表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/2203

93.ラルグ魔国・トウジン魔国VSレイズ魔国

※加筆修正を行いました。

 レイズ魔国の首都シティアス、その西側からラルグ魔国の開戦宣言が行われた。


 この世界の戦争である以上は、突然攻撃を仕掛ける事もおかしい事ではないが、どうやら『ラルグ』魔国は律儀に開戦宣言を行ったようである。


 これは余程の自信がある表れとも取れるが『レイズ』魔国も自国のNo.2が倒れ伏せたからといって、完全に負けると決まっているわけではない。


 現在もシティアス全域に『中位魔族』以下の魔族や魔物からの攻撃は、無効化される結界は健在で、シティアスの門の内側にはレイズ魔国の特級の『魔法部隊』が控えている。


 レイズ魔国は()()()()()と呼ばれており、末端の兵士に至るまで範囲の広い超越魔法を使う。


 並の魔族ではシティアスの外壁の門に近づく事さえ出来ずに、集中砲火で全滅必至である。


 しかしラルグ魔国も決して馬鹿ではない。


 最前線に控える魔族はラルグ魔国でも第一線級で第一軍と呼ばれるラルグが誇る殲滅部隊である。


 第一軍に所属する魔族は全てが『上位魔族』以上である。その末端兵士でさえ戦力値は400万以下を下回る事はなく、役職を持つ部隊長クラスは700万を越える。


「『レイズ』魔国との開戦宣言は終えた。さぁ、お前達! 一気に敵を攻め滅ぼせ!」


 ラルグ第一軍特務曹長『ナゲイツ・ディルグ』の号令により、一斉に第一軍は攻撃を開始する。


 ……

 ……

 ……


「来たわね……! さあお前達、荒々しい部族達に鉄槌を下しなさい!」


「「御意!!」」


 レイズの魔法軍副長官『ピナ・クーティア』が、猛撃してくる『ラルグ』に対して魔法攻撃を促す。


 開幕から乱戦となり、ラルグの第一軍の行動速度は尋常ではなく、一斉に門前まで辿り着いたかと思うと、持っている剣や槍等に『紅いオーラ』を宿しながら門を破壊するべく攻撃を開始する。


