表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
ノックス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

835/2234

820.妖魔召士の相違点

※加筆修正を行いました。

 ヌーにタクシンの後を追わせた後『動忍鬼(どうにんき)』の傷を治したソフィは、動忍鬼の意識が戻ったのを確認して事情を詳しく聞こうと話しかけるのだった。


「話せそうなら詳しく話してくれぬか? ここには我しか居らぬ」


 ソフィの言葉に少しの間があったが、やがて『動忍鬼(どうにんき)』は口を開き始めた。


「分かった……。まずさっきの男はね、私たち『妖魔』を従わせて戦わせる『妖魔召士(ようましょうし)』と()()()()人間達よ」


 小声でぼそぼそと呟くような声で『動忍鬼』は遂に喋り始めたのだが、彼女が喋った言葉の中につい最近()()()()()()()()()()()()()()()()が含まれていた。


「むっ……? 『妖魔召士(ようましょうし)』? 確かそれは悪しき妖魔を正しき道へと更生させて多くの徳を積ませて来世では『()()()()()へと戻す事を目的とした者達の事ではなかったか?」


 サイヨウもまた元の世界では『妖魔召士(ようましょうし)』と呼ばれる者であり、ソフィはサイヨウから『妖魔召士(ようましょうし)』とはどういう事をする者達かという事を『リラリオ』の世界にある『レイズ』魔国で聞かされた覚えがあった。


 目の前に居る動忍鬼と呼ばれる妖魔が、先程の人間に札から使役させられるところをも見ていたし、実際にこうして『妖魔召士(ようましょうし)』という言葉も出てきた。つまりサイヨウの居た世界とは、もうこの世界の事で間違いはないだろう。


 まさかここまで偶然が重なるとは思ってはいなかったが、ソフィは深くは考えずどこまでも縁があるものだと納得するに留まるのだった。


「いえ。全然違う。奴等はそんな立派な人間達じゃない! アイツら人間はね、私達を徐々に狂わせて強制的に従わせる悪魔のような者達よ!」


 サイヨウの事を考えていたソフィは、突然の動忍鬼の叫びに近い声に意識を戻された。


「そう言えばお主は我と『念話(テレパシー)』をしている途中に『もうすぐ自我を失わされるから逃げろ』といっていたな? そしてその後すぐにお主の様子が変わって急に『念話(テレパシー)』が途切れて暴れ始めたように感じられた」


 ソフィと戦い始めた時には、今の『動忍鬼(どうにんき)』のように意思の疎通が出来ていた。しかし何やらあの人間が『動忍鬼』に対して詠唱を行った瞬間に『動忍鬼』は自我を失い、それまでの様子から変貌して暴れ始めた。


「その通りよ……。あの人間達、つまり『妖魔召士(ようましょうし)』は従わせた妖魔の力を制御出来る。奴等が最初に私たち妖魔を『式』にする時に()()()()()()()でしか、私たちは自分の力を使えなくなるの」


()()()()()()の仕方なのだな)


 魔族は逆に魔物達に『名付け(ネームド)』をする事で魔物達は、魔族の強さに応じて強さを増していく。


 ソフィがリラリオの世界で契約を交わした魔物達は、皆あの時のソフィの力量に応じた分の力が増幅されて強くなっていった。しかしこの世界では『妖魔召士(ようましょうし)』が妖魔を『式』にする時に力の分量を決める事が出来るらしく、逆に弱らせる事もあるようだ。


 リディアやラルフと戦っていた妖魔達もサイヨウが弱体化させて、修行をつけさせていたのだろうか? ソフィは何故そんな回りくどい力の設定にするのか分からずに眉を寄せながら思案を続ける。


 ――しかしそこで再び『動忍鬼(どうにんき)』が口を開いた。


「さっき貴方は『妖魔召士(ようましょうし)』が、悪い事をした妖魔たちを正しき道へと更生させる者達だとそう言ったわね? 確かにかつての『妖魔召士(ようましょうし)》』達は本当に妖魔達の未来を想って助けようとしてくれた者達だった」


 動忍鬼は遠い目をしながら、過去を思い返して話を続ける。


「でも今の人間達は違うわ。今の『妖魔召士(ようましょうし)』は、妖魔を更生させるどころか、本気で討伐する事すら目的としていない」


 溜息を吐いた後に一呼吸を置いて『動忍鬼(どうにんき)』は言葉を続けた。


「人間達は自分達の私欲の為に、我々妖魔達を従える事を目的としているの」


 どこか呆れたような表情を浮かべながら『動忍鬼』は、そうソフィに言い放つのだった。


 静かな夜の森の中でソフィは『動忍鬼(どうにんき)』の言葉を聴いて、余りにもサイヨウとはかけ離れた『妖魔召士(ようましょうし)』という者達の事を考えさせられるのであった。


 ……

 ……

 ……

『ブックマークの登録』や『いいね』また、ページの一番下から『評価点』を付けていただけると作者のモチベーションが上がります。宜しければお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