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ヲタッカーズ22 ヲタク憐れみの令

作者: ヘンリィ

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

時空海賊、ギャング、宇宙人の聖都侵略が始まった!


聖都の危機にアキバのCharlie's angels

"ヲタッカーズ"が立ち上がる!

オトナのジュブナイル第22話です。


今回は"リアルの裂け目"から落ちこぼれた異次元人に、秋葉原に限り人権を認める法律が施行されようとします。


ところが、同法は異次元人を取り締まる法と考える異次元人、人類側の科学者は首相の署名式を妨害しようとして…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 脱走


ジャドー司令部メッド(メディカルセンター)


手術台の上に横たわるセーラー風のコスチュームは通称"姫"だ。

実は空から降って来てw以来ズッと眠りこけてたが突如目覚める。


「らめえええっ!」


医療機器に繋がれてたチューブや電極を千切り捨てて、点滴台をひっくり返す。

直ちに警護の重装備セキュリティが飛び込んで来て光線や音波の各種銃を抜く。


「止まれ!」


モチロン止まるハズもなく、セキュリティをぶつけドアを破壊、脱走を企てる。

非常警報が鳴動する中、セキュリティに混じり司令官自らバズーカを持ち出す。


動くな(フリーズ)!」


"姫"は不敵に微笑む。


セーラー戦士を彷彿させるミニスカを翻し、通路を猛スピードでダッシュするや、地上へ飛び出し真夜中のパーツ通りへと姿を消す。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


レイカ司令官が…地団駄を踏んでるw


ICU(集中治療室)に"不機嫌ニウム"さえ配置しておけば…」

「大丈夫ですか?司令官」

「少し驚いただけょ。"眠り姫"は?」


コードネームも"姫"から"眠り姫"にw


「夜の秋葉原に消えました!」

「タイミングが悪いわ。明日、首相が来ると言うのに」

「え?スガエ首相が?ココに?」

「今、話題になってる"ヲタク憐れみの令"の署名式に出るついでに立ち寄るの」

「あの"秋葉原デジマ法"ですか?秋葉原に異次元人の居住を認め"リアルの裂け目"から突き出た"出島"にするとか言う…」.

「その"秋葉原デジマ法"によって、異次元人もジャドーも歴史の日陰から出て来られる…歴史的な日になりますね!」

「いいえ。ソレは大きな間違いょ」

「え?良いコトでしょ?」

「人類と異次元人の共生は不可能だと思う」


おや?司令官は法案の反対派?


ムーンライトセレナーダーが割って入る。

ジャドーと契約してるスーパーヒロイン。


「私達スーパーヒロインとは?」

「ヲタッカーズは例外。だって貴女達は全員美人でしょ?多くの場合、外見のせいで苦労スルの。人類って、肌や髪や瞳の色について恐ろしく不寛容だから」

「うーん…とにかく!ヲタッカーズはスガエ首相を支持します。だって、応援しなくちゃ。オリンピック失言騒ぎを払拭スル期待の女性首相ナンだから」

「では、直接会える機会をつくってあげるわ」

「何ですって?」

「秋葉原で最も有名なスーパーヒロインが、首相をジャドー司令部で出迎えるの」

「つまり…ヲタッカーズ(ウチのグループ)が?」

「緊張スル?ソレなら別の人に頼んでも…」

「緊張?まさか!私が?冗談でしょ?緊張スルかって?えぇ凄く緊張スルわ。だって、スガエ首相と会うのよ?!」

「ジャドーの代表として首相に会うのょ?しっかりね!」

「え、えぇまぁ」

「堂々として。貴女はスーパーヒロインなんだから」

「ど、どぉも。ちょっち髪をセットして…」

「冗談でしょ?」

「え、ダメ?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ワラッタ・ワールドワイド・メディアHQタワー最上階のCEOルームで恒例の編集会議w


「では、編集会議を始めよう。ヲタクの考えを世界に伝える良い機会だ。"秋葉原デジマ法"により全ての異次元人の権利が保障、尊重されるコトになった。では、一面の見出しを決めようか」

「おいおい、スズキくん(主筆)。見出しをみんなで決めるつもりか?」

「それがウチの慣習だょ校閲部長」

「見出しは後だ。まず、現場に出てネタを拾うのが先だろう」

「でも、サリアからは…」

「彼女のやり方は順序が逆だった。ミニコミ誌時代の癖が抜けてない。主筆も彼女の留守を守る役割とは言え、もっと自分の色を出すべきだ」


スズキくんは、サリアCEOの…あれ?何だろう?確か結婚…ん?離婚したっけ?

