レディフ・フィアンゼ編 十章 リリー・ゼノクイーン対カルジェン・バース。後編
「・・・!!」
浜辺の波打ち際に倒れるアージヴァイズは目を覚ますと、周りを見た。
周りには、壊れたAA-09Aが転がっていて、オレンジたちが倒れている。
「気が付きましたか。一番早い復帰ですよ」
緑眼、薄緑色髪ショートツインテール。薄緑色のカッターシャツを着て黒いミニスカートを穿いた色白な肌の少女はアージヴァイズを見て笑みながら言った。
「・・・誰だ・・・?お前・・・」
ゆっくりと起き上がったアージヴァイズは大きな荷物を持った緑眼、薄緑色髪ショートツインテール。薄緑色のカッターシャツを着て黒いミニスカートを穿いた色白な肌の少女を見てそう言った。
「山下です。山下 ゆかりです。潜水艇で移動していたところ、海に落ちて来たので急遽引き上げました。とてもビックリしましたよ」
山下 ゆかりはアージヴァイズを見てそう言うと、傍に置いてあった大きな荷物を背負った。
「助けてくれたのか・・・ありがとな」
アージヴァイズは少しうつむいて呟いてから、ゆかりを見て感謝の言葉を述べた。
「礼には及びませんよ。では」
大きな荷物を背負ったゆかりはアージヴァイズを見て笑みながらそう言うと、潜水艇が停泊する堤防の方へ歩き出した
「そうだ・・・リリーは!あの疑似神姫は!」
アージヴァイズは空を見てそう言った。
「あんた!」
アージヴァイズは大きな荷物を背負ったゆかりを見てそう言うと、大きな荷物を背負ったゆかりを追いかけた。
「触らないでくださいね」
大きな荷物を背負ったゆかりは歩みを止めることなくそう言った。
「!?」
ゆかりを止めるために大きな荷物に触れようとしたアージヴァイズは足を止めて大きな荷物を背負ったゆかりを見た。
「・・・何か御用ですか?」
立ち止まった大きな荷物を背負ったゆかりは振り返り、アージヴァイズを見てそう言った。
「あ、あぁ・・・潜水艦に観測用の双眼鏡とかあるだろ!?上で戦っているであろう仲間を見たいんだ!」
アージヴァイズは大きな荷物を背負ったゆかりを見てそう言った。
「・・・はぁ・・・わかりました」
大きな荷物を背負ったゆかりはため息を浮いて渋々そう言った。
「ついて来てください」
大きな荷物を背負ったゆかりはアージヴァイズを見てそう言うと、再び潜水艇に向かって歩き始めた。
四分とちょっと歩き、潜水艇が近くで見える位置まで来た。
潜水艇は二、三人用の小さなもので、色も白色を基調に船首が明るい緑色と少々子供っぽい。
アージヴァイズが想像していたような大きくて厳ついものではなかった。
「なんか安っぽ・・・大丈夫かよ」
アージヴァイズは蔑んだ目で潜水艇を見てそう言った。
「一隻約三百リズです。水深千メートルまで潜れます」
大きな荷物を背から下ろし、手に持ったゆかりはそう言うと、軽く潜水艇に飛び乗った。
「身体能力すげぇな・・・」
アージヴァイズはそう言うと、少し助走をつけて潜水艇に飛び乗った。
アージヴァイズが飛び乗った衝撃で潜水艇が大きく揺れ動いた。
「おぉ!こぅえぇ~・・・!!」
ビビるアージヴァイズは必死にしがみつきながら言った。
「では、潜航せずに航行させますので適当に見てください」
大きな荷物を持ったゆかりはアージヴァイズを見てそう言うと、潜水艇の中に入っていった。
「ちょっと心配だな・・・まぁ、良いか」
アージヴァイズは潜水艇の昇降口を見てそう言うと、艦橋にある観測用双眼鏡に向かって歩いていった。
「・・・・・・見つけた!」
観測用双眼鏡を覗き、少し動かしたアージヴァイズがそう言うと、潜水艇が動き始めた。
一方、上空ではリリー・ゼノクイーンとカルジェン・バースが激突し続けていた。
(強い・・・攻めてこない・・・だけど、攻撃が全て防がれてる・・・)
疑似神気極限圧縮糸を振るうカルジェン・バースは赤く輝く刀で防ぐリリー・ゼノクイーンを見つめた。
「あの糸、生成するにも保たせるにも大量のエネルギーが必要になるっぽい。エネルギーの減りが異常だ」
操舵桿を握ったゆかりは情報が映るモニターを見てそう言った。
「リリー・・・!クソ!」
観測用双眼鏡を覗くアージヴァイズは悔しそうにそう言った。
「おい!山下!この船に武装はないのか!!七センチ砲とか!」
アージヴァイズは潜水艦の中に入りながら大声で言った。
「ないです。民間船なので」
操舵桿を握ったゆかりは情報が映るモニターを見てそう言った。
