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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
ゲンロクの里編

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909.疑念とヒュウガ

※加筆修正を行いました。

「ククククッ! おいおいソフィ、この野郎は真面目に言っているみたいだぞ」


 ソフィの横に居たヌーがゲンロクを指さしながら笑い始めるのだった。


 しかし当然笑われているゲンロクは何も面白くはない。


「何だお前は? 何かワシはそこまで笑わせるような事をいったか?」


「おいおい。もうてめぇのタヌキっぷりは分かったからやめろ。あんまりしつこいと折角のネタでも笑えなくなるぜ? あんな非道な人間は滅多にいねぇだろう? ああ、ミラの野郎が居たか。しかし()()()()は群を抜いていた」


 タクシンは戦力値も魔力値もその退魔士としてのセンスも群を抜いていた。


妖魔召士(ようましょうし)』には残念ながらなる事は認められなかったが、ゲンロクの作った『退魔組」では、最高幹部の『特別退魔士(とくたいま)』となり、他のケイノトの退魔士達の見本であった筈である。


 当然ケイノトを離れた後、直接彼を見る機会は減っていたが、その活躍ぶりは現場を任せている『サテツ』や、部屋の入り口に居る『ヒュウガ』から聞かされていた。


 その両者からも『タクシン』は多くの者から慕われて、まるで『妖魔召士(ようましょうし)』のように優秀だと普段から聞かされていた為に、今ヌーが蔑んだ内容は何かの間違いだろうとしか思えなかった。


「ゲンロク殿、流石にあの者に対しては我も庇うことは出来ぬぞ『動忍鬼(どうにんき)』の奴がタクシンに目の前で意識を失わされて、無理矢理戦わせられているところをこの目で見ておる。それにあやつ自身が、タクシンに無理矢理『式』にされて、強制的に従わされていたと嘆いておったのだからな」


「なっ……!」


 ソフィの言葉に今度はゲンロクが絶句する。


 そしてゲンロクは慌てて視線をヒュウガに向けると、ヒュウガは静かに口を開き始めた。


「騙されてはなりませんよ、ゲンロク様。タクシンは立派にケイノトの町民たちを守り、今も他の退魔士達の見本を務めております。何が目的かは分かりませんが、彼は虚言を口にしております。屋敷に入り込んだ盗人を配下に持っていると言っていましたね。どうやら私も彼の人となりに騙されそうになりましたが、イダラマ殿と結託して盗人を扇動して『転置宝玉』を盗ませたのもここに居る彼なのでしょう」


 ゲンロクに視線を向けられた時、ヒュウガは少し悩んだ様子だったが、仕方ないと割り切ったのか、ソフィを()()()()に仕立て上げるように饒舌に語り始めるのだった。


「な、何を申すか、ヒュウガ! ソフィ殿は決してイダラマ等と結託などしておらん。この場に来たのは真に彼の配下を探しに来たからである。この小生が保証するぞゲンロクよ!」


 唐突に予想もつかない事を口走り始めたヒュウガに、慌ててソフィの弁解を行うエイジであった。


 だが、張本人のソフィを蚊帳の外に置くかの如く、今度はエイジの言葉にヒュウガが反論をし始める。


「そういえばエイジ殿はゲンロク様のやり方に不満があり、これまでも色々と刃向かう態度をとって、定例の『妖魔召士(ようましょうし)』の会合からも外されたのでしたな。つまりエイジ殿はゲンロク様への腹いせから、今回の事も一枚噛んでいると私は推測しておりますが、イダラマ達と手を組んで何かを企んでおるのですかな?」


「それは本気で言っておるのか、ヒュウガ?」


 どうやらヒュウガに対して据えかねるものがあったのか、簡単にヒュウガの煽りに対して乗らされてしまうエイジであった。


 あのイバキとスーの二人組に対して行ったように、苛立ちから魔力を纏い始めてヒュウガを睨みつけていた。


 しかしイバキ達と違い『ヒュウガ』はそんなエイジに視線を向けられても怯える様子は一切なく、真っ向から受け止め返している。


 だが、僅かに体外に魔力が漏れ出ているのがソフィには見えた。


 ソフィの横に居るヌーやテアは防衛反応からか、同じように魔力を放流し始めている。オーラが体に纏われるのも時間の問題だろう。


 この場が徐々に一触即発の空気となっていくのをソフィは感じ取ってはいるが、彼自身は魔力を纏うような真似はせず、普段通りのままでゲンロクに視線を向けたままだった。


 それはまるで何かを見極めるような視線であり、こんな視線をソフィが向ける事は、とても珍しい事であった。

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