とにかく!今は彼女の出張中のCEO代理を務めるらしいが社内には反発もアルw


「…良いだろう。じゃ見出しは後だ。必要なのは首相の独占インタビュー。今回はソレで充分だ」

「充分なモノか!おい!誰か、労働組合に電話しろ。デジマ法で異次元人が労働市場に溢れる。その影響について組合の反応を探ルンだ。お前はCDCに聞け。異次元人がどんな病気を持ち込んでいるか。お前は三面記事。人類と異次元人との結婚について、街のヲタクの声を集めろ。首相は…」

「僕が…」

「ダメだ。主筆は押しが弱い」

「大丈夫だ。必ずインタビューを取り付ける。そもそも、首相に出くわすカモ」

「主筆には、ヘヴンコープのルナレのインタビューを頼む。兄が異次元人嫌いで有名だ。記事は正午までだ。全員、完璧に仕上げろ。良いな?かかれ!」


誰が…編集長代理なの?


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


佐久間河岸宇宙港。


神田川沿いにある宇宙港はホントの港だ。飛行艇タイプの宇宙往還機が発着水スル。

今は太平洋の向こうから帰国スル首相専用艇"エアボート1"を大観衆が出迎え中。


ヲタッカーズも勢揃い←


「ドキドキするね?」

「ムーンライトセレナーダーは首相とも仲良しなの?」

「まだ違うわ。でも、きっと仲良くなれるハズょ」


首相がタラップを降りる。観衆は拍手しヲタッカーズも大拍手。

傍らで腐女子が歓迎プラカードを打ちふるがソコへ火の玉攻撃w


「きゃー」

「逃げて!」

「首相を守れ!」


火の玉を浴びたSPが次々と火達磨になって神田川へと転がり落ちる。

首相を守って専用車に逃げ込む間も盾となったSPが次々と炎上スルw


「危ない!」


SPが最後の1人となった時、ロケット兵装備のマリレが飛び出して装甲で火の玉を弾く!


何者?


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


始まりと同様に、唐突に火の玉攻撃(アタック)は止む。


「スガエ首相は?」

「今頃はもうジャドー司令部だわ。コレでデジマ法の署名式まで、ひとまず安全ょ。しかし、噂どおりの立派な方ね」

「当然ょ」

「ホント、太平洋の向こう側でも、あの男が落選して正解だったわ」←

「ハイ、賞賛の言葉はそこまで。犯人はスーパーパワーの持ち主だょね?」

「スーパーヒロインが首相の暗殺を?ま、まさか逃走中の"眠り姫"とか?」

「ジャドーが人類の最高頭脳を結集して追跡中ょ。私達は現場で証拠を採取…ヘイ!私の現場で何してるの?」


晴れの舞台に正軍装で来たレイカ司令官だ。

焼け焦げた路面を吟味中の女刑事に声かけ。


「ソレ、内閣調査室の常套句ょね。研修で叩き込まれるの?」

「誰?」

万世橋警察署(アキバP.D.)のラギィ。"リアルの裂け目"関係の事件を担当してる。そっちは?」


瞬時にジャドーの身分証がSPに変化スルw


護衛官(SP)のレイカ。コレは警視庁(さくらだもん)の直轄事件よ。現場を汚さないで」

「私が汚してる?貴女の部下は、異なる証拠を同じ袋に入れてるわ。SPなら気づくべきでしょ」

警視庁(さくらだもん)の鑑識技術は、所轄に比べて格段に高いの」

「推理じゃ負けないわ。犯人は、インフェルニアン系の異次元人ね。火を放つわ」

「ありがと。でも、後は任せて」

「所轄はウチょ」

「ソレもこの時点で終了」

「わかったわ。またね、レイカ」


司令官はイライラと鑑識に八つ当たりスルw


「ねぇ。ちゃんと証拠は分別して入れてょ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ジャドー司令部。


「ジャドーへようこそ!首相閣下」

「ヲタッカーズは、もう正体を知られている有名人ょ?スーパーヒロインの姿で出迎えてくれないの?」

「リア充が不快に思うので」

「デジマ法の成立で状況が変わると思うわ。秋葉原を永住先に選んだ全ての異次元人にとってね。確かにジャドーの使命は"リアルの裂け目"から襲来スル悪い異次元人と闘うコト。でも、時勢にも適応しなくては…レイカ司令官はデジマ法に反対なの?」

「はい、スガエ首相。デジマ法の理念を理解しない異次元人もいます。ヲタクの善意が悪用されかねない」

「ヲタッカーズも、以前は邪悪だと思われていた。でも、今はヲタクの信頼を取り戻した。疑わしきは罰せずょ。お返しをスル時だと思わない?今こそ、手を差し伸べて友情を築くべき時ょ」

「その手を噛まれても?」

「希望を持って」

「間違いだとは?」

「希望を持つコトに間違いは無い」


必死にメモ取りしてたスズキくんが声を震わせ、僕に耳打ちスル。

あ、彼から、どーしても!と頼まれてコッソリ取材させてルンだw


「テリィたん、聞いたかょ?歴史に残る名言だ!ミユリさんにヘヴンコープに行ってもらって良かった!コレで素晴らしい記事が描けそうだ。で、テリィたんは、どう思う?」

「…希望じゃテロリストは捕まんナイだろ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


数時間後、ヘヴンコープ(コングロマリット)

