表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
旅籠編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

994/2245

979.サテツの補佐を務める男

※加筆修正を行いました。

 町の灯りが消えた宵闇の頃『特別退魔士(とくたいま)』の『ユウゲ』は、一人ケイノトの裏路地を歩いて行く。

 退魔組の皆が余暇の話で盛り上がっていた頃に、サテツの補佐を務めるこの退魔組でそれなりの地位に居るイツキに皆が寝静まるこの時間帯に、会いに来てくれと頼まれたからである。

 入り組んだ裏路地を慣れた足取りで進んでいくユウゲは、あのエイジが住まい構えている場所とは、反対の路地の道を歩いている。この辺は裏路地でも特に人気が少なく空き家が多い。

 元々ここら辺は『()()()()()』以前までは『妖魔退魔師(ようまたいまし)』達が住んでいた場所であった為に、今はその名残でほとんどが空き家となっている場所であった。

 そして遂に目的の長屋に辿り着くと、ユウゲは長屋の引き戸を開けて音を立てずにそのまま中へ入った。普段は空き家となっているその長屋の中は物などは一切見当たらず、蝋燭の灯りだけが部屋を煌々と照らしていた。


「道中、つけられたりはしていないだろうな?」


 ユウゲは灯りの前に居る男に声を掛けられて、直ぐに視線をその男に向けながら言葉を返した。


「ええ。この辺は空き家続きですし、今はこの裏路地にはあのはぐれ『妖魔召士(ようましょうし)』も居ませんしな。ここまでの道中、何も問題は無かったですぞ」


 ユウゲがゆっくりと声の主の方まで歩いていき、やがて暗い部屋で男の顔が見える位置まで進むとその場でゆっくりと、蝋燭を挟んだ男の向かいに座り込んだ。


「そうか。寝静まる前にすまないなユウゲ」


 そう喋る細い目をした男の顔が、蝋燭の灯りに照らされてはっきりと見えた。


「いえ、それよりもこの場所を使われるのは久しぶりですな。それで話というのは、先刻ゲンロク様の里から来られた使者の事ですかな?」


「……」


 ユウゲの言葉に押し黙った細い目をした男は、退魔組の現場を任せられている退魔組の頭領『サテツ』の補佐を務める『()()()』であった。


 本来、頭領の補佐を務めているイツキであっても身分的な意味合いでいうならば『特別退魔士(とくたいま)』であるユウゲの方が格は上となる為に、普段通りであればイツキがユウゲに敬語で話し掛けている。

 あくまでイツキはサテツの補佐を務める『上位退魔士(じょうたいま)』であり、同じ上位退魔士であった『ミカゲ』と同格。能力的な意味では『擬鵺(ぎぬえ)』を使役していたミカゲの方が、立場は上と呼べる程であった。


「いや、そっちも関係はあると言えばあるのだが、元々はお前を呼んだ理由は別だ」


 しかしこの場では正座をして座っているユウゲに対して、年齢も上であるユウゲの質問に、どう答えようかと考えているイツキは胡坐をかいてユウゲをお前呼ばわりで接していた。


「では『煌鴟梟(こうしきょう)』の件ですかな?」


 ユウゲがそう言うと、イツキは細い目を少しだけ開いてニヤリと笑った。


「ああ、少し看過出来ない事が起きていてな。俺が様子を見に行こうとしていたところで、里からゲンロク様の使いが来てしまったのだ」


「それはつまり……。ヒュウガ殿が何かミスを……?」


「ヒュウガ殿がミスをしたという事では無いんだがな。端的に言うとミカゲが報告してきた例の二人組は『妖魔』という事であったが、どうやら魔族という人間の姿をした存在が『ゲンロク』()と『ヒュウガ』殿()の居る里へ、エイジを連れて来たようだ」


「!!」


 まだ退魔組ではこの事は正式に伝えられてはいない情報の為、ユウゲは目を丸くして驚いた。


「あくまで里からの正式な遣いからの情報の為、ヒュウガ殿が画策した内容が全てゲンロク様に知られているか、そこまでは把握出来ていない状況だ。だからこそ今俺が余計な事をしでかして話がこじれるのは避けておきたいのだ」


「成程。では具体的に私は何をすればよいのですかな?」


 ヒュウガやサテツ、そして目の前に居るイツキの画策していた内容をある程度聞かされていたユウゲは、ようやく現状の把握が出来たようで、直ぐに頭を働かせて自分が呼ばれた理由に行きついた上で自分のやるべき事は何かとイツキに尋ねるのだった。


「やはり君は賢いね。こちら側に引き込んでいて正解だったよ」


 ユウゲに向けている今のイツキの顔は『退魔組』に居る時によく見せる、()()()()()()()()()()()()()()()()()

『ブックマークの登録』や『いいね』また、ページの一番下から『評価点』を付けていただけると作者のモチベーションが上がります。宜しければお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