タネ明かし
ちょっと短いですが、何卒御勘弁くださいませ。
見つかったことは諦めよう。今更何をしても遅いしな。でも、だけど、これだけは問わせてもらいたい。なぜ、どうして―――
「お前は俺がさっきまで一緒にいたやつだと分かった!?」
そう、冷静になって考えると、明らかにおかしな点があったのだ。それすなわち…
"魔法で変装していたにも関わらず、一発でバレたこと"
リスはゲインの顔をしっかり見ていた。そして、あの指名手配書を知らない、というのはありえないだろう。つまり、ゲインは端的に言って大ピンチである。
「ん〜?それはね〜…」
「貴様!聖女様になんという口を!」
リスの言葉を遮ったのは近くにいた取り巻き(?)の一人の男だった。
「その無礼、貴様の命を以って―――」
「はいはい、ストップ。それ以上の行為は流石の私でも見過ごせないよ?」
「しかし!」
「今はお呼びじゃないから黙ってて」
リスに命令されて黙り込む取り巻きの男。ゲインはこの光景を前にして、呑気にも
(尊敬する相手の言葉には従順なのか)
などと考えていた。
そんなゲインにリスが近づいてきて
「知りたいなら後でさっき会った場所に行ってて」
と、ゲインにしか聞こえないくらいの声量で耳打ちした。ゲインは素直にコクリと頷く。だが、今度はまた別の疑問がゲインの頭に浮かんだ。
「…突き出さないのか?」
今度はゲインが耳打ちをしたが、その問いに返事はなく、代わりに返ってきたのは意味深な微笑みだけだった。
◇◇◇◇◇◇
あの後リスと別れたゲインは、きちんとあの路地裏に来ていた。今は、別れ際にあの男やその他の取り巻き達からすごく睨まれていたことを思い出しながら時間を潰していた。
(なんであんなに睨まれなければいけなかったのか……解せぬ)
そんな感じで、割とくだらないことに意識を集中していると…
「お〜い!」
叫ぶ声が聞こえてゲインは顔を上げる。さっきも聞いたこの声の主は
「リスか」
「待たせたかな?」
そう尋ねてきたリスに、ゲインは首をふる。
「いいや。要件があるのはこっちだ、文句はない」
この場で見破られたタネを暴く。
そう心に刻むゲインに、リスはやはり笑顔を向けていた。
書き溜めをしないからいつも投稿大変で…
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