アキバに本社を置く複合企業体。


記者になりすましたミユリさんは、ルナレと向き合う。ふたりは以前から気が合う仲だ。


「ルナレさん」

「ルナレで良いわ。ミユリさん」

「では、ソチラもそうではなくて…」

「ミユリね?車で来たなら駐車料金を払うけど」

「いえ、飛んで来たから…あ、バスに乗ってバスの中でジャンプ…」

「え?…とにかく!今日は取材ナンだって?どうぞ。でも、首相が秋葉原に来ているのになぜココへ?」

「デジマ法について聞こうかと。貴女のお兄さんは異次元人嫌いで有名ですから」

「あ、そーゆーコト?見せたいモノがあるわ」


秘密金庫から掌に載る装置を取り出す。


「ソレは?」

「人間になりすましてる異次元人を探知する装置ょ。元は、ヲタクになりすましてるリア充を探知する装置だったけど原理は同じ。でも、未だ試作品を改良してる段階なの。その内、秋葉原の何処でも買えるようにするわ」

「使い方は?」

「ココを指で触れるだけ。陰性の場合は…ホラ、ソコが青く光るわ。さぁ次は貴女の番ょ?」

「え?でも、こーゆー装置って秋葉原の精神に反しませんか?」

「秋葉原の精神?自由、平等、友愛とか?」

「ええ。不自由、不平等、廃人です。その装置のせいで、またヲタクが日陰の身に追いやられそう」

「異次元人にもヲタクになる権利はあるわ。でも、ヲタクにも誰が異次元人かを知る権利がある。私は経営者よ。この装置は、去年大ヒットしたコロナ感染者検知器と同様、莫大な利益を生むわ。ただ、兄と違って、私は秋葉原に還元したい」


ルナレの意味が半分不明な喋りに熱が篭る隙に、ミユリさんが電撃で装置を軽く?焼く。


「さぁどうぞ。ミユリもお試しあれ!」

「えぇ。はい、それじゃ御言葉に甘えて」

「ピピー」


タッチ。青く明滅スル装置。


「ほーら。ちゃんと機能するでしょ?」


堂々胸を張るルナレ。

安堵するミユリさん。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ジャドー司令部。


「逃走中の"眠り姫"を発見!」

「何処?」

「神田川沿いにある廃ビルの地下室」

「"チーム6"を呼び出して!ジャドー全ステーション、第1級非常態勢に入れ!」

「…いやぁ苦労したンだょ。"眠り姫"のリストバンドに仕込んでおいた追跡装置をオンラインにして三角測量で…って、もう全員出動して誰もいないし」


"国民的ヲタク"ダマヤ分析官がボヤく。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ジャドーの特殊部隊"チーム6"が突入。

地下室のドアを蹴破って闇の中へ殺到!


「手を挙げろ!」

「まぁスゴい武器ね」

「捜索続行。"眠り姫"は逃げた…貴女は?あ、万世橋警察署(アキバP.D.)のラギィ刑事?なぜ、ココが?」

「ソレを突き止めるのが所轄魂ってモンょ。昼間に会ったSPね?貴女、アキバ防衛秘密組織(ジャドー)でしょ?反異次元人の組織って、ホントに実在したのね?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


アキバ天文台。


深夜観測に備え照明を落とすと…いつになく

不気味な雰囲気だ。

天文学者がフト振り向くと、暗闇の中に女の人影が立っているw


「だ、誰だ?」

「人呼んで"遊星艦隊"…に帰りたいの」

「"遊星艦隊"?」


第2章 異次元人メイドカフェ


再びジャドー司令部。


「ヲタッカーズを待つべきだったわ」

「本当に"眠り姫"がいたら危ないトコロだったわ。何を考えてるの?」

「仕事だもの」

「"リアルの裂け目"対応は先が長いの。蛮勇は無用、犬死も厳禁。馬鹿なマネはやめて」

「はい、ボス」


ヲタッカーズに叱られるレイカ司令官。

ソコへ珍しいコトに外線で電話が入る。


「はい。私は沈着冷静なレイカ司令官」

「私ょ。万世橋警察署(アキバP.D.)のラギィ。この電話番号を知るのに苦労したわ」

「…ソレで、何か御用かしら?」

「私の情報源を知りたい?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ワラッタ・ワールドワイド・メディアHQタワー最上階のCEOルーム。

CEO代理のスズキくんが"紙面の独裁者"校閲部長とやり合っている。


「主筆の記事を読ませていただきました」

「スクープだろ?」

「ルナレの目標は、家名の回復のハズなのにコレでは探知機のお陰でヲタク嫌いの烙印を押されるコトは必至ですね」

「その通りだ。(記事読み上げ)今回の探知機の発明は、株主は利益が出て喜ぶだろうが、ヲタクは差別に泣くコトになる。つまり、探知機はヲタクに対する恐怖を煽る代物なのだ…うーん。我ながらよく描けてる(描いたのはミユリさんだけどw)」

