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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
ゲンロクの里編

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913.隠されていた報告

※加筆修正を行いました。

「タクシンと戦ってここに居るのか」


 ソフィを見ていたゲンロクの視線の種類が変わる。そしてゲンロクの中で先程まで考えていた彼らが『妖魔退魔師(ようまたいまし)』の可能性が、確率をあげて再び浮上してくるのだった。


 ゲンロクが驚いていると同じように目を丸くしていたヒュウガもまた、予想外過ぎる出来事だったのか何やら呟き始めていた。


「まさか、報告にあったタクシンを葬った『妖魔』の『()()()』とやらは、こいつらなのか……?」


 その小声の呟きがゲンロクに聞かれているのに気づかず、ぶつぶつと何か言い続けている。どうやらあまりの事にヒュウガは普段の冷静さを欠いているようであった。


(どういう事だ? タクシンが葬られた?? いや、まずは聞かなかったフリをして、こやつらから話を聞き出す方が先だ)


 先程まで驚いていたゲンロクだったが、流石に『妖魔召士(ようましょうし)』の組織の長の立場にある者らしく、咄嗟の機転は素晴らしいものであった。


「何故タクシンと戦う事になったのですかな? 彼は有事の際に対応する為に、普段は『妖魔山(ようまざん)』近くの警備チームに派遣されている筈だが」


 そう言ってちらりとヒュウガを盗み見るゲンロクだったが、普段は目聡くこちらに視線を返すヒュウガは、まだ一人何か思案を続けているようで、ゲンロクの視線に気づいていない。


「そんな事までは我は知らぬよ。元々我達は『加護の森』に居たところをお主の組織の者達に襲われたのだからな」


 ソフィの言葉に思案を続けていたヒュウガは、何やら驚いた様子でソフィを見る。


(どうやらワシに話をしていない何か、重要な事が隠されているようだな)


 ゲンロクはソフィと会話を続けながら、自分の配下である『ヒュウガ』の反応を逐一確認するのだった。そしてそんな視線を向けられているヒュウガは、先程までとは比較にならない程、内心ではかなり焦っていた。


(サテツから連絡があった『加護の森』の妖魔騒ぎはこいつらで間違いがなさそうだ。現れたのは『二人組』ではなかったのか? くそ……、何故今ここに……!)


 一番最初に伝えられた報告にあった『加護の森』に現れた二人組が、タクシンと交戦しているという情報は、ゲンロクではなくヒュウガに届けられていた。


 当然、この報告の内容を()()()()()()()()()


 ゲンロクに知られると不都合な情報は全てヒュウガまでで止められており、その手で握り潰している。


 だからこそ、ゲンロクはまだ『ケイノト』のほとんどの出来事を知らず、また都合のいい様にヒュウガが話を作ってゲンロクに知らせていた為、現在の『退魔組』がケイノトでどのように思われているか知らないだろう。


 ゲンロクの中ではまだ『退魔組』は、町で英雄扱いをされているとそう思っているに違いない。それもあって当然にタクシンや、退魔組の退魔士達が望んでいない妖魔を『式』にしている事を知らないだろう。


 実際は先程ソフィという若者が言っていたように、無理矢理『式』にした妖魔に『縛呪の行(ばくじゅぎょう)』を用いて意識を奪い、強引にランクの高い妖魔を相手に対して、同胞を戦わせていたりしている事を知っている。


 この事についてはもう少し時が経ってから、ヒュウガが『妖魔召士(ようましょうし)』の長になれるくらいに足場を固められた頃にゲンロクに伝えるつもりであった。


 ゲンロク自身もこれまでに妖魔は敵だと明確に告げていたし、ヒュウガが『妖魔召士(ようましょうし)』の長に推される程に信望を集められるくらいになれば、少しくらいやり過ぎた行為であってもゲンロクは文句を言わないとそう決定づけていたのである。


 ここまで上手く行っていたというのに、エイジやソフィ達が件の問題をここで不規則に持ってこられるとは、流石のヒュウガも予測が出来なかったのであった。


 現在のヒュウガが掴んでいる情報では、まだ最初の『ミカゲ』がサテツ達に届けた報告までの内容である。つまり『劉鷺(りゅうさぎ)』の報告はまだここまで及んでいない為、タクシンがやられている事までは伝わっていなかったのであった。


 つまりタクシンと戦っているのは、目の前に居るソフィ達だろうという事は理解していても、その結果がどうなったかまではヒュウガも知らない。


 だからこそヒュウガは余計な事は何も言えずに、これからソフィ達の発言を黙って待つ事しか出来ないのだった。


「しかしだ、それにしても不可解だ。何故突然タクシンは、何もしていないソフィ殿達を襲ったというのだ?」


 そのゲンロクの言葉にソフィは、再び種明かしをするように真実を告げ始めるのであった。


 ……

 ……

 ……

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