリーは振り向き、ローランを見てそう言った。

「あなたは誰も気にする必要ないですよ・・・好きなだけ後悔して、好きなだけ自分のことを咎めてください・・・心が傷ついたら、私が慰めます。だから、戦ってください」

ローランはエリーを見てそう言った。

「・・・面白いこと言うね」

エリーはローランを見て嬉しそうに笑みながら言った。

「でも、私は戦場に出ない」

エリーはそう言うと、ローランの手をいとも簡単に振り払った。

「だって、私は人に裏切られたんだ」

エリーはローランを見てそう言った。

「メンタルケアするとか何とか言って、結局誰も私たちのことを気にしなかった」

エリーは少し悲しそうにそう言った。

「少しくらい私たちのために涙を流してくれても良かったじゃないか」

エリーはローランを見てそう言うと、振り返って部屋から出た。

「・・・」

ローランは自分の手を見た。


結局、出撃したのはアージヴァイズだけだった。

エリーは技術者として避難した。

「イテテ・・・緊張し過ぎたのか、腕が痺れて来たにゃ・・・」

ミッケは少し痛そうに腕を押さえながらそう言った。

「・・・」

エリーはミッケを見た。


「・・・」

カタパルトから射出されたアージヴァイズ・レプシデシアは時速四百キロで上昇し、目標へ向かった。

「何人死んだだろう・・・私もここで死ぬのか・・・?」

アージヴァイズ・レプシデシアは泣きそうになりながらそう言った。

アージヴァイズ・レプシデシアが雲を抜けると、遠くに光が見えた。

(あれだ・・・あれが精鋭級のNo.2!!)

アージヴァイズ・レプシデシアは光を見ると、双剣を生成して握った。

(油断してるところを!!斬る!!)

双剣を握り込んだアージヴァイズ・レプシデシアは迫る光を見ながら双剣を構えた。


「・・・」


藍眼、金髪ツインテール、藍色と金色と白色が基調のスカートタイプの戦闘服で身を包む色白な肌のTT-42B-59 ケイト・クイーンアイは双剣を振るアージヴァイズ・レプシデシアを見ると、双剣をいとも簡単に弾き返した。

ケイト・クイーンアイが拳を構えた瞬間、アージヴァイズ・レプシデシアの腹部と胸部に穴が開き、鮮血が噴き出した。

目にもとまらぬ速さで殴られたアージヴァイズ・レプシデシアは殴り飛ばされ、墜ちていった。

「レプシデシアが・・・あんな簡単に・・・」

刀を握ったオレンジ・ゴールドマスターはケイト・クイーンアイを見て怯えながらそう言った。

ケイト・クイーンアイはオレンジ・ゴールドマスターに考える暇を与えない。

オレンジ・ゴールドマスターは一撃で致命傷を負い、墜落していった。

そして、慌てて行動しようとするエコー・ゼレヴィアンもケイト・クイーンアイに腹部を殴られ、墜落した。

(昔の雪風の方が抵抗していた・・・何かの罠か?)