「主筆、コレは何ですか?」

「何って…ルナレの異次元人に対する考えだょ。彼女は"排除"を望んでルンだ」

「いえ。私が問題にしているのは、主筆の記事が偏見丸出しである点です。誰も、主筆の意見など聞いておりません」

「正直に記事を描くのはイケないのか?」

「正直な記事と偏った記事は違います。コレでは私見です。事実を描かねば。誰が、何を、いつ、どこで、なぜ」

「おいおい。客観的に考えても、あの探知機は有害だぜ?」

「ソレを決めるのは読者です。お書き直しを。今度は私情を交えズに」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"紙面の独裁者"に文字通り切捨てられたスズキくん、リモートでミユリさんにボヤくw


「校閲部長め。すぐ切れルンだ。サリアが恋しいょ。あ、ミユリさん。愚痴ってゴメン」

「うーん。でも、サリアさんなら、そんな奴に編集会議を乗っ取らせないのに」

「だょな?校閲部長め、ヤタラ威圧的な視線で黙らせたがる」

「スズキくん。貴方は選ばれたの。サリアさんが、信頼してない人にワラッタを任せると思う?その校閲部長じゃなくて、貴方に代理を任せたのはナゼ?自分の理想のボスを目指すのょ。自分のやり方を貫いて」

「そぉか。ありがと」

「いいえ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


メイド通りから1本入った名もない裏通り。


「素敵なバイクだわ。ジャドーのお給料って、よっぽど良いのね?」

「ソンなコトより、何でこんなトコロに呼び出したの?」

「今宵は貴女に1杯奢ろうと思って」


路地裏の、そのまた奥にある薄暗い闇の中。

ゴミ捨場横の赤錆びたドアをドンドン叩く。


「ラギィょ」


銃眼のような小窓が開き、何処か焦点の定まらない両眼がラギィを見つめる。

すると、何者も静かに開けられないであろう赤茶けた鉄扉が悲鳴をあげ開く。


JAZZが流れるバーだ。

誰かが低く歌ってるw


「ビール2つ」

「了解」

「行きつけの御屋敷(メイドカフェ)?怪しげね」

「物事は見かけとは違うわ…何が見える?」

「人生の選択を誤った人達」

「よく見て」


暗めの照明に目が慣れてくると…


御帰宅(入店)中の御主人様(お客)は全員、鼻が尖ってたり耳の上下が逆だったりw

何より、肌の色がバラエティに富み、中にはボンヤリと光る者まで…


思わズ隠し持った拳銃に手をかける司令官。


「ダメ。落ち着いて!」

「ここは何?」

「"リアルの裂け目"からコボレ落ちた異次元人の避難所よ。お酒飲んで寂しさを紛らわす場所」

「え?"リアルの裂け目"から襲来した異次元人は、全てジャドーが探知し対処して来たわ。超古代の昔から…」

「侵略者の場合は、でしょ?"リアルの裂け目"はね、貴女達ジャドーが考えてるよりも大規模ょ。ソレは人類側もトップは承知してる。首相官邸に聞いてみたら?」

「…で、貴女はココで、その"リアルの裂け目から落ちこぼれた異次元人"の情報を入手してるワケ?」

「YES。モヒートも美味しいし」


通りかかった紫の肌のメイドが耳打ち。


「ラギィ、アンタって乗り換えるのが早い」


すかさず、レイカ司令官が突っ込む。


「彼女は…ロルティコン?」

「ええwよくわかったわね?さすが、シャドーだわ」

「ロルティコンは、相手がロリコンなら舌に触れれば、相手の思考を読める」

「知ってるわ…ってか、彼女、私の元カノだし。私は、たいていの場合、人類より異次元人の方が好き」

「なぜ?」

「だって、共感出来るから。私は、非日本人でしかもゲイ。異次元人みたいなモンょ。秋葉原でも除け者だわ。ソレは他の異次元人も同じ。ほとんどが真面目な次元難民だけど、秋葉原でさえ、生きていくには正体を隠すしかないの…秋葉原デジマ法が成立スルまで」


ソコへ異次元人のナンパ師?がやって来る。

御屋敷(メイドカフェ)って御主人様は店内出歩き禁止だぞw


「コチラの美人は?」

「気をつけて。この美人は異次元人を迎え撃つ人種ょ」

「おぉ怖っ!でも、確かに中には悪い奴もいるからな」

「新顔のセーラーコスの戦士を探してる。180センチ、茶髪、グレーの瞳」

「お?見たコトあるかも」

「スガエ首相が危ないの」

「ソンなコト知るか…痛っ!わ、わかったょ奴は…そう、少し混乱してたな」

「居場所は?」

「知らない。空間ベクトルとか深宇宙通信について聞いてたな」

「なぜ?」

「さぁな。信号を送るンだろ」

「どんな?」

「(口真似)ET、家に電話」


"眠り姫"が深宇宙へ何か信号を送ってる?


