表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
旅籠編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

939/2237

924.信頼と崇拝

※加筆修正を行いました。

 目の前で真剣に悩んでいるテアを見て、ソフィはテアが単なる契約だけでヌーと一緒に居るわけではないのだなと察する。


 しかしそこでソフィは結論を下さずに、テアが自分の口で答えるまでは待つ事にするのだった。


 そしてその横に居る魔神は、悩んでいるテアに『ソフィを待たせるなんて何様のつもりかしら』と考えていたのだが、テアが悩んでいるところを見てむしろ嬉しそうにしているソフィに『魔神』も嬉しくなってしまい、()()()()()()()()()()()()()()とばかりに魔神は『テア』を見ながら考え始めるのだった。


 どうやら魔神の中ではソフィが喜んでいたり、嬉しそうにしていたりするのを眺めるのが好きらしく、今のテアの様子は大歓迎といった感じで魔神は考えたのだった。


(ん?)


 テアはふと自分を見ている魔神を見て一歩後退る。


 恐ろしい美貌をしている力の魔神が、自分を見て微笑んでいる。先程までとは百八十度違うその様子に、魔神が何を考えているか分からずテアは恐怖するのだった。


(な、何なんだ? 何で私を見て笑っているの!? 早く答えないから怒りを堪えて無理矢理に、笑顔を見せているとか!?)


 テアはそこまで考えて慌てて口を開いた。


「――!!」(そ、その……! アイツの事は気に入っていて、アイツがやられるところを見たくないから気合を入れて守ってやろうって思ってます!!)


「――!」


(えっ……。まぁ……! 貴方なんて素晴らしいの!?)


 目の前の死神が単なる契約者である筈の魔族に対して、自分と同じように慕う心に近しいモノを抱いているテアに、これまでの敵視するような視線ではなく、同じ感情を共有する仲間のような目をして『魔神』はテアを見るのだった。


 何やら慌てた様子で魔神に向かって喋り出したテアを見て、ソフィは魔神に何て言っていたかを確かめようと魔神を見る。


「――」(ソフィ。この子は契約主を気に入っていて守りたいと申しているわ。とても素晴らしい子よ)


「ほう、お主が他者を褒めるとはな。しかしそうか。それならば話は早い」


 テアが契約だけの関係ではなく、ヌーを気に入っていて彼女自身が守ろうという意思を持っているというのならば、ソフィはこの死神を信用してある程度の思考の共有は出来ると判断するのだった。


「我もヌーを死なせたくはないと思っている。出来ればこの世界に居る間は色々と我と協力して欲しいと、伝えてくれるか?」


 ソフィが魔神にそう言うと、コクリと頷いて再びテアと会話を始めるのだった。


 どうやらソフィの伝言が伝わったのか、テアはソフィの方を見て首を縦に振った。


「ふーむ……。お主のおかげでテアの考えを理解出来たのは助かったのだが、やはり咄嗟に意思の疎通が出来ぬのは難儀だな」


「――」(貴方がいいのなら、この私も現世に留まり続けましょうか)


「ふむ……。結界を張った後にならばそれでも良いのだがな? 実は我達は面倒な事に、色々とこの世界の者達に追われているようなのだ。お主程の魔力を持つ者を常に結界のない場所で共に居れば、奴らをおびき寄せてしまう事になるのだ」


「――」(貴方に迷惑をかけさせるような連中は、()()()()()()()()()()()()()


 表情を一切変えずに非常に危険な言葉を告げる魔神に、テアが目を丸くして驚いている。


()()()()()()()()、一介の魔族に対する態度じゃないのは直ぐに理解出来たけど、ソフィさんに対する感情は普通じゃないぞ!?)


 死神の中でもかなり神格が高い『死神貴族』の『テア』は、これまでも神位が上の神々と接する機会はあった。


 当然、この魔神の事ではないが、他の魔神とも会話を交わした経験もあり、魔神は一つの世界を調停する神々としての役割を優先しており、ここまで一介の魔族に対する感情を持ち合わせてはいない。


 ――しかしこの『魔神』は明らかにソフィを気に入っているようだ。


 それも自分がヌーに対する感情とも少し違う気がする……。何にせよこの魔神の前でソフィさんに粗相をするような事があれば、神格を持つ『死神貴族(テア)』であっても一瞬で消滅させられてしまうだろう。


(そもそも数多の世界の調停を行う筈の魔神が、一介の魔族と契約を交わしている時点で色々おかしいよ……)


 ソフィに見つめられてうっとりとしている『神』である『力の魔神』を見ながらテアは、そんな風に思うのだった。

『ブックマークの登録』や『いいね』また、ページの一番下から『評価点』を付けていただけると作者のモチベーションが上がります。宜しければお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