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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
旅籠編

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942.我慢の限界

※加筆修正を行いました。

「コウゾウ殿は確か地下だと言っていたな。しかしこれだけ広ければ何処から降りればよいか分からぬな」


 案内されていた小部屋から出たソフィ達は、コウゾウの魔力を探りながら歩いて行くが、中々地下に降りる階段らしきものが見つけられずにいた。


「くそめんどくせぇ造りしやがって……!」


 テアが襲われたと聞かされてからヌーの様子は一変している。今のヌーは御世辞にも冷静とは言えない。下手をすれば後先を考えずに地下へ行く為にこの場で『極大魔法』を放ちかねない。


 素直にソフィが地下へ行こうとするヌーの後をついてきたのには、それを妨げるという意味合いもあった。しかし勘違いをしてはいけないが、ヌーが報復に出ようとする行動に対して決してソフィは、止めようとは思ってはいない。


 自分の大事な存在を傷つけようとされたり、取り返しのつかないような目に合わされた場合、それはソフィであっても決して我慢ならない事である為である。


 その気持ちは痛い程に分かっているからこそ、ソフィはヌーがやろうとしている行為自体は止めようとはしない。


「ちっ……!!」


 今までは愚痴を言いながらもまだ、冷静と言える態度で地下へと続く階段を見つけようとしていたヌーであったが、どうやら我慢の限界が来てしまったのだろう。


 唐突に立ち止まると大きな舌打ちと共に、思いきり扉を蹴り飛ばしてしまった。この護衛隊の屯所は、元々は宿であった為、多くの部屋が襖に仕切られて並んでいるのだが、ヌーが苛立ち交じりに思いきり扉を蹴り飛ばすと、その部屋だけでは無く連なる壁もろとも全てが衝撃で穴が開いてしまった。


「う、うわああ!! びっくりしたぁっ!!」


「な、何なんだ!?」


 どうやら屯所の中で書類の整理をしていたであろう。事務の仕事をしていた人間が数人、突然隣の部屋の壁の穴を突き破って長身の男が顔を見せた事で慌ててその場から立ち上がった。


「な、何をしている!! お前……」


「やかましい……!! 捕えている奴らが居る地下はどこだコラァッ! サッサと言わねぇと、てめぇらを皆殺しにしてやってもいいんだぞ!!」


 金色のオーラを纏いながらヌーは注意をしようと近づいてきた、旅籠の護衛隊の人間数人に凄みを見せる。


「くっ……!! 護衛隊の屯所の中でいい度胸だ! お前らっ! 取り押さえろ!!」


 ヌーの周囲を『レパート』の世界の『(ことわり)』が描かれた魔法陣が出現する。どうやらもうヌーは我慢の限界地点を越えているようで、後先考えずにこの屯所を極大魔法で吹き飛ばそうというのだろう。


 キレやすい性格のヌーではあったが、彼はキレながらも冷静に行動が出来る魔族の筈であった。しかし今の彼はどうやら本当に演技ではなく、全てを壊そうと行動をしている。余程彼はテアが襲われたという事が、許せなかったのだろう。


「――」(ヌー……)


 今のヌーを見たテアは、辛そうに顔を歪めるのであった。


「仕方あるまい……」


 ソフィはため息をつくと、瞬時に形態を変化させる。そしてヌーではなくその周囲に居た護衛達を『金色の目(ゴールド・アイ)』で睨む。


 ――次の瞬間、その場に居た全ての人間達は一斉に目を虚ろにして虚空を見つめ始めた。


「ちっ!」


 その様子を見たヌーは、何とか自制をする事が出来たようで極大魔法である『闇の閃日ダーク・アナラービ・フォス』を放とうとしていた魔法陣を消した。ソフィが護衛達を無力化した事で、少しは冷静さを取り戻したのだろう。


「お主、テアが襲われて苛立つのは分かるが、ここで手を出せばどれだけ面倒になるか、頭のいいお主なら分かるだろう」


「ああ、悪かったよ」


 ヌーは素直に謝ると自分で開けた穴を潜り抜けて、先程まで居た廊下に出るのだった。


 やはり先程までのヌーは冷静では無かったのだろう。その事を自分でも理解したからこそ、あのソフィに対して素直に謝罪をしてみせた。


 ソフィはやれやれとばかりに溜息を吐いた後、もう操ってしまった以上は一緒だとばかりに、護衛隊達に『金色の目(ゴールド・アイ)』を使って、地下へ行く道を聞くのであった。


 ……

 ……

 ……

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