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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
旅籠編

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951.コウゾウの葛藤

※加筆修正を行いました。

 酒場の主人である『煌鴟梟(こうしきょう)』の一味のミヤジが、宿の主人である『サノスケ』と落ち合う為に屯所の監視から離れた頃、コウゾウは仮眠室で一人悩み事に頭を抱えていた。


 あれからヌーに脅されて怯えていた『煌鴟梟(こうしきょう)』の男を屯所内の地上一階にある一室を、数日間使わせる事となった。


 既に男の取り調べは終わっていて、この男が人攫いを行っていた一味である事は明らかとなったが、その背後に居る男を炙り出す為に利用する事としたのである。


 本来であれば地下にある牢代わりの部屋に入れておくのだが、護衛隊の隊長であるコウゾウと取引を交わした男は、捜査に協力する代わりに、ある程度の屯所内での自由が許されたのである。


 このまま捜査が上手く行き作戦通りに『煌鴟梟(こうしきょう)』のミヤジという男を捕らえる事が出来たならば、そのまま本当に釈放させても構わないとコウゾウは考えているのであった。


 旅籠町の護衛隊の目的は人攫いから宿の利用者を護衛する事。

 つまり『煌鴟梟(こうしきょう)』という組織を壊滅させる事が出来るのであれば、下っ端の男が二度と悪さをしないと約束するならば見逃しても構わない。コウゾウはそう考えて、男をある程度自由にさせるのであった。


 本来は未遂であったとしても人を攫おうとした人間を許す事は出来ない。再び事件を起こされるかもしれないからである。


 しかしどうやらあの男にとって、目の前で仲間を燃やされたり、首の骨を折られて殺されたりしているところを見て、ヌーという男に恐怖心を植え付けられているようで、あの様子であれば男はもう二度と人攫いはしないだろうとコウゾウは考えた為に、釈放しても構わないと考えたのである。


 しかしコウゾウはそんな『煌鴟梟(こうしきょう)』の男の事よりも、ヌーの方に頭を悩まされていた。報復相手であった男が人攫いの犯罪者であったとしてもヌーと言う男が行った行為は、明らかな殺人である。このまま無罪放免にして、お咎め無しというワケにはいかないだろう。


 だが、先程屯所内で暴れたところを見るにこのヌーと言う男は『妖魔召士(ようましょうし)』や『妖魔退魔師(ようまたいまし)』でもないにも拘わらず、とんでもなく強い『力』を有する男だった。


 どうやらケイノトから来たと言っていたところを見るに彼は、自分達『妖魔退魔師(ようまたいまし)』の『予備群(よびぐん)』と対を為すといわれている『ケイノト』の『退魔組』の『妖魔退魔士(ようまたいまし)』なのかもしれない。


 妖魔召士側の組織は『妖魔団の乱』以降に新たな組織を作り出して、これまでは妖魔と戦う事が出来なかった人間達を集めて『妖魔召士』の代理の長のゲンロクが、独自に編み出して施した術式を巧みに操り『予備群(よびぐん)』と同じように戦闘が出来る者達となったようである。


 『妖魔退魔師(うち)』のお偉いさん方は、新たに出来た『妖魔召士』の下部組織に所属する『妖魔退魔士(ようまたいまし)』は大した事のない見かけだけの集団だとばかりに、歯牙にもかけない扱いをしていたが、先程の力を見ていれば、決して侮れはしないだろう。


 コウゾウはヌーを見て『予備群(よびぐん)』である自分とそこまで遜色が無いと、肌で感じているようであった。


 だからこそ今ここで、人攫いの一味を殺めた罪を告げて、ヌーを取り押さえる事は出来ない。

 今、優先されるべきは『煌鴟梟(こうしきょう)』であり、ヌーの罪状については『大事の前の小事』なのである。


 コウゾウ自身分かっていて、もう結論を出してはいるのだが、彼は正義感の塊のような男である為、こうして一人いつまでも葛藤を続けているのであった。


 仮眠室でうんうん唸っていたコウゾウだったが、結局は仕方ないと割り切る事にして気分転換に、日課の町の見回りを行おうと仮眠室を出たところで、同じ護衛隊の部下である女性隊員『シグレ』に呼び止められた。


「隊長。ソフィさんが隊長に話があるそうですよ」


 二日後に『煌鴟梟(こうしきょう)』の男をおとり捜査の為に釈放するまでは、同じく喧嘩で捕らえているという事を示す為に現在、ソフィ達は最初に通した部屋に居てもらっている。


 二日間は屯所内で過ごしてもらう事になるが、その代わりにこの屯所内で自由にしてもらい、宿代わりに使ってもらって構わないとしていた。


「何? そうなのか、分かった。直ぐに行こう」


 コウゾウは町の見回りを部下に任せて、その足でソフィ達の居る部屋へと向かうのであった。

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