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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
第十一章 幕間

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798.地下牢から出る大魔王

※加筆修正を行いました。

 ソフィ達はフルーフの『時魔法(タイム・マジック)』によって、アレルバレルの世界へ戻ってきた。


 青い空が広がるリラリオの世界に比べると、アレルバレルの魔界は漆黒の空に暗黒の世界に包まれている。しかしそれでもソフィは、この世界を嫌いでは無い。こんな世界であってもソフィにとっては故郷なのである。


「ここは……、南方の大陸のようだな」


 どうやらフルーフの魔法によって、魔界の南方最果ての大陸の場所に跳ばされたようだった。


「ソフィ、本当にあやつを出すんだな?」


「仕方あるまい。自分に『呪縛の血(カース・サングゥエ)』を施したあやつには、無理矢理聞き出すわけにもいかぬしな」


 一緒にこの世界に跳んできたフルーフの言葉に、そう言葉を返すソフィだった。


「そうか」


 まだ何か言いたそうなフルーフだったが、それ以上は口に出さなかった。もうヌーとは話もつけている。


 それにエヴィというソフィの配下を取り戻すには『ノックス』という座標を知るヌーが、必要不可欠なのである。


 ソフィはちらりとレアの方を見ると、フルーフ以上に不満そうな顔を浮かべていたが、レアも何も言わずに周囲を見渡していた。


「よし、では『高等移動呪文(アポイント)』で城へ向かう」


 ソフィがそう言うと二人は同意するように頷き、魔法によって空を飛んで行くのだった。


 ……

 ……

 ……


 アレルバレルの魔王城に戻ってきたソフィとフルーフは、地下牢に幽閉しているヌーの前に顔を出した。


「お前が再びここへ顔を出したという事は、俺を出す気になったってことだな?」


「うむ。約束通り、我の配下の元へ案内してもらうぞ」


「いいだろう。望み通りにノックスへ案内してやる」


 ソフィは軽く頷いて『神聖魔法』の掛けられている牢の扉の鍵を開ける。それを見てヌーは牢の中で立ち上がり、ゆっくりと扉から身体を出す。


 その瞬間にフルーフの目が揺れ動きギロリとヌーを睨みつけると、二メートル近くあるフルーフがヌーを見下ろす。威圧的なその態度を肌で感じたヌーは薄く笑いながら口を開く。


「安心しろよ? この期に及んで逃げ出そうなんて思っちゃいねぇ。()()()()()()()()()()()()()()


「黙れ。お前の言葉など信用出来ぬ。さっさと自分の役割を果たして来い」


 フルーフのつっけんどんな言葉を受けたヌーは、とりつく島がないといった様子の表情を浮かべ、溜息を吐きながらソフィを