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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
ノックス編

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828/2233

813.VS動忍鬼2

※加筆修正を行いました。

 空から漆黒の大きな翼を羽ばたかせて大魔王が向かってくる。


動忍鬼(どうにんき)』は鬼としての本能で、襲い掛かる脅威を振り払う為に行動を開始する。空から落ちて来る『金色(きんいろ)』の光に向けて、両手で持った鉈に思いきり力を込めて振りかぶった。


「ああああっっ!!」


 対するソフィは上空から加速した速度そのままに、真正面からこちらに向けて鉈を振り回そうとする『動忍鬼(どうにんき)』に再生させた右手に『()()()()()』を纏わせて突き出した。


 ――インパクトの瞬間。周囲に恐ろしい衝撃が駆け抜けていき、大地の裂けた箇所から亀裂が更に広がっていく。


 その中央に居る『ソフィ』と『動忍鬼』は凡そ2秒程ではあったが、力と力が拮抗して動かなかった。


動忍鬼(どうにんき)』はそのまま押し切れると判断したのか、口角を吊り上げて笑おうとする。


 ――が、しかし……。


(――素晴らしい……。もっと我を楽しませてくれ)


 聞こえなくなった筈のソフィからの『念話(テレパシー)』が、鮮烈に『動忍鬼(どうにんき)』の胸に、心に、耳に響いた気がした――。


「ぐおおああっ!?」


 ――次の瞬間。


 ソフィの周囲を纏うオーラが金色だけでは無く、鮮やかな『()()()』が混ざり合い、魔力がさらに増幅される。一方から一気に力が膨れ上がり、拮抗していた力が極端に傾く。


 ドォンッ!! という衝撃音と共に、動忍鬼は吹き飛ばされていき、その身体で木々を次々と薙ぎ倒しながら森の中を突き進んでいく。もはや『加護の森』の一部は完全に更地と化していく。


 やがて『動忍鬼(どうにんき)』は、一際大きな樹に体がぶつかってその身体が止まった。そしてそのわずかな時間の後、大きな樹はベキベキと音を立てて真っ二つに折れるのだった。


 大きな樹だった木の根元で『動忍鬼』はがくりと首から地面に落ちていき、そして完全に気を失って倒れるのだった。


 …………


 ソフィはゆっくりと意識を失った『動忍鬼(どうにんき)』の元まで歩いてくる。目の前まで来た後、ゆっくりと『動忍鬼(どうにんき)』の身体を仰向けに寝かせる。


「うむ。命に別状は無い。それにどうやら、()()()()()()()()()()()()()


 それならばと『ソフィ』は、そっと寝かせている『動忍鬼』に手を翳して魔法を唱えた。


 ――神聖魔法、『救済(ヒルフェ)』。


 温かな光が動忍鬼を包み込むと『動忍鬼(どうにんき)』の身体のいたるところに出来ていた、大小差のある傷が塞がっていく。


 今のソフィ程の魔力があれば、魂が残っている間であればだが肉体を修復し蘇生さえ可能とするだろう。


 …………


「うっ!」


 ゆっくりと目を覚ました『動忍鬼(どうにんき)』は、ぼんやりとした目で周りを見渡していたが、やがてそこに映る人影に視線が止まる。


「目を覚ましたか? 傷は治ったと思うが、気分はどうだ?」


「え?」


 まだ意識が混濁しているようで、自分がどうなったのかさえ分かっていない『動忍鬼(どうにんき)』。


 やがて意識が覚醒していき、自分の身に何があったのか思い出すと、その場で勢いよく立ち上がった。


「私、何でまだここに居るの? アイツに意識を奪われてまた暴れさせられた筈なのに……」


「話せそうなら、詳しく話してくれぬか? ここには我しか居らぬ」


 ソフィは少しだけ足を曲げて目線を『動忍鬼(どうにんき)』に合わせて優しくそう告げると、驚きながらも『動忍鬼(どうにんき)』はこくりと頷きを見せるのだった。


 ……

 ……

 ……


 一方その頃『動忍鬼(どうにんき)』が暴走したのを確認したタクシンは、鳥の足に捕まりながらケイノトと呼ばれる彼らの町へと向かう為に空を飛んでいた。


「捕えられなかったのは残念だが、ひとまずは厄介な者を片付けられたのは大きな功績だろう。この事を『()()()』様に報告すれば、私はまた一つ認められる事だろう。ふふふ、この私が『退魔組』の『副頭領』と名乗れる日もそう遠くはあるまい?」


 空を飛びながら自分の素晴らしい未来を想像し、ニヤニヤと笑い始める『タクシン』だった。


 しかしその上機嫌のタクシンの背後からタクシンに向けて一筋の光が迫って来る。


「むっ!?」


 恐るべき速度で向かってくる光に気づき、タクシンは直ぐに『式』を消して空から落下しながら躱すと、器用に体を入れ替えて背後を見る。


 するとタクシンの後ろからこちらに向かって、グングンと迫って来る人影が見えた。


 タクシンは先程の二人組の一人が来たのを悟り、地に両手をついた後に体を起こして、大きく溜息を吐くのだった。

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