オークションと奴隷の少女
獣人国フィンガルムその直轄地である首都フォリノスの裏市場にてメイド服の上にボロなローブをまとった女性と純白な毛並みを持つ狼が人目を忍んで話をしていた。
「カムイ様、こんなところに来てどうするおつもりですか」
「いいだろ別に…メイド長には関係ない」
「関係ありますよ、自分の主がこんな危険な闇市場に足を運んで…噂になったらどうするので?ご自身の立場を考えて行動してください。はぁ…で?なんでここに来たんですか?」
「えっと…その…一昨日ぐらいに話しただろ、気になる人を見つけたって…」
「その気になる人がここにいると、そんなくだらないことでお仕事サボったんですか?」
「くだらないことじゃない!!大事ことなんだ!!」
唐突に響く大きな声に驚く周囲の人々、声の方向を頼りに周りの人の視線は大声を出した狼に向けられる。
「はぁ、今しがた立場を考えてくださいと言ったでしょう。ほら逃げますよ」
「ご…ごめん、メイド長」
メイド服の女性と純白の毛並みの狼は裏道に姿を消していった。
【奴隷紹介店ガルムンド】この店はこの都フォリノスの裏市場を仕切っている店だ。そんな店が今日、主催で奴隷オークションを開く。開始予定時刻はとうに過ぎている。集まった客は仮面で顔は見えないが明らかに不満や苛立ちを抱えていた。
「大変長らくお待たせいたしましたこと心よりお花詫び申し上げる。この度オークショニアを務めてさせていただく【奴隷紹介店ガルムンド】のダンドルマと申します。」
魔道式拡声器から男性にしては高めの声が流れ出す。それと同時に会場のライトが来てステージのカーテンが開いていく。
「まず紹介させていただきますはドワーフの娘、年齢は28歳…」
ダンドルマが商品の紹介をしている中、頑丈そうな首輪をつけた娘が舞台裏から運ばれてくる。
「我らがガルムンドの奴隷狩りが北の村で見つけた代物です。貫通済み、なかなかのボディースタイルとドワーフの純血。さぁ皆さま大銀貨20枚からスタートです」
ダンドルマが商品の説明を終えると客は一斉に手をあげドワーフの娘を我が物にしようとした。
【奴隷紹介店ガルムンド】主催のオークションがもう終わりそうな頃、ボロのローブを纏ったメイド服の女性と1匹の狼が入り口にやってきた。
「ハァハァ…カムイ様なんとか間に合いましたね…」
「ハァハァ…メイド長のせいで遅れる終わってしまうところだった…」
「カムイ様が日向で寝てしまったからでしょう?」
「そんなことより中に入るぞ」
カムイと呼ばれる狼は顔を背けながら入り口に入っていく。
「さぁ、最後に紹介するのは今回のオークション最大の目玉商品です。」
メイドと狼が中に入るとオークショニアは最後の商品の説明をしていた。
「この商品は今はもう見かけない白猫族と同じく見かけない小人族の混血です。まだ7歳と若く強調もせず自分自身に関わる記憶を消しております。また魔力も多く13歳という若さでこの国フィンガルムの騎士団長を既に超えています、魔力タンクとしても重宝するでしょう」
ダンドルマが商品者をしていると裏舞台から赤く虚な目をした少女を連れてきた。
目は赤く、それ以外は全身白い姿の少女。猫耳にはイヤリングが一つ付いている。
猫耳や尻尾もついておりひと目見れば白猫族だとすぐにわかる姿だった。
「カムイ様、あの子ですね?」
「うん、なんとしても競り落とす…」
ダンドルマがさらに話を続ける。
「白猫と小人の混血で非貫通、大金貨1000枚からスタートです。」
ダンドルマがハンマーを叩きながら宣言すると、ほぼ全員のお客が手を上げ買い値を言っていく。
「メイド長、自分の持てるお金ならいくら使ってもいい?」
「はい、それはカムイ様のお金ですから。ですが国庫のお金は使えないと思ってください。」
「わかった」
メイドと狼が話し合う中ダンドルマは値段を決定しようとする。