急ぎジャドーに戻るレイカ司令官は、カウンターで飲んでた赤毛女と肩がぶつかる。

赤毛女は、少し怒った顔をしてレイカを睨みつけたが急いでるレイカは気づかない。


赤毛女が手にしてるカクテルが…沸騰スルw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


一方、司令官が出掛けたジャドー司令部では全員が一息つき羽根をノビノビ伸ばしてるw


「終わったぞ!火星の失われた7大文明の目録が完成した!すごいだろ?スズキくんは記事、描けた?」

「全然ダメだょテリィたん」

「"極悪非道"の字が違うな」

「スズキくんも可哀想ね。私には、感情を捨てるなんて無理だわ。何事にも情熱を捧げてるモノ」

「おぉソレでこそスーパーヒロインだね」


ソコへ、まるで暴走機関車の勢いでレイカ司令官が御帰宅…じゃなかった、帰って来るw


「ジャドー全ステーション!秋葉原から深宇宙に向けて怪電波が発信されてる!発信源を探って!あと、送信先も!」

「衛星軌道にいるコンピューター衛星"シドレ"に照会中…あ、早速見つかりました。何者かが深宇宙に向け、信号発信中!」

「発信源は?」

「秋葉原駅前の高層ビル街です。ん?御屋敷(ミユリさんのバー)の隣のタワーのペントハウス?あれ?ソコは確か…」

「"アキバ天文台"ね?天文系のスタートアップだわ。超高性能の電波望遠鏡でNASAからも仕事を受注してるけど…例の"眠り姫"はソコかも?」

「なぜ?」

「話せば長いわ」

「通信先は?」

「白鳥座61番星方向」

「いや…ソレは違うな」

「じゃ何処?」

「ジャドーの超イケてる星図によると、信号は冥王星で反射して太陽の裏側に送られてるw」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


アキバ天文台。


「第327次信号を送信」

「応答は?」

「ない」


電波望遠鏡を操作スル天文学者の後ろで腕組みして立つセーラーコスの"眠り姫"。

天窓を割り派手にラペリング降下したヲタッカーズだが"眠り姫"は意外に手強い。


エアリは投げ飛ばされ、マリレは蹴り飛ばされ、ムーンライトセレナーダーだけが、辛うじて四つに組む。血走った顔を近づけ会話w


「何者?いずれにせよ、傷つけたくない」

「でしょうね。私だって同感ょ」

「では、軽めの電撃で」


ムーンライトセレナーダーの電撃をモロに浴びた"眠り姫"が派手に吹っ飛ぶw

ハリウッド映画みたいに派手にテーブルとイスをひっくり返して失神大の字KO!


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"眠り姫"を捕えてジャドー司令部に戻る。


「"死の艦隊"?」

「何ソレ?初めて聞くけど」

「私も初耳」


ヲタッカーズ妖精担当エアリは地球が冷え固まって以来の本を所蔵スル図書館の司書だ。


「超古代の太陽系では大戦争が繰り返され、数百の文明が滅び、数千の人類が死に絶えたの。中でも"プラズマ人類"の戦争は熾烈を極め、乗組員がとっくに死んでる"死の艦隊"が、今も太陽系の中を遊弋してると言われてるわ」

「幽霊船の艦隊?」

「もし"眠り姫"が"プラズマ人類"なら、スガエ首相を狙うのも納得ね。何しろ喧嘩っ早くて好戦的な文明だったから」

「でも、ソレだけじゃ首相襲撃の動機にはならないわ」

「尋問しましょう」

「私が話すわ」


ムーンライトセレナーダーが1歩前に出る。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ジャドー独房のガラス越しに尋問が始まる。


「"眠り姫"さん。貴女は、当分その独房からは出られないわ。しかし、結構なインパクトを残してくれたわね?スガエ首相を狙うとは!ところで、貴女がアキバに落ちて来た時に乗ってたカプセルだけど、アレは"死の艦隊"のカプセルでしょ?言いたい事は?何かナイ?」

