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猫耳女王と犬っコロの狼王1    作者: なたでここ
2/2

カムイとの関係?

私の名前はまだ無い…もうないと言った方がいいのかな?

奴隷商人に捕まりそれ以降の記憶を消されてしまった…人とも話せるし常識もある程度理解はしている。


わからないことは自分のことだけ。どこで生まれたのか、何をして育ったのか、親が誰なのか、自分の名前はなんなんか

何もわからない…


唯一わかるのは私の種族が白猫で白い狼に奴隷として買われたことぐらい。


買われた後は白黒の服を着た人に抱えられて……





「にゃうぅ〜」


白猫の少女は目を覚まし、ベッドから身を起こす。


「おはようございます。」


少女に向かって突然声がかかる。


「にゃう?!……ごっごめんなさい!!」

「突然謝ってどうしたんですか?」

「だって…奴隷なのにベットで寝ちゃって…」


怒られる…殴られる…どうしよう…


怯え、泣きそうな少女をメイドは優しく撫でる。


「そんなに怯えなくても大丈夫よ、何もしないわ。それにベットに寝かせたのは私だから」

「にゃう?ほんとに?…ひどいことしない?」

「本当よ…それからお風呂に入りましょう。さっぱりするわ。」

「にゃう!」


少女はお風呂場に行こうとするメイドを追いかけようとした時にあることに気づいた少女。


自分の首につけられていたはずの《服従の首輪》が外されている。


それに狼が少女の腕に自身の前足を絡ませて、()()()()()寝ていた。


「どうしたの?いくわよ」

「その…ご主人様が離れなくて…」

「なるほど」


扉から出ていこうとしていたメイドがベットの方に戻ってくる。するとメイドは狼を力ずくで少女から引き剥がす。


「ワウンッ!ワン!クゥーン…」


狼は寝ぼけたように犬のような鳴き声を上げる。


「あ、ありがとうございます」

「いえ、毎朝のことなので大丈夫ですよ」


毎朝こんなことを…それよりご主人様に怒られないかな…


「ほら行きますよ」


メイドは少女の手を引っ張り部屋から出て行く。





メイドと少女がお風呂に入っている最中、1人部屋に残された狼の目が覚める。


「おはよ〜マドカ〜……マドカ?」


狼は辺りをキョロキョロ見回すがそこには誰もいない。


「マドカが…マドカがいなくなっちゃった…どうしよう…どうしよう…はっ!メイド長に聞けば…」


狼はベットの隣、小さい小棚の上にある《|魔導式呼出鈴》《ハンドベル》を咥えるとそれを鳴らす。


《|魔導式呼出鈴》《ハンドベル》は貴族階級の者なら基本的に持っており鳴らせば自分の専属メイド•執事に必ずベルの音が聞こえる魔道具。


《|魔導式呼出鈴》《ハンドベル》を鳴らすとメイドから《思念通信(デンワ)》で声が送られて来る。


『申し訳ございません、だだいま外せない作業中なので《思念通信(デンワ)》で失礼します。してどうしたのですか?カムイ様…』

『メ、メイド長っ!!マドカ知らない?!いなくなっちゃった!!』

『落ち着いて威厳を保ってくださいカムイ様。マドカ様はいま私とお風呂に入ってました。今体を拭いていますのでもうすぐそちらに戻ります。それと本当の姿に戻っていた方がいいかと…』

『なんで?』

『将来の奥さんに隠し事するんですか?それも姿を偽るなんて…とりあえずもうすぐ戻りますので早く決めてくださいね、妻に嘘をつくのかつかないのか。』


それを最後にメイドと狼の《思念通信(デンワ)》が終わる。


「本当の姿を見せてマドカにガッカリされないかなぁ…」


狼の独り言が部屋に響く。狼は常に《偽装変身(ルワーカ)》の魔法を使い自らの姿を変えている。


「よし決めた!嘘はつかない…後々バレるよりはいい…」


狼がそう呟くと狼の体が淡く光った。その次には姿が変わっていた。

偽装変身(ルワーカ)》を解いたのだ。


狼の見た目大きさ共に変わった。または全長1.5メートルはあるかと思える大きさだったのに対して変わった姿は全長30センチぐらいしかなく、見た目は子犬そのものだった。