「後、勝手に入らないでください。下手なことをすると殺しますよ?」
操舵桿を握ったゆかりはアージヴァイズを見てそう言った。
「ご、ごめん・・・」
アージヴァイズは申し訳なさそうにそう言った。
「でも!リリーが!私の仲間が危ないんだ!」
アージヴァイズはゆかりを見てそう言った。
「そんなこと言われてもどうにもできません。早く外に出てください」
操舵桿を握ったゆかりは情報が映るモニターを見てそう言った。
「・・・」
アージヴァイズは悔しそうにゆかりを見ると、昇降口に向かおうと振り向いた。
「おぉ・・・」
振り向いたアージヴァイズは目を瞑り、椅子に座ったローズブロンド色髪ツインテール。橙色の服を着て赤い上着を羽織り、橙色のスカートを穿いた女性を見て驚き、声を漏らした。
(なんだあの人・・・)
アージヴァイズはローズブロンド色髪ツインテール。橙色の服を着て赤い上着を羽織り、橙色のスカートを穿いた女性を見ながら潜水艇の外に出た。
「リリー!!ゼノクイーンに封じられている赤紫ノ龍神はみんなを不幸にしたか!あの後、どれだけみんなが苦労したか!わかるでしょ!?」
赤く輝く刀を握ったリリー・ゼノクイーンを見るカルジェン・バースは糸を操りながら言った。
赤く輝く刀と糸がぶつかる度、大きな火花を出す。
「・・・」
リリー・ゼノクイーンは何も言わない。
カルジェン・バースは大量の疑似神気極限圧縮糸を操り、雲を切り裂いた。
(刀を掴んで奪ってしまえば!!)
カルジェン・バースは赤く輝く刀を握ったリリー・ゼノクイーンを見つめると、疑似神気極限圧縮糸を赤く輝く刀に振った。
疑似神気極限圧縮糸が赤く輝く刀に絡まった。
「捕まえた!!」
カルジェン・バースは疑似神気極限圧縮糸が絡みつく赤く輝く刀を見て笑みながら言った。
カルジェン・バースは赤く輝く刀を絡めた疑似神気極限圧縮糸を引っ張ると、目を見開き、冷や汗をかいた。
(う、動かない・・・)
目を見開いたカルジェン・バースは疑似神気極限圧縮糸を見つめると、その先にいる赤く輝く刀を握ったリリー・ゼノクイーンを見た。
「通常なら良い案だ。だが・・・これを私にやるのは自殺行為だ」
赤く輝く刀を握ったリリー・ゼノクイーンはカルジェン・バースを見てそう言うと、赤く輝く刀を引っ張った。
(この力・・・人じゃない・・・)
目を見開き、驚くカルジェン・バースは赤く輝く刀を握ったリリー・ゼノクイーンを見つめた。
「・・・残り四十五分だね」
銀眼、銀髪ベリーショートツインテール。紺色が基調の青いフリル付きのスカートタイプの戦闘服で身を包むメアリー・ジョアン・ポヴェイは懐中時計を見てそう言った。
「グローニア様の意思が金華大神様の全てを抑制している・・・全ては終わらない夜が悪いのだが・・・」
黒色のミニコルセットドレスで身を包んだリアンロゼスティは懐中時計を見てそう言った。
「・・・おい・・・正面に疑似神姫が居るぞ!!」
観測用双眼鏡に掴まったアージヴァイズは観測用双眼鏡で空中で静止している水色の疑似神気を纏う水色眼、金髪にツインテール。黒色と水色が基調のスカートタイプの戦闘服で身を包んだ生者とは言い難い肌のTT-42B-33 エミリア・ミーティアを見て大声で言った。
「来ちゃいましたか。まぁ、お気になさらず」
操舵桿を握ったゆかりは映像が映るモニターを見てそう言った。
その時、地上から大きな土煙が上がり、数秒後、轟音が鳴り響いた。
「リリー!」
アージヴァイズは大きな土煙を見て目を見開き、そう言った。
「あ・・・ぁはぁ・・・!!」
振り回され、地面に叩き落されたカルジェン・バースは呼吸困難に陥っていた。
(どうして・・・わかってくれないんだ・・・)
怒筋を浮かべたカルジェン・バースは叫びながら起き上がり、大量の疑似神気極限圧縮糸を身に纏わせた。
「まさか神軍の輸送船に遭遇するとは・・・運が良い」
エミリア・ミーティアはそう言うと、握り込んだ拳を構えた。
「お、おい!拳を構えたぞ!!」
アージヴァイズは観測用双眼鏡を使ってエミリア・ミーティアを見て冷や汗をかきながら言った。
「少し騒がしいよ。うさちゃん」
天眼、ローズブロンド色髪ツインテール。橙色の服を着て赤い上着を羽織り、橙色のスカートを穿いた女性、ソーニャ・マーガレット・アシュクロフトは水色の光を見てそう言うと、薙刀を生成して握った。
(い、いつの間に!!)