「大金貨5000枚、ほかに入札はありませんか?」
「フェンリル白金貨50枚」
客全員の視線が狼に集まる。
「フェンリル白金貨50枚で落札です」
ダンドルマは満足気にハンマーを叩いた。
「これにてオークションは終了させていただきます。商品の受け渡しにつきましては出入り口にて、受け取りか後日お届けのどちらかができますので担当の人に言ってくださいますようお願いします。それでは皆様本日はありがとうございました。」
魔道拡声器から声が止み同時にカーテンが閉まっていく。
「カムイ様行きますよ」
「ワンッ!」
「威厳を持ってください」
「ワンゥ?」
「はぁ…」
会場から最初に出たのはメイドと狼だった。
出入り口でガルムンドの商人が話しかけてくる。
「お客さま商品はどのようにいたしましょう。」
メイドが喋りだす。
「ここで受け取ります。」
「かしこまりました。お名前をよろ…」
「ルクスです。火急の要がありますので早くしてもらえますか?」
「はい、ただいま」
ガルムンドの商人が慌てたように走り出す。
数分もしないうちにガルムンドの商人は戻ってきた。傍には白い少女を連れて。
「お待たせいたしました。白猫と小人のハーフの奴隷ですね。フェンリル白金貨50枚で落札されたとありますが…」
「あっていますよ…こちらがフェンリル白金貨です」
メイドがガルムンドの商人にジャラジャラと音をたてる袋を渡した。
「確かに受けとりました。ご確認致しますので少々お待ちください。」
ガルムンドの商人が袋の中のフェンリル白金貨を数え始める
その傍では狼が買った奴隷の少女を見つめている。
狼は怯えている少女に声をかけようとするがメイドがそれを見て止める。
「カムイ様、もうすこしお待ちください。せめてご自身の部屋の中でお願いします。」
狼はメイドに止められ出そうとした言葉を飲み込んだようだ
そんなことをしているうちにガルムンドの商人が確認を終える。
「確認いたしました。フェンリル白金貨確かにお受けいたします。どうぞ今後とも我々ガルムンドをご贔屓に。」
メイドはそれだけ聴くと少女の手を掴みオークション会場から出て行く。
狼はそれに続き小さくつぶやく……
「だれが贔屓にするか」
オークション会場から出て数十分オオカミとメイドは住宅街の屋根を走り抜けていた。
白猫の少女というとメイドにお姫様抱っこされ今はスヤスヤ寝ている。
「カムイ様白金貨を使うなら言ってください。」
メイドが急に声を出す。
「ご、ごめん」
狼は萎れた様子で謝る。
「はあ…まぁ今回は許しましょう。それよりこの子どうするんですか?」
「マドカか?とりあえず奴隷からは解放する」
「マドカって…もう名前付けたんですか?」
「ま、まぁね」
歯切れが悪いように狼は答える。
それから2人はただ走るだけ。しばらくすると目的地についたのかメイドが口を開く。
「カムイ様着きましたけど…手が塞がってるので開けてください。」
メイドが言うと狼は器用にどこから出したかわからない鍵で扉を開く。中は真っ暗だった。
メイドと狼が中に入り、狼が扉を閉めると一瞬周りが眩しく光り白を基調とした部屋が見え始める。
「マドカはここに寝かせときますね…」
メイドがそう言いながら一つしか無いベットに乗せる。
「そこ僕のベット…」
ぶつくさ文句を言いながらも狼は嬉しそうに白猫の少女のとなりに寝転ぶ。
「それではカムイ様おやすみなさいませ。明日も朝早いですのでしっかり起きてくださいね。マドカのことでお話もありますので。」
「おやすみメイド長」
メイドはそれだけ言うと入ってきた扉から出ていってしまう
「おやすみマドカ…また明日の朝…」
狼も白猫の少女のおでこにキスをし目を閉じる。
初めての投稿だぁ…
小説の書き方よくわかんないない(°▽°)
それでも面白かったり気になったりしてもらえれば幸いです。
言葉の引き出しも少なく表現して能力も稚拙だけと許してね?