お風呂から上がり少女の体と髪を拭きながらメイドは口を開く。


「さっぱりしましたね。それに洗ったおかげか髪も肌も余計に白くなりましたね。とても可愛らしいですよ」

「にゃ?!にゃ〜」


少女の顔が赤くなっていく。肌が白いせいだろうか余計に赤く見えてしまう。


「それと服なのですが、合うサイズが無くて、今はこれで我慢してもらえますか?」


そう言いながらメイドは半袖の服を出す。そのまま少女に服を着せていった。


「えっと、その…ありがと…ございます」


少女は涙を数滴流していた。それも当たり前だ。少女は自分の記憶が無い、あるのは奴隷としての生活の記憶だ。

そんな少女がボロ切れ以外の服を貰い、着させてもらっている。とても嬉しいのだろう。


「もう、このぐらいで泣いていたら身が持ちませんよ…それに服が濡れてしまいます。」

「ご、ごめんなさい」

「別に責めているわけではありません」


それだけ言って少女の手を引くメイド。

扉の取手にメイドが手を置くと扉に魔法陣が現れ淡く光る。

メイド十八番の一つ《扉境界線転移(メイドの嗜み)》を発動させた。


扉境界線転移(メイドの嗜み)》は扉に付与された魔法陣と魔法陣を繋げて空間を移動する魔法。

自身の魔法陣が付与されているのならば魔力が続く限りどこへでも転移できる。

貴族階級の身分に仕えるメイド長は自身が働く扉全てに魔法陣を付与している事が多い。

…閑話休題


「カムイ様入りますよ」


メイドはそれだけ言うと部屋に入って行く、もちろん少女の手を引いて。


「カムイ様、マドカを連れて来ました。」


「マドカ!!今行く!!」


ベットから小さい白色の塊が走って来る。

走って来ると、メイドの影に立っていた少女に向かって白い塊が飛んだ。


「にゃ?!」


少女は間一髪飛んできた白い塊をキャッチする。


「ナイスキャッチ、マドカ」


白い塊は少女の胸から顔を上げる。


「ご主人様……の子供?」


少女は首をかしげる。


「違うよ!!正真正銘カムイだよ!!」


白い塊は吠えるように言う。


「はぁ、とりあえず事情を話すので座りましょう。」


メイドは部屋の真ん中にあるテーブルにお茶の準備をしながら言う。


「もちろんマドカも触ってくださいね」


「わ、わかりました……ご主人?降ろしますか?」


「降ろさなくていい!」


「カムイ様はこっちに座ってください」


少女に抱かれていた白い塊をメイドはひったくりテーブルに乗せる。


「それではカムイ様色々と説明してください」


「ワンッ!!まずマドカ、マドカの仕事は僕の妻になる事だ!!」


白い塊は高らかに少女の仕事内容を宣言する。


「カムイ様、マドカが困惑しています。まず自己紹介などから始めてください。私も混乱します」


メイドは手を目元に当てながら厳しい声で注意する。


「ワウンゥ、わかったよ…じゃあまず僕からね。僕の名前はカムイ、こんな見た目だけどれっきとした狼だ。しかもお金持ち、権力もある、そしてなにより愛妻家、超優良物件だぞ!!はい終わり、じゃあ契りの説明だけど…」