 そこに数百を超えるレイズ魔法部隊による、超越魔法の砲火が放たれる。


 ――超越魔法、『炎帝の爆炎(エクスプロージョン)』。


 ――超越魔法、『万物の爆発(ビッグバン)』。


 ――超越魔法、『凜潔暴風雨(ディグナ・ストーム)』。


 ――超越魔法、『雷光殲撃(フードル・クラッシュ)』。


 魔法が放たれる度に、次の魔法陣が浮かび上がり、止まない魔法の攻撃がラルグ軍に襲い掛かる。


 戦力値400万を越える第一軍とはいえ、一方的に上空から攻撃されてはひとたまりもない。


 更にシティアスを守る門には魔法による結界が張られており、常時『中位魔族』以下の攻撃防止もある為に、二重の『結界』に守られて完全な盾と呼べるだろう。


 この鉄壁こそが『レイズ』魔国の本領といえるのだった。


 ソフィのように無詠唱ではないが、大多数の兵によって毎秒攻撃発動されているので、超越魔法の無詠唱と同義であった。


 爆音が響き渡るシティアス門前で、一体の『魔族』が前に出る。


「お前ら下がってろ、俺が一気に門を破壊してやる」


 ラルグ第一軍特務曹長の『ナゲイツ』が、剣に紅いオーラを宿して瞬速の斬りを魅せる。


 流石にレイズ魔国の二重結界に守られている門をたった一撃で破壊するまではいかなかったが、その門に亀裂が入った。


 『レイズ』魔国の魔国兵はその一撃に焦ってしまい『ナゲイツ』に標的を絞ってしまう。


 ナゲイツに次々魔法陣が浮かび上がり、超越魔法の雨が降る。


「くっ……! お前ら今だ!! 門を壊せぇ!」


「「ウオオオオ!!」」


 ナゲイツがフラフラになりながら魔法を受けるが、その横を一斉にラルグ軍が突っ切っていく。


「お、お前達、何をしている! そんな風に固まって奴に構うな!! すぐに他の奴に……っ!」


 レイズ魔法軍副長官『ピナ』が囮に構うなと最後まで言い終わる前に、遂に門は壊されてしまい、数多くのラルグ第一軍の侵入を許してしまうのだった。


「ま、まずい!」


 ピナと複数の『レイズ』魔国兵が侵入してくる『ラルグ』魔国兵に向けて魔法を放つが、時すでに遅し。


 数百を超える戦力値400万を越える第一軍は、迅速かつ大胆に散らばりながら『レイズ』魔国兵の詠唱する魔法使いを斬り伏せていく。


 そして――。


「よし、お前達! ラルグ軍に混じって『レイズ』魔国軍のクソったれ共を殺し尽くせ!」


 南から『トウジン』国の斥候部隊長の『マーティ・トールス』は部下達に命令を下す。


 『レイズ』魔国のほぼ全軍が西側の『ラルグ』魔国軍の対応に集中していた為に、比較的あっさりと南の門は破壊されて『トウジン』魔国軍が『レイズ』に入り込む事に成功する。


 斥候部隊とは言え大国トウジンである。


 刀を次々と抜刀して『レイズ』魔国の魔法兵を斬って斬って斬り伏せていく。


 そして四面楚歌の状況下の『レイズ』魔国軍に対して西側から更に援軍が到着する。


 それはラルグ第二軍、第三軍であった――。


 ――第三軍は『中位魔族』が混ざっている為に攻撃に参加は出来ないが、門から外に逃げられないように陣を固め始めていく。


 ――そして第二軍もまた多くが『上位魔族』であり、第一軍によって破壊されて空いている門から一斉に侵入が行われていくのであった。


 これで『レイズ』魔国軍は南からトウジン斥候部隊、西からすでに多くのレイズ兵を倒す事に成功している第一軍、そしてそこから更に数百の数を誇る『上位魔族』の軍勢を従えた第二軍が第一軍と合流を果たして攻め込んでくるのであった。


「ぴ、ピナ様! すでに西門から大多数が侵入されており、更に南門からトウジン軍が、入り込んで来ています!」


 魔族の戦争は人間の戦争とは、比べ物にならない速度で勝敗が決する。


 更にいえばレイズ魔国は、攻撃よりも守備が要の魔法部隊がメインであり懐に敵軍が数多く入られるとこうも『()()』。


 既に外側にいるレイズ魔国兵は全滅と呼べる状況であり、残すところ『ピナ』の率いる部隊のみとなっていた。


「こ、ここまでか……」


 ピナがそう呟くと同時、ピナの居る所にもラルグ魔国の兵達が数多く入ってきた。


「ピナ! まだ諦めるなぁっ!」


 そう言って入ってきた者が無詠唱を放つと、数体の『ラルグ』魔国兵が一気に魔法攻撃によって倒れる。


 ――『魔法』を放ったのはレイズ魔法軍長官『ラネア・ビデス』、レイズ魔国のNo.3である。


 更にラネアの背後から彼女の直属部隊が数体入ってきて『シティアス』に入り込んでいる『ラルグ』魔国軍と『トウジン』魔国軍に向けて高威力の超越魔法を放ち始めるのであった。


 流石に『ラネア・ビデス』の直属部隊の『魔力値』は高く、その魔力から繰り出される『魔法』によって、あっさりと入り込んで来ていた『ラルグ』魔国軍や『トウジン』魔国軍の末端兵などは消し炭になっていった。


「ピナ! 任せきりにしてすまなかったな、我々も攻撃に転じるぞ!」


「ラネア様、女王様達の様子は!?」


 話をしている最中にもピナ、ラネア、ラネア直属部隊の魔法が次々と敵の魔国兵を屠っていく。


「……大丈夫だ! 今隠し通路からヴェルトマー様とシス様が、隣町の『ガネーサ』へと避難なさっている筈だ!」


 ラネアがそう言うと、心底ほっとした顔を浮かべながら『ピナ』は攻撃をする手を強める。


(今は耐えるとき! シス様とヴェルトマー様さえ、生きていれば……、生きていれば……っ!!)


 『シス女王』と『ヴェルトマー・フィクス』を生かす為に『レイズ』魔国の重鎮達は命を懸けるのに躊躇いはなかった。


 ――シスとヴェルトマーが居る場所こそが、彼女達の『()()()()()なのである。

『ブックマークの登録』や『いいね』また、ページの一番下から『評価点』を付けていただけると作者のモチベーションが上がります。宜しければお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