ケイト・クイーンアイは次々と雪風型戦姫を殴り飛ばした。

「こ、こんなのにどうやって勝てばいいんだ・・・!!」

怯える連射型雪風1はケイト・クイーンアイを見てそう言った。

「居るのはわかってる・・・出て来い!!氷鳥!!」

ケイト・クイーンアイは叫びながら雪風型戦姫を殴り、木端微塵にした。


一方、指令室では異常事態が起きていた。

「映像ダウン!」

「情報ダウン!」

「海上部隊との通信網が遮断!」

オペレーターたちは異常が発生するモニターを見て大声でそう言った。

「レプシデシアの回収は!?」

少し慌てるローランはオペレーターたちを見てそう言った。

「エネルギー過剰供給によりカタパルトの緊急安全装置が作動!回収部隊が出撃できません!」

冷や汗をかいたオペレーター5はローランを見て大声でそう言った。

「どうなってる・・・」

ローランは酷く焦りながらそう言った。


上空に戻り。

「叫ぶなんて、優雅さの欠片もありませんね」

フィービーはケイト・クイーンアイを見てそう言った。

「ッ!!」

ケイト・クイーンアイはフィービーの声を聴いて驚き、拳を構えてフィービーを見た。

「ま、まさか・・・お前が・・・お前が原初化を・・・」

冷や汗をかくケイト・クイーンアイは青い光の線に繋がれたアージヴァイズ・レプシデシアを見てそう言った。

「詳しいことは"約束"があるので言えませんが、簡単に言えば陛下から頼まれたんです」

「・・・お前たちが言う"陛下"は何者だ」

拳を構え続けるケイト・クイーンアイはフィービーを見てそう言った。

「カルジェルド」

フィービーはケイト・クイーンアイを見て笑みながらそう言うと、アージヴァイズ・レプシデシアに力を注ぎ始めた。

「カルジェルド?お前たちは原初の太陽と仲良しなのか?」

ケイト・クイーンアイは困惑しながらそう言った。

「その反応になるのは当然です。わかるはずないんですから・・・俗世人が、天上のことなんて」

「・・・」

拳を構え続けるケイト・クイーンアイは黒色化するレプシデシアを見た。

「人による神の真似事は終わりです」

フィービーは笑みながらそう言うと、霞になって消えた。

その瞬間、アージヴァイズ・レプシデシアが青い炎を放ち、雲が燃えて消えた。

「・・・」

ケイト・クイーンアイは熱風を受けてよろけながらもすぐに体勢を立て直し、拳を構えた。

「・・・」

アージヴァイズ・ノワールは瞼を開けると、青く輝く双剣を生成して握った。

その瞬間、アージヴァイズ・ノワールの周りに光剣が生成され、アージヴァイズ・ノワールの周りを回転し始めた。

「・・・また見ることになるなんてな・・・奴も神だったってわけか・・・」

ケイト・クイーンアイはアージヴァイズ・ノワールを見てそう言うと、アージヴァイズ・ノワールに向かった。

「拳技。天轟霹靂(てんごうへきれき)!」

拳を構えたケイト・クイーンアイはアージヴァイズ・ノワールを見てそう言うと、拳を振った。

稲妻が上空に走り、雷鳴が轟く。


それと同時に指令室の情報が全て復活した。

「映像復帰!」

オペレーター2は映像が映るモニターを見て笑みながら言った。

「ベルコントさん!」

ローランは驚きながら映像が映るモニターを見てそう言った。


(なんて力だ・・・ビクともしないッ!!)

ケイト・クイーンアイはアージヴァイズ・ノワールを見て目を見開いた。

青く輝く双剣を握ったアージヴァイズ・ノワールはケイト・クイーンアイに青く輝く双剣を振る。

ケイト・クイーンアイは青く輝く双剣を軽く回避し、次々と飛んでくる光剣を殴り砕いた。

「近距離なら!!」

ケイト・クイーンアイはアージヴァイズ・ノワールを見てそう言った。

しかし、その瞬間、ケイト・クイーンアイは思い出す。

(・・・私は何か勘違いしてないか・・・?近距離でなら勝てるなんて・・・奴はそんな甘い奴じゃなかっただろ・・・)

冷や汗をかくケイト・クイーンアイはアージヴァイズ・ノワールを見て目を見開いた。

「・・・」

青く輝く双剣を握ったアージヴァイズ・ノワールは青く輝く双剣を構えた。

(リベードリヒ・・・ノワールッ!!)

ケイト・クイーンアイが青い炎に現れる幻覚を見ると、目が震え、呼吸が乱れた。

ケイト・クイーンアイは青い炎の斬撃波に斬られた。

青い炎は円を描き、弾けて消えた。


「No.59・・・ロスト・・・」

冷や汗をかいたオペレーター1は情報が映るモニターを見てそう言った。

「・・・勝った・・・?」

唖然とするローランは映像が映るモニターを見てそう言った。


結局、アージヴァイズとエコー以外重傷を負うことになった。

最悪な事態だが、No.59の討伐には成功。

今回はアージヴァイズたちを英雄視する者は現れず、逆に気味悪がる者が多くなった。

「・・・大丈夫ですか?」

コーヒーカップを持ったローランはテラス席に座って空を見るアージヴァイズを見て笑みながら言った。

「私・・・何が起きたかわからねぇんだ」

アージヴァイズは空を見てそう言った。

「・・・アージヴァイズさん。よく頑張りました。今回は本当にお手柄ですよ?」

ローランはアージヴァイズを見て笑みながら言った。

「知らないうちに勝ってたんだ。あれは私の力なんかじゃない」

「・・・」

ローランはアージヴァイズを見て黙り、少しうつむいた。

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