狼もといカムイが早口で自己紹介を終わらせて契りテ結婚の話をしようとする。


「次は私ですね。私の名前はシグルといいます。ここのメイド長兼カムイ様の専属メイドをしております。困った時は頼ってくださいね。」


を悪びれた素振りもなくカムイの話をぶった斬り自分の話をするメイド長。


「僕の話に被せないでよね…それよりマドカ、自分のこと少しでも思い出せるかい?」


「えっと…その…思い出せないです…ごめんなさい。」


メイド長に話を切られ不貞腐れながらカムイはマドカに聞く…がマドカは申し訳なさそうに言った。


「まぁしょうがないよ。記憶が消されてるんだもん。だ•か•ら、僕が君の紹介をしてあげる。」


カムイはテーブルの上から右前足をマドカに向けて意気揚々と話す。


「マドカの名前はマドカ、職業は専業主婦…つまりぼくの奥さんだよ。わかったかい?」


「えっと、わかりました…ありがとうございます?ご主人様。」


マドカは疑問形でお礼を言った。


それを聞いたカムイがまたも喋り出す。


「あとそれ、敬語禁止。ご主人様呼びもね、僕の事は気軽にカムイでいいよ、それか愛称つけてくれてもいいよ、ていうか愛称付けて、今すぐ。」


カムイが急な無理難題を言い出だした。


「にゃ?えっと…〈まる〉とかどうでしょう?」


「まる?なんで〜」


愛称の提案をしたマドカにジト目を向けるカムイ。


「えっと…目覚めたら私の腕で()()()()()寝てたからです。…それともダメでしたか?」


「マドカが付けてくれた愛称ならなんでも嬉しい。けど!!敬語禁止って言った!!次から敬語だったら罰としてご飯抜きだからね!!あと僕の事はまるでもカムイでもいいからご主人様って呼ばない。」


