魔力で視る
また遅くなってごめんなさい!
「じゃあ何から聞きたい?」
「なぜ俺だと気付いたのか。それ以外に聞きたいことなんてない」
リスの『何から』という発言に素早く返すゲイン。
「も〜、つれないなぁ。もうちょっとなんか、こう……面白い反応とかないの?」
「………」
全くの無反応なゲインの様子を見て諦めたのか、リスは「はぁ…」とため息を一つ。
「え〜っと、私が貴方をゲインだと見破れた理由だっけ?それはね…単純な話、『視た』からだよ」
「見たって…何を?」
普通に意味が理解できず、首をかしげながら頭上に?を浮かべるゲインだったが、何かを見て自分だと気付いたなら…と考えて一つ浮かんだ事を口にした。
「もしかして、魔法で姿を変えてるところをみてたのか?」
「ん〜ん、違うよ。気付いたのはついさっきだよ。わかるかな〜?」
何が楽しいのか、イタズラ好きの小悪魔のようにニヤニヤしながら尋ねてくるリスに『聖女が小悪魔っていいのかよ』というツッコミと、こめかみがピクピクするのを同時に我慢しながらゲインは答えた。
「さっぱりわからん。もったいぶらずにさっさと言え」
「いっそ清々しいくらいにわからんって断言したねぇ…ま、いっか。あのね、私が言ったのは魔力で視たってことだよ」
「魔力で…?」
「そ、魔力で」
そう説明されてもまだ理解ができていない様子のゲインにリスは続ける。
「あのさ、その変装って魔法でやってるんだよね?つまりは魔力を使ってるってこと。そして、あんまり知ってる人はいないだろうけど性質の違う魔力同士…他人の魔力同士が干渉し合うと、魔力が起こそうとしていた事象のチカラが少し弱まるんだよ。つ〜ま〜り〜…」
「俺が魔法に使った魔力とリスの目?に使った魔力が干渉し合った結果、俺の姿がバレた…?」
「そーゆーこと。どう?ちょっとは参考になったかな?」
ニコニコ笑顔で解説しきったリスは満足げにそう締めくくった。
「…ちょっと待て。それって、まさか、他の奴にも俺の姿が…?」
「あー、そっちは安心していいよ。この干渉し合うってコトが起こるのって、魔力がかなり高い者同士じゃないと駄目なんだよ。それと、干渉したのはお互いにのみだから、あの時周りにいた人にはバレてはずだよ」
リスがそう言ったのを聞いて大袈裟なまでに胸を撫で下ろすゲイン。リスはそれを見て、もう何度目かもわからない笑顔を見せた。だが次に飛んできた言葉は、ゲインの想像の斜め上どころか、想像の埒外のものだった。
「でも外を歩き回るのが危険なコトに変わりはないかな…よし!ゲインくん!君にはこれから私の家に来てもらいます!」
「は!??」
突然意味のわからない言葉を投げかけられたゲインは口を大きく開いたまま数分間固まっていたという。
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