アージヴァイズはソーニャを見て一気に冷や汗をかいた。
「雷炎剣技。雷炎飛燕!」
薙刀を握ったソーニャはそう言うと、雷炎を纏った薙刀を振った。
「!?」
エミリア・ミーティアは一瞬にして目の前に飛んできた雷炎の飛燕を見て驚いた。
エミリア・ミーティアは雷炎の飛燕に貫かれ、爆散した。
「す、すげぇ・・・」
アージヴァイズはバチバチと音を立てて消える雷炎の尾を見て唖然としながら言った。
その時、再び轟音が鳴り響き、海面が少し揺れた。
「・・・リリー・・・」
アージヴァイズは崩れるモントベルワーズビーチ基地を見て冷や汗をかきながら言った。
「・・・」
土煙を切り裂いて赤く輝く刀を握ったリリー・ゼノクイーンと青緑色の疑似神気を纏ったカルジェン・バースが姿を見せ、再び激しく衝突し、カルジェン・バースの大量の疑似神気極限圧縮糸が太陽光を反射して光っていた。
大量の疑似神気極限圧縮糸は瓦礫を無造作に切り裂きながらリリー・ゼノクイーンに向かう。
リリー・ゼノクイーンはそれを正確に弾き続ける。
「あれが月浜の主力疑似神姫・・・なんて力だ・・・」
ローランは映像が映るモニターを見て驚きながら言った。
「このままじゃここも切られちゃいますよ!」
オペレーター1はローランを見てそう言った。
「・・・総員退避用意!」
ローランは映像が映るモニターを見てそう言った。
「ダメよ」
みんなは声が聞こえた入り口を見た。
そこには、橘 ひよりが居た。
「おっとっと」
クリスティーナはひよりを見つけて急いで止まった。
「構わず退避用意を進めてくれ」
クリスティーナはローランたちを見てそう言った。
オペレーターたちは急いで指令室から出た。
「あぐぁ・・・アァァァ!!!!」
カルジェン・バースは叫びながら疑似神気極限圧縮糸を操り続けた。
「そこまでだ」
赤く輝く刀を握ったリリー・ゼノクイーンはカルジェン・バースを見てそう言うと、カルジェン・バースの両腕を斬った。
カルジェン・バースは地面に膝を突き、リリー・ゼノクイーンを見て目を見開いた。
ひよりはオペレーター4が置いたインカムを手に取り、着けた。
「リリー・ゼノクイーン。私の声が聞こえてるでしょ?」
インカムをつけたひよりは何も映らないモニターを見てそう言った。
「無駄死にする必要はない。人に戻れ」
赤く輝く刀を握ったリリー・ゼノクイーンはカルジェン・バースを見てそう言った。
「・・・これは無駄死にじゃない。お前を道連れにする栄誉の死だ!!」
カルジェン・バースはリリー・ゼノクイーンを見て笑みながらそう言うと、発光し始めた。
「奴らを確実に仕留めるのよ。そうしたらここに居る私が疑似神姫に恐れず最後まで指揮をした者として支持を得られる」
インカムをつけたひよりは何も映らないモニターを見てそう言った。
インカムをつけたひよりが言ったその時、指令室のコンクリート壁と金属壁を何かが激しく打ち破った。
「・・・」
驚いたひよりは頭を抱え、小さく丸まりながら土煙を見た。
クリスティーナは音に驚いて伏せていた。
「グローニアさん!」
ローランは驚きながら液状疑似神気塗れのリリー・ゼノクイーンを見て言った。
「・・・はぁ~・・・気分最悪だ」
液状疑似神気塗れのリリー・ゼノクイーンは空を見てそう言った。
「グローニア総長。総員レムフィト基地へ退避です」
焦るローランは液状疑似神気塗れのリリー・ゼノクイーンを見てそう言った。
「わかった。少し休んでから行くよ」
「・・・絶対ですよ?」
ローランはそう言うと、クリスティーナと一緒にひよりの腕を掴み、指令室から急いで出た。
「歩く!自分で歩くから!」
顔を青くしたひよりは崩れた基地の廊下を見て泣きそうになりながら言った。
ひよりが歩き始めると、クリスティーナとローランはひよりの手を離した。
「大丈夫?」
紫色眼、白髪セミロングヘア。黒いコルセットドレスで身を包んだ色白な肌の少女は液状疑似神気塗れのリリー・ゼノクイーンを見てそう言った。
「気分以外は」
液状疑似神気塗れのリリー・ゼノクイーンは紫色眼、白髪セミロングヘア。黒いコルセットドレスで身を包んだ色白な肌の少女を見てそう言った。
上陸したアージヴァイズは崩れた基地を見ると、周りを見ながら走り始めた。
「・・・リリー・・・」
崩れた基地を走るアージヴァイズは周りを見てそう言った。
アージヴァイズは足を止めると、向かい合うみよりとニーナとそれを見るエリーを見た。
「・・・久しぶりに見たわ・・・あなたの顔・・・」
ニーナはみよりを睨みながら言った。
「字江摩野戦線も四十年以上前になるのね」
みよりはニーナを見て笑みながら言った。
「よく笑えるわね・・・この鬼畜が・・・」
「戦場になればどうなるかということも考えずに月浜と結託し、アーヴァンという神国と戦うことを選んだあなたたち字江摩野島民が悪いわ」
「・・・」
ニーナはみよりを睨みながら歯を食いしばった。
一方、崩れた基地の屋上に立つリリーはみよりとニーナを見ていた。
「今回の幹部会議は私が行おう」
リリーはニーナを見てそう言った。
「梨々香お兄ちゃんが?」
赤紫色眼、白髪セミロングヘア。黒いコルセットドレスで身を包んだ色白な肌の少女はリリーを見てそう言った。
「梨子ちゃんが行くと大陸が大変なことになりそうだからね」
リリーは崩れたモントベルワーズ基地を見てそう言った。
「流石にもうそんなじゃないよ~。まぁ、わかった。予定変えとくね~」
赤紫色眼、白髪セミロングヘア。黒いコルセットドレスで身を包んだ少女はリリーを見て笑みながら言った。
「まぁ、明日にでも死ぬかもしれない老人よ。床に臥せるその時が来たら喜ぶと良いわ」
みよりはニーナを見て笑み続け、そう言った。
「そうはさせないわ。私たちが必ずお前を殺す」
ニーナはみよりをに睨みながら言った。
「無理な話ね。リリーとエリーに勝てるというなら話は別だけど」
「・・・」
ニーナはみよりを睨み続けた。
「ニーナ。神軍の輸送船にエミリアがやられた」
TT-42B-48 ドロシー・カックエルはニーナを見てそう囁いた。
「・・・輸送船なんかにエミリアが?」
ニーナはドロシー・カックエルを見て少し驚きながら呟いた。
「神軍の上層部がバックにいる可能性がある。追うか?」
「目的地は?」
「西華国だ」
「・・・行くわよ」
ニーナは疑似神姫たちを見てそう言うと、TT-42B-44 カルジェルドを装備し、みよりを睨みながら上昇していった。
ニーナ・カルジェルドに続いてドロシー・カックエルたちも撤退していった。
同年、九月二十五日。
みよりが到着先のレムフィト基地で倒れた。
みよりの大事に橘花国から政府官僚と軍人たちが駆け付け、言葉をかけている。
寝た状態で少しずつ話を聞いたみよりはゆっくりと永遠の眠りについた。
共存共栄の栄華に憧れ、目指し、国民に愛された東の大君主、橘 みよりは生前に残した意向により、レムフィトのサンウォーター大聖堂の墓地に埋葬されることになった。
みよりが入った棺は橘花国旗とアーヴァン王国旗で包まれ、橘花の紋章とアーヴァン紋章が刻まれた墓に埋葬された。
一方、アージヴァイズたちはカルジェン・バースを撃破したとして功績が称えられ、東和連合の上層軍人たちに祝われていた。
「君たちは月浜の脅威から東和連合を救った英雄だ!」
「これからの活躍に期待しているよ!」
「君たちはヒーローだ!」
東和連合の上層軍人たちはアージヴァイズたちを見て笑みながら言った。
「いやぁ~!そんなことないよ~!」
照れるアージヴァイズは嬉しそうにそう言うと、コーラ入りのグラスを持ってコーラを飲んだ。
「ヒーロー・・・」
オレンジは東和連合の上層軍人たちを見て笑みながら言った。
同年、九月二十六日。
西華国夜秋州に移動した梨々香はリアンロゼスティ以外の神軍上層部を集め、会議をしていた。
「これが今回の成果か。良い調子だね。人を多く入れて正解だった」
梨々香はタブレット端末を見て笑みながら言った。
「訓練に耐えてきた精鋭しかいないからね」
黄眼、薄金髪ツインテール。水色が基調のスカートタイプの戦闘服で身を包んだ色白な肌のウェンディ・オブ・ブラウンは梨々香を見て笑みながら言った。
「宿幼討伐後の生活は私が保障させてもらう。部隊員にも公表してくれ。不安はない方が良いからね」
梨々香はウェンディを見て笑みながら言った。
その時、降って来た爆刃が地面に突き刺さった。
「もう来たか」
梨々香が爆刃を見てそう言うと、爆刃が起爆した