カムイは少し大きな声を出して言い放つと顔を背けた。その顔の頬は少し赤かった。


「はい…ち、ちがった、わかったにゃ…えっと、まる?」


「ワンッ、その調子だよ。それじゃメイド長ご飯にしよ?」


カムイは嬉しそうにしながらメイド長の方を見る。


「はい、ご夕食の準備はできておりますので今お持ちいたしますね?」


「ご夕食?」


メイド長の言葉にカムイが聞き直す。


「はいそうですよ、お二人は丸一日寝ていたのでもう夜ですよ。ですのでご夕食です。では準備して来ますね。」


メイドはそれだけ言うと部屋から出て行ってしまった。


「ねぇマドカ、メイド長が帰って来るまでお話しよ」


「はい、わかりました」


ジーーーーーーーーーーーーーー


返事をしたマドカに向かってカムイは半目で見つめる。要はジト目だ。


「わかったにゃ!お、お話するにゃ!」


マドカは慌てたように言い直す。


「じゃあまず結婚式の日程から話そう!」


「にゃ?!」


「馬鹿な話はやめてください、カムイ様?」


カムイが話を始めた途端メイド長が戻ってきた。


「メイド長戻って来るの早くない?マドカと夫婦水入らずの時間を少しはちょうだいよ…」


カムイは捨て腐れたように言うがーー


「ご夕食はもう準備してあるといったでしょう?」


ーーメイド長は厳しく言い返す。


「マドカ様もこの馬鹿い、ゴホンッ、カムイ様が変なことことしたら言ってください。私が厳しく言い直しますので。」


「ねぇ、今馬鹿犬って言おうとしなかった?ねぇメイド!ねぇ?」


カムイが馬鹿にされたことを吠えるがメイド長は気にした様子もなく料理の支度を始める。


「準備が終わりましたよ」


メイド長が料理をテーブルに並べ終える。


「マドカ様はフォークとナイフの使い方わかりますか?」


「わ、わかるにゃ!」


「ではどうぞ」


メイド長は笑顔で頷く。


「メイド長は食べないの?」


机に並べられた料理は2人分しかなかった。


「はい、マドカ様とカムイ様が寝ている間に食事は済ませましたので」


「じゃあ何か話そ?」


「お食事中に話すのはお行儀がなってないですよ?」


メイド長はカムイを諭すように言った。


「わかってるよ、けどここには大臣とか伯爵とかもいないし別にいいでしょ?」


「ですが……」


カムイの言葉にメイド長は困った顔を見せる。


マドカはメイド長とカムイの話を横目で見ながら料理をもそもそ食べていた。


「ほら、いいでしょ、マドカももそもそ食べてるし…美味しいマドカ?」


「にゃ?おいしいにゃ!」


元気のいい返事が部屋中に響く。


「ほら、マドカだって作法とか気にしてないし…」


「にゃ?!ご…ごめんなさい」


「はぁ、別に大丈夫ですよ、でカムイ様?なんのお話をなさるんですか?」


カムイに指摘され慌てたマドカの隣にメイド長が座った。

マドカは恐る恐るといった様子でメイド長のほうを見るがメイド長はマドカの顔を見て微笑むとすぐにカムイに視点を戻した。


「もちろん、マドカとの世継ぎの作る日程ーー」


口を開いたカムイにメイド長の眼光が厳しく光る。


「ーーではなくて、マドカのこの国での国籍とかについてだよ?ほんとだよ?だからそんなに睨まないでよメイド長…」


慌てたように言い直すカムイにマドカが反応する。


「にゃ?国籍ってどういうことで…どういうことにゃ」


「ん?マドカは僕と結婚をするの、これ決定事項ね。それでマドカの国籍が必要になるの、ほら国に結婚しましたーって報告する時にマドカの国籍がないとめんどくさいの」


「そのことならご心配なく、私が昼間マドカ様の国籍を当落しときましたので。」


食べ終わったマドカのお皿に料理をよそいながら。さも当然のように言うメイド長。


「ワンッ!流石メイド長、お給料上乗せしなきゃ。じゃ、明日にでもマドカとの婚姻届出さなきゃね」


「あぁそれは出来ないです、カムイ様。」


「なんで?お仕事は明日ないよね?」


「はいお仕事はないですよ。ですかマドカの国籍登録の際に年齢を13歳で提出しましたので婚姻届を出せるのは2年後になります。あと私の養子として出したので私の権限で却下することもできます。」


メイド長はカムイに絶望を突きつけた。

この国フィンガルムでは親の同意なしに婚姻届を出すには15歳以上でないと不可能なのだ。


「が、がっかりだよメイド長には今回の給料は無いと思ってよね?!」


「はいはいわかりました。それにマドカ様の気持ちも聞いていないでしょう?本当に結婚したいのかもどうかも。マドカ様はカムイ様と婚姻の契りを交わす気はありますか?」


怒ったように言うカムイを軽くあしらうとメイド長はマドカに話を振った。


結婚の話を唐突に振られたマドカはというと、顔を真っ赤にし猫耳を倒し、恥ずかしそうに唸っていた。


「にゃう?にゃ〜〜……はい」


唸った最後にほんの小さな声で自分の気持ちを言った。


「ほら!!ほら!マドカも僕と結婚したいんだぁ!」


カムイは勝ったとばかりに吠え出す。


「そうですね、15歳未満でも保護者、親の同意が有れば婚姻届は出せますので今度出しにいきましょう。ですが夫婦の営みは15歳以上になってからです。」


「にゃ?!」


メイド長の言葉に顔を真っ赤にする。


「え〜、マドカとにゃんにゃんしたい〜」


「ダメですよ、結婚はできても子作りは成人になってからです。わかりました?」


「わかったよ〜…」


「よろしい、ではお食事も終わりましたし、片付けをしますね」


メイド長はそう言うと席を立つ、いつのまにか机に並べられた料理はからになっていた。


「カムイ様は就寝の支度でもしといてください。マドカ様と一緒に寝るのでしょう?」


「うん!!」


「にゃ?!」


「僕と寝るの嫌なの?…」


カムイは少し俯き悲しそうに言う。


「えっと、違くて、起きたばっかでまだ眠くないにゃ」


それもそのはず、マドカと、カムイが起きてからまだ3時間しか経っていない。


「それもそうだね…じゃあ僕が子守話として昔話をしてあげる」


カムイが提案をしたときメイド長が戻ってきた。


「いいですね、私もご一緒してもいいですか、マドカ様?」


「にゃう!!」


元気のいい返事が部屋に響く。


「ちょうどよかったメイド長にも、聞いて欲しかったしね」


笑顔でカムイが言うと一息つく。マドカがベットに入りカムイがベットの上に座る。それから昔話を話し出す。


「これは小さな小さな村でのお話ーー」







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