路地裏
朝起きてアクセス解析押してびっくり。
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吹き荒れる"黒"に、その場にいた全員が驚愕していた。もちろん、それはゲインも例外ではない。むしろ、ゲインこそが一番驚いていた。
(な、なんなんだこれ…!?)
しかし、ゲインの思考とは関係なくその"黒"はどんどん膨れ上がっていく。ただ規模が広がるだけならまだよかった。だが"黒"は規模と同時に密度もまた、次第に濃くなっていく。
そして、密度が濃すぎて完全に周りが見えなくなる直前、"黒"に触れていた床が崩れるようにしてなくなった。
俺が最後に見たものは、そんな俺に恐怖の顔で各々の武器を構える勇者パーティのやつらと、まるで世界の終焉を覗き見たような周りの風景だった。
◇◇◇◇◇◇
朝。
ゲインは暗い路地裏で目を覚ました。
(あれ…?俺、いつの間に眠ってたんだ…?というか、なぜ路地裏で座り込むように…?)
寝起き一番の混乱した頭を酷使して、ゲインは何があったかを思い出そうとする。
(えーっと、俺は昨日王様にあって、話を聞いてもらって…)
ここまで思い出したところで、ゲインの脳は一気に覚醒した。
(そうだ、王様も俺を裏切ったんだ。それから、俺の婚約者も…)
ゲインの拳は固く握りしめられ、小刻みに震えていた。
(あいつらは皆俺を裏切った。信じてたもの全部ぶち壊して、それで俺をあざ笑ったんだ…!)
暗い路地裏に滲むように少しずつまたあの"黒"が姿を現し始める。
しかし、今度はあの時のようにはならなかった。なぜなら―――
「ねぇ、そこのキミ。大丈夫?苦しそうっていうか、悲しそうっていうか…とにかく、ひどい顔してるよ?」
ゲインは暗い思考に囚われた重苦しい頭を持ち上げる。そこには、修道服を着た金髪の少女が立っていた。少女の蒼い瞳が心配そうにゲインをみている。
ただそれだけならばそのまま無視を決め込んでいたのだが、その少女が纏う修道服は一般の修道女が着ているものとは違っていた。普通の修道服ならば白を基調として金のラインが入っているものだ。だが、この少女のものは、そこに更に水色の美しいラインが加わった、明らかに特別製とわかるものだった。
そこまで考えてようやく、ゲインは口を開いた。
「あんた、は…?」
金髪の修道女は、今度は反応してもらえたことに嬉しげな態度を取りながら答えた。
「私はシーリス。蒼穹の聖女とも呼ばれる教会の修道女だよ」
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ついでに誤字報告も。