「ザカリアシェイクは?アレ、今スゴく飲みたいンだけど。アレさえあれば、大抵の悩みは消え去るのょ?」

「貴女の要求は聞かない」

「頼み方が悪かったかしら?文明によっちゃ、どう頼むかナンて問題じゃないのに?ココの文明は違うの?」

「"プラズマ人類"らしく、恐ろしく自己中心的ね」

「あら?私のコトはお見通し?さすがだわ?」

「なにそれ?」

「わかってるの。"3つの太陽"は"プラズマ人類"を見下してる。太陽系戦争を始めた時から」

「…なぜ艦隊へ信号を?」

「遭難信号ょ」

「なぜ遭難信号を?」

「遭難したからょ!決まってるでしょ!私が生きてるコトを知らせなきゃ!」

「そう。じゃあなぜスガエ首相を襲撃したの?」

「その"シューショー"ってなぁに?美味しいの?」

「また感電したい?今度は手加減しないから」

「私は誰も殺す気はないと言いたいだけょ」

「あってもヲタッカーズが阻止します」

「私を疑ってるのね?コレ以上、話しても意味ないわ。おやすみ、孤独な人類さん」


コレは作戦を変えなきゃ、と立ち去るムーンライトセレナーダーだが、その背中に一言。


「ザカリアシェイク、頼むわ。よろしくね」


司令部に戻ったムーンライトセレナーダーにヲタッカーズのエアリとマリレが駆け寄る。


「姉様、何か手強そうですね?」

「彼女の艦隊がどーなったのかを伝えましたか?」

「いいえ。未だ話してないの」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ムーンライトセレナーダーからミユリさんに戻り、再度ヘヴンコープにルナレを訪ねる。


「突然すみません」

「あ、ミユリさん。伝言は聞きました」

「まぁキレイなお花」

「プルメリアよ」

「母を思い出します」

「記者でらしたの?」

「いいえ。母は…法律家でした」

「なるほど…ところで!良い記事だったわ。この前お会いした時はヤタラ異次元人に肩入れしてたから、テッキリ私をこき下ろすつもりかと思ってた」

「実は、最初は御社の異次元人探知機に批判的な記事を描きました」

「あら、そうなの?正直なのね。それで?」

「没になって書き直しを」

「そーゆーコトw」

「でも、結果的には良かったかなって。あるコトを機に、私も考えが変わりましたから」

「あるコト?」

「秋葉原デジマ法は良い法律です。でも、現実には悪い異次元人もいる」

「わかってくれた?昔は、兄のコトが大好きだった。でも、本性を知ったから。最初は、何でも1つになって笑い合えた頃の彼に戻そうとした。でも、無理だったわ。根っからの悪人は変えられない。だから、自分のコトは自分で守るコトにしたの」

「なるほど」


第3章 首相襲撃


"秋葉原デジマ法"の首相署名会場に選ばれたのは電気街口広場。

通称"アキバのタイムズスクエア"と呼ばれ旧家電店ビルが並ぶ。


僕達がファッションショーをやった場所だw


人通りはコロナで普段の半分以下だが、その分ハデな色彩のバルーンアート。

東西自由通路は閉鎖され、電気街側に赤絨毯が敷かれてステージが組まれる。


まるでハリウッドスターが来るみたいw

実際に来るのはスガエ首相ナンだけど←


「フラミンゴは劇場に着いた」

「了解。97秒後にラジオ体操第一」

「上空の警備を固めろ。ドローンに注意」


モチロン上空には、警戒ドローンに混じりヲタッカーズのエアリとマリレもいる。

会場の彼方此方に配置されたSPも、全員が袖に話しかけながら警戒態勢を強化。


「犯人が捕まって一安心ね。今頃、犯人は秘密の施設(アキバのグアンタナモ)に?」

「さぁ?でも、もう誰にも手を出せないトコロにいるコトだけは確か」

「おぉ怖っ。人類に生まれて良かったわ」


レイカ司令官とラギィ刑事がムダ話をしてる最中に拍手が沸き、スガエ首相が登壇スル。


スガエ首相(フラミンゴ)は飛んだ」

「ラジオ体操第一、スタート」

「さぁ始まるわ!」


登壇した女性首相は、集まったヲタク達を眺め回して、大きく息を吸って演説を始める。


「ヲタクのみなさん。わが国は、300年以上も前に租界をつくりました。ソレが、長崎の出島です。出島には、大勢の外国人がやって来ました。黄金の国ジパングに新天地を求めてやって来た人々です。我々の祖先は、敬意をもって彼等を受け入れました。ソレは、この街、秋葉原の精神に繋がるモノです。我々は、今日、再びその精神を体現せねばなりません。もはや"リアルの裂け目"からの訪問者は、ヨソ者ではナイのです。彼等が、不寛容な世界の隅に追いやられる事は、あってはならナイのです。彼等は、この秋葉原の地において、ヲタクとしての権利と特権の全てが与えられます。秋葉原デジマ法が、彼等に自由と平等をもたらすのです」


一斉に拍手が沸く。

空中からは歓声も…


「ありがと!では、私は法案に署名をしましょう。ソコの耳の尖った貴方、私にペンを…ありがと。では、共に未来へ!」


その瞬間、悪夢のような火の玉が飛来し、サイン寸前だった法案を萌え上がらせるw

犯人は…何と首相の目の前にいた聴衆だ!いかにも悪者って感じの黒レオタード女←


場所柄、コスプレが目立たなかったか?


