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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
ケイノト編

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852/2224

837.ケイノトの食事処

※加筆修正を行いました。

「しっかしこの町は何処まで行っても同じ景色が続いていやがるな。目新しいものも特になしときたものだ。そろそろどこか飯屋でも入って『天衣無縫(エヴィ)』の野郎の情報を得ないか?」


 どうやらここまで町の様子を見てきたヌーは唐突に飽きがきたらしく、ソフィを急かすようにそう口にするのだった。ソフィはまだ先程の一件を引きずっており、この町の中を興味深そうに見て周っていたのだが、同行者であるヌーの様子に仕方なく同意をするのだった。


「そうだな。小腹も空いたところではあるし、お主の言うようにこの辺で食べ物屋を探すとしようか」


 ソフィがそう言いながらふと、もう一人の同行者の存在を思い出して後ろを振り返る。


「お主は、何か食べたい物はあるか?」


 唐突に自分を見ながら言葉を投げかけてきたソフィを見て、ぼーっと興味もなさげにこの町を歩いていたテアは慌ててソフィが何を言っているのか、教えてくれとばかりにヌーを見る。


「こいつは、てめぇが何を食いたいか聞いてやがるんだよ」


「――?」(どうして私に聞くんだ? 食べたいなら勝手に食べてくれていいのに)


「面倒くせぇな、俺が知るわけないだろう」


 ヌーは舌打ちをしたかと思えば、ソフィに向かって勝手に通訳を始めた。


()()()()()()()()()()()()()鹿()()()()()()()()()()()()()()。ってコイツが言ってやがるぞ、ソフィ」


「そ、そうか。それはすまぬ……」


「――」(うぉーい!! 殺されたいのかクソ野郎! 誰もそんな事言ってないだろ、ちゃんと伝えてくれよ、ヌー!!)


 テアはヌーの言葉は分かる為、自分の話した内容がソフィに捻じ曲げられて伝えられたという事が分かり、慌ててソフィに頭を下げながらヌーにちゃんと伝えろと怒るのだった。


「ククッ! てめぇは戦うとクソうぜぇ奴だが、ソフィの奴を前にするとおもしれぇな」


 ヌーは愉快だとばかりにテアを見ながらニヤニヤ笑うのだった。


「何を笑っておるのだ? お主も何故、我に頭を下げている?」


 テアの言葉が理解出来ないソフィは、いきなり謝罪をするかのように頭を下げ始めたテアを見て、首を傾げるのだった。


「まぁよい……。そうだな、あの店でどうだ?」


 ヌーとテアがソフィの指をさす方向を見ると、暖簾が掛かった店の看板に『食事処』とこの世界の文字で書かれた食べ物屋があった。


「人もいい感じで集まっているし、いいんじゃねえか?」


「よし、ではあの店にしようか」


 ソフィがそう決定づけるとヌーが、テアにあの店で食事をすると伝えて一行は、暖簾のかかっている食事処に入っていくのだった。


 …………


 ソフィ達が暖簾をくぐると、直ぐに気づいた店主が声を掛けてきた。


「おいでやす! 三人だね、奥の座席が空いてるよ!」


 店主がそう言うと横に立っていた女性が笑顔をこちらに向けながら『こちらです』と言って、ソフィ達を店の奥の御座席に案内してくれた。


 ソフィは軽く会釈をした後、店主の奥さんらしき女性についていった。店の中はそこまで広くはないが客の入りは多く、空いている場所が見当たらない程だった。


 ソフィ達が案内された奥の座席へと向かう途中、畳の座席で食べていた四人組が視線をこちらに向けてきた。ソフィ達はちらりとそちらを一瞥し、テーブルの上に置かれている狐面に注目する。そして互いに視線が合ったが四人組は、無言のままこちらを見てくるだけだった。


 特にそれ以上は何かあるわけでも無かった為に、ソフィ達は前を向いてそのまま店員についていく。


「これが品書きです。ほな、ごゆっくり見とくれやす」


 言葉は通じるがどこかこれまで聞いた事の無い方言で話す女の店員にソフィ達は頷き、畳のお座席に腰を下ろすのだった。食べ物の種類が書かれた品書きを置いて店員は去っていった。

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