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【11/1コミカライズ連載開始】魔術師の杖 短編集 ネリアとレオポルドのじれじれな日常  作者: 粉雪@『魔術師の杖』11月1日コミカライズ開始!
現パロ

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現パロ 奈々と三人組

『魔術師の杖』の現パロです。

以前X に掲載した物を、加筆して載せておきます。

本編だと三歳差ですが、みんな高校生です。

 私、松瀬奈々は高校に入学してさっそく最大のピンチだ。


 目の前に並ぶのは壁!


 ひとりは短髪の凛々しい顔の、いかつい体格をしたイケメン。


 もうひとりはどこまで伸ばす気だってぐらい、髪を長く伸ばした……なんだか神々しいぐらいの美形。


 そして最後は黒縁眼鏡をかけた、いたってふつうな感じの人なんだけど。


 どんなタイプだろうと、三人並べば肉の壁だ。


 なんでこいつら全員背が高いの?


 うちのアニキより高い……何食ったらそうなるのよ!


 長髪の美形が私を見おろして、ぽそりと言った。


「子猫……」


 短髪のイケメンが、その意見に首をかしげる。


「子兎では?」


 黒縁眼鏡の男が、眼鏡のブリッジに指をかけた。


「いや、子犬ちゃんだろ」


「ととと通していただけますかっ⁉」


 眼鏡の奥にある、緑がかった目がスッと細められる。


「ほら、キャンキャン言うし。やっぱ子犬ちゃん」


「がるるぅっ!」


 私としてはグワッと口を開けて、牙をむいたつもりなんだけど……相手にはまるで効果がなかった。眼鏡の男はうれしそうに、にんまりとする。


「いいねぇ、もっとかみついてほしいなぁ。お気に入り認定しちゃお」


 威嚇、大失敗!


「於堂、何人お気に入りを作る気だ……これで十人目だぞ」


 短髪のイケメンが注意すると、眼鏡の男――於堂というらしい――は肩をすくめる。


「えぇ?にぎやかな方が楽しいじゃん」


(十人……まちがいなく女の敵!)


 私が警戒を強めていたところに、長髪の美形がすっと何かを差しだしてきた。


「やる」


「へ?」


 とんでもない美形に差しだされたのは、ピチッとラッピングされた鶏肉の固まり、つまりサラダチキンだった。


 そのままかじってもいいけれど、手で裂いてサラダに混ぜてドレッシングやチーズと食べてもおいしい。ただ美形からそれをもらう理由がわからない。


「あ、ありがとうございます?」


 疑問形をつけたままお礼をいうと、於堂が驚いた感じで声をあげる。


「え、玲央ってば気に入っちゃったの?」


「…………」


「わぁ、ちょっと。玲央君てば暴力反対!」


 玲央と呼ばれた長髪の美形は、ガシッと於堂の肩をつかむと、ズリズリと引きずっていく。意外と力もあるらしい。ポカーンと見送っていたら、短髪のイケメンが眉を下げて謝ってきた。


「騒がせてすまない。君の名前は?」


「えと……」


「あっ、いきなりじゃ警戒するよな。俺は来亜須という」


 にっこりするだけでまぶしい笑顔なのに、白い歯までキラッと光る。


(何この人、めっちゃイケメン!コワモテだけど笑顔やさしい!)


「私は松瀬……奈々です」


「奈々か、よろしくな!」


「は、はいっ!来亜須さん、よろしくお願いします。それであの……このサラダチキン、もらっといていいのでしょうか?」


 来亜須は私の手にあるサラダチキンを見おろした。


「玲央が『やる』と言ったんだし、食べてしまっていいと思う」


「はぁ」


(いや、いきなりサラダチキンもらっても、ふつうは食べないでしょ。どうしよ……家に帰ったらアニキに食べさせちゃえばいっか……)





 三人が去り、ようやく開けた視界の向こうには校舎、そして奈々の手にはサラダチキン……。


 果たして奈々の高校生活はどうなる⁉️

サラダチキンは玲央の非常食で、お腹が空いたら食べます。あれは持ち歩きやすくコスパがいいのです。同じ理由で魚肉ソーセージを持ってたりします。

今は奈々にあげてしまったので、於堂を引きずって学食にパンを買いに行きました。お坊ちゃんですが於堂の教えたジャンクフードも好みます。

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