「私は、異次元人"インフェル子"!秋葉原とヲタクを焼き尽くす!」

「フラミン…じゃなかった、首相を脱出させろ!」

「SP、ヲタッカーズ、所轄の警察署、誰でも良いからフラミン…じゃなかった、みんな首相の盾になれ!」


各種の警察関係者が一斉に拳銃を抜く。

ヲタッカーズはインフェル子へ急降下w


「スガエ首相、コチラです!」

「ありがと!」

「頭を下げて!」


インフェル子の両腕が激しく炎上、ソレを振り回す度に、凶悪な火の玉が発射され狙われた獲物は次々と火達磨、焼き払われて逝くw


「動くな!」

「黙れ、二本足。死にたいか?」

「うわわっ!」


間一髪で脱出した首相専用車を見、歯軋りするインフェル子に拳銃をつきつけるのは…

万世橋警察署(アキバP.D.)のラギィ刑事だ。次の瞬間、全ては焔に包まれ、後には何も残ってないw


「犯人は"眠り姫"じゃなかった?」

「ラギィは?インフェル子に拉致されたのか?」

「全てジャドーの責任だわ」

「みんなが感情的になったせいで、真犯人を取り逃がした。スガエ首相も殺されかけた。この場にいた全員の責任ょ。誰が反逆罪に問われてもおかしくないわ」

「居合わせた記者団からインフェル子の画像が送られてきた。捜査に使ってくれと…この萌えてる女の正体は?」

「…不明どけど、見覚えアルわ」

「何処で?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


再び異次元人メイドカフェ。

レイカがナンパ師をナンパw


「欲しいの」

「おおっ!」

「情報が」

「何だw俺は新しい布団乾燥機が欲しい」

「あのね。この画像は首相を襲った放火女ょ」

「関係ないね」

「この前、この御屋敷(メイドカフェ)で見たの。誰かしら?」

「そうだね。ただ札を見ると急に思い出すかも」


ガタン!


派手にイスを倒す音がして、瞬時に御屋敷はシーンとなる。

ナンパ師は、カウンターに頭を打ちつけて床にノビている。


その上からスツールを押し付け、完全に動きを封じるレイカの目には狂気が宿っているw


「もっと刺激が必要かしら?」

「やめてくれ」

「あの女は、ラギィをさらった。アンタ達の権利のために戦ってるラギィを、よ。恩返しスル気は無いの?」

「し、知ってる。いつも廃発電所に」

「ありがと」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


神田川沿いには、破綻して撤退した新電力の廃発電所がいくつか点在スル。

その内のどれかに、両手をロープで縛られ天井から吊るされているラギィ。


黒レオタードに身を包むインフェル子が登場。


「おや?見た顔ね」

「さすが"リアルの裂け目"から落ちこぼれた異次元人には詳しい刑事サンね?そして、何にでも首を突っ込みたがる。でも、ソレってスゴくダサいから。終わってる」

「私は、貴女達が心配なだけ。ソレに首相の命を狙う必要は無いでしょ?」

「ソレは人類の発想。私達とは違う」

「だから、秋葉原デジマ法が作られたのょ?」

「違うわ。デジマ法の目的は、私達のようなドロップアウトした異次元人を(あぶ)り出し、秋葉原という出島に隔離するコトょ。何処に住み、毎日何をしてるのか。ソレを知るために作られた法律だわ」


その時、暗闇から声がスル


「ヒネクレ過ぎ!」


インフェル子が両腕を炎上させる。

闇からムーンライトセレナーダー。


「ほーら。首相のペットのお出ましょ。この裏切り者」

「え?誰が誰を裏切ってるの?」

「うるさい!人類(にほんあし)は敵!世界を旅しても、何処でも異質なモノは排除されていた。人類の原動力は、偏見と恐怖ょ。中でもヲタクは信用出来ない。だから、私達は秋葉原でも身を隠さざるを得ない」

「ソレは、貴女がテロリストだからでしょ!」


最後までは聞かずにインフェル子が両腕を振り回して凶悪な火の玉を連射!

ムーンライトセレナーダーは、電撃を放ち火の玉をことごとく撃ち墜とすw


「こしゃくな!私に勝てるとでも?」


萌える両手を振り回し、インフェル子はムーンライトセレナーダーに襲い掛かる。

その隙に、背後で飛ぶ系ヲタッカーズのエアリとマリレがラギィの縄を解き救出。


「さぁ!勝負をつけるわょ!」

「えっ?驚愕女子(ワンダーウーマン)?」

「空気の無いトコロでは火は萌えないわ!」


ムーンライトセレナーダーが、両手を広げて次第にスピードアップしつつ高速回転スル!

すると、空気が螺旋状に流れ出し、やがて強力な竜巻となってインフェル子を包み込むw


「あああっ!」


竜巻の中心にいるインフェル子は、空気が無くなり両腕の焔が消えて絶望の絶叫!

やがて、竜巻が消えるとソコに四つん這いになりワンワンスタイルの彼女の姿が…


腹を激しく上下させて荒い息。

落ちている銃を拾おうとして…


「おっと、お預けょワンちゃん」


ラギィが銃を踏む。


「最高ね」


微笑みを交わすヲタッカーズ。


第4章 ヲタク憐れみの令


ワラッタ・ワールドワイド・メディアHQタワーの最上階で、恒例の編集会議が始まる。


「さぁ見出しは決まったぞ"ヲタッカーズ、過激派から首相を救う"だ」

「何のマネだ!ふざけるな、スズキCEO代理!」

「ネタを探し、見出しを知らせただけだ」

「校閲部長である、私の記事をボツにするように命じただろう?」

「いやボツじゃない。僕が書き直した」

「なんだと?君に私の記事を描き直す資格はない」

「ソレがあるンだ。僕はボスだからな」

「社説に関しては、校閲部長が全権を握っている」

「CEO代理として、その全権を委任されている」

「ヤ、ヤメてやるっ!」

「どうぞ」

「…うーん良いだろう。望みは何だ?」

「隣人の仕事を尊重しろ。そうすれば、干渉は控える」

「…OK。ボス」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ジャドー司令部メッド(メディカルセンター)


「ワォ!ココって007に出てくる隠れ家みたいね!貴女はココの司令官なのね?レイカ」

「そうね。でも、ラギィは軽い火傷と打撲だから、すぐ治るわ」

「…意外と優しい」

「ま、まぁね」

「冗談よ。感謝してるわ」

「いいの。私も感謝してる。長い間、異次元人と闘って来たけど、1度も考えなかったの。良い異次元人もいるって」

「貴女と組めて良い仕事が出来たわ」

「そうカモね」

「ダメダメ。まだ休んでなきゃ」

「無理ょ」

「デ、デートとか?…まさかね?」

「実は、そうなの。可愛い腐女子を待たせたくないの」

「えっ?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


御屋敷(ミユリさんのバー)裏の"潜り酒場(スピークイージー)"。


人類(二本足)の中に、君達ヲタッカーズのようなスーパーパワーを持つ者がいるのね?」

「えぇ。少なからズね。ただ、コッチにいるエアリは妖精ナンだけど?」

「傭兵?」

「…そんなコトより、誤解してたわ。貴女を"眠り姫"とか揶揄して悪い人だと決めつけてた。首相の襲撃犯だと疑ってたわ。ごめんなさい」

「私は、モエル。"遊星艦隊"の士官ょ。もう夜ね。それで、この後は?いつ私は"遊星艦隊"に連絡出来るのかしら」

「…座りましょう。話があるの。エアリ?」

「私達が太陽系と呼ぶこの星系に伝わる"3つの太陽の物語"は知ってるわょね?かつて、原始太陽系の覇権を賭け、3つの太陽が争った、壮大な太陽系創世の叙事詩ょ」

「似た伝承が伝わっているわ。その時、爆発した星のかけらが、私達の星に大量に降った。だから"遊星艦隊"は、急いで出航したの」

「原始太陽系では、その他にも多くの惑星や衛星が衝突し合い、太陽系内の重力分布が大きく変わったの」

「つまり…何が起きたの?」

「貴女の母星は、太陽風で全滅した。今は荒れ地。そして、貴女が座乗する"遊星艦隊"も、同じく乗組員が全滅し、死体が座乗する死の艦隊と化した」

「…」

「つまり、貴女の故郷も、艦隊も、今はもう…死に絶えたの」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。ジャドー司令部では、官邸に帰る首相がレイカ司令官と堅く握手を交わす。


「ジャドーには感謝してるわ」

「お力になれて光栄です。エアボート1も間近で見られて、もう最高でした」

「あら。官邸には秘密のシャトルもあるのょ。見たい?貴女、腰を抜かすわょ?」


歓談の中で司令官がジャブ。


「私は、今でも秋葉原デジマ法に反対です。巷では"ヲタク憐れみの令"と呼ぶ者もいる」

「"ヲタク憐れみの令"?」

「異次元人を押し付けられた秋葉原のヲタクが哀れだと」

「司令官。世界を守るだけじゃだめょ。受け入れなきゃ」


またまた名言を残して司令部を去る首相。

その目が光り…異次元人の顔に変化スルw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


最後に異次元人メイドカフェ。


ナンパ師がカウンターの女子を口説いてるw

今宵の早番は…肌も髪も瞳もダークな女子。


「俺のコト、もし不快なら姿を変えるけど…

どこかで会ったっけ?」

「ヤメて。私はもう上がりだから。注文はダーラにね」

「待てょ」


ナンパ師の顔からフニャフニャしたモノが急に抜け落ち、彼はマトモな人間の形に変身。


「何者…もしや、貴女は?」


カウンターの中でため息をつく女子のカラダが赤く光を放ち、セーラー戦士の姿に変身。


「私はミーン。"月世界王朝"最後の生き残りょ」



おしまい

今回は海外ドラマでよくモチーフになる"異次元人の人権を認める法律"を軸に、同法制定にかける女性首相、反発する異次元人、同じく反発する人類側の科学者、首相護衛の任に当たる防衛組織の司令官などが登場しました。


海外ドラマで見かけるNYの都市風景を、第2次コロナ宣言延長に揺れる秋葉原に当てはめて展開しています。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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