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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
ゲンロクの里編

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911.妖魔召士の未来

※加筆修正を行いました。

 そして仕える主に疑念を抱かれているヒュウガは、自分を見ている主のその視線にも当然気づいている。


(これは非常にまずい、ゲンロク様は色々と私に疑念を抱いておられるようだ。何とかして矛先をもう一度、エイジ達に向けるように仕向けなくては……!)


 ヒュウガは表面上は冷静な表情を浮かべているが、内心では相当に焦っていた。


 ゲンロクはこれまでヒュウガに対しては全幅の信頼を置いていた。だからこそヒュウガはゲンロクに怪しまれずに色々と裏で動く事が出来ていたが、一度こうして目聡いゲンロクに疑惑を抱かれてしまえば、これまでのようには自由に暗躍が出来なくなってしまう。


 実はここに居るヒュウガという『妖魔召士(ようましょうし)』は、ゲンロクに従っている振りを続けながら、裏では『退魔組』の現場を預かっている『サテツ』と手を組んで()()()()()()()に暗躍して動いていた。


 ――それは現在、空席となっている『妖魔召士(ようましょうし)』の組織の長であった。


 暫定的には『ゲンロク』が長として『妖魔召士(ようましょうし)』の組織であらゆる権限を持ってはいるが、先代と同じく保守層である反ゲンロク派や、既に組織から離れて個々で活動を行うエイジのような所謂、はぐれ『妖魔召士(ようましょうし)』達が多く生み出されており、先代の『シギン』が長を務めていた時代のように『妖魔召士(ようましょうし)』の組織としては機能を果たしてはいない。


 妖魔から人間を守るという意味では、同じ目的ではあるが『妖魔召士(ようましょうし)』と『妖魔退魔師(ようまたいまし)』は、全く異なる思想の組織なのである。


妖魔退魔師(ようまたいまし)』は『妖魔召士(ようましょうし)』よりも力の強い者が集まっており、戦闘面に関していえば『妖魔召士(ようましょうし)』達ではどうにもならない。


 しかしその分、政治的な面に関していえば『妖魔召士(ようましょうし)』の側の組織に軍配が上がる。だからこそ『妖魔団の乱』以降でも妖魔召士達が先に機転を利かせて動いた事で、ケイノトの町民達の信頼を勝ち取った。


 その結果『妖魔召士(ようましょうし)』側の組織が残り『妖魔退魔師(ようまたいまし)』側の組織が『サカダイ』へと移り住んでいった。


 今はまだ『退魔組』の設立を果たしたゲンロクの功績もあり『妖魔召士(ようましょうし)』の長が居ない事に関しても、直ぐには向こう側からの突き上げを食らうような事はないだろうが、このまま組織の長が空席のままでは『妖魔召士(ようましょうし)』の権威を示すどころか、いずれ『妖魔召士(ようましょうし)』の組織は『妖魔退魔師(ようまたいまし)』側に政治面でも発言力を失い兼ねない。


 戦闘面で劣る以上、政治面で何とかしなければ『妖魔召士(ようましょうし)』が『妖魔退魔師(ようまたいまし)』に勝る点がなくなってしまうだろう。


 そうなれば色々と『妖魔召士(ようましょうし)』側が持つ多くの利権を『妖魔退魔師(ようまたいまし)』側の組織が奪いに動き出すかもしれない。


 しかしその『妖魔召士(ようましょうし)』の暫定的なトップである筈のゲンロクは、年齢のせいなのかまでは分からないが、年々行動を起こさなくなっており、自分の派閥の配下『サテツ』にケイノトの中心組織である『退魔組』の現場を任せて本人は、里に移動した挙句に諸々の管理までをヒュウガに一任しているのである。


 そこでヒュウガは『退魔組』を預かる『サテツ』に声を掛けて、次代の組織のNo.2に据える事を条件に、自分に協力するように仕向けた。


 当然に今のゲンロクが引退するまでは、現在の体制は変えられないだろうが、ほとんどの『妖魔召士(ようましょうし)』もそれぞれが懸念を抱いているし、遠くない未来にゲンロクは引退を表明するだろう。


 かつての実績のみでしか話せなくなった老兵は『妖魔召士(ようましょうし)』の組織では通用しなくなるだろう。そんな未来を現実の物とする為に、ヒュウガは今の内から足場を構築していたのである。


 ――だが、そんな重要な期間にエイジがこうして現れた。


 若くから天才だったエイジは、師である『サイヨウ』殿から独自に捉術の類を学び『妖魔召士(ようましょうし)』の中でもめきめきと頭角を現し始めていった男で『妖魔団の乱』以前では『妖魔退魔師(ようまたいまし)』達にすら一目置かれていた。


 若くして『ゲンロク』に意見を言えるかつての妖魔召士組織のNo.2で、今のヒュウガの立ち位置に居た男であった。


 しかしその『妖魔団の乱』以降、ゲンロク様が編み出した術式を批判し、それを使用する『退魔組』の退魔士達に、否定的な発言ばかりを残して自分はあっさりと組織から去っていった。


 今では()()()として、活動を続ける『妖魔召士(ようましょうし)』の一人であった。ヒュウガはこのエイジを激しく憎んでいた。


 体のいい綺麗事ばかり並び立てていた癖に『妖魔召士(ようましょうし)』の組織の()()()()()()()()()、未来については碌に考えずに去ったエイジは、ヒュウガの中では勝手な男と認識されていったのである。


 最強の妖魔召士(ようましょうし)であった『シギン』様や『サイヨウ』殿が居る頃であれば、確かにその圧倒的な力の()()()に居るだけで良かった。


 あの時代で過ごした経験のある者達であれば、確かにエイジの発言は間違いがなかっただろう。


 しかしその先代『シギン』様や『サイヨウ』殿が居なくなった現体制の中であるならば、過去を賞賛するだけで明確な結果を示さず、行動を起こす者に対して批判するだけではこの先やってはいけない。


(綺麗事を述べる前に、貴様も何かをしてみせろというのだ!!)


 ヒュウガはいつもエイジに対して、苛立ちを募らせながらこのように考えていた。


 ヒュウガよりも才能に恵まれている癖に、()()()()()()()()()()()()()


 組織を去った今でも()()()妖魔召士(ようましょうし)』として居続ける男。


 新たな計画の遂行を始めたヒュウガの元に、()()()()()()()()()


 ヒュウガは自分を睨んでいるエイジを睨み返しながら、この場をどうするかと思案を続けるのであった。


 ……

 ……

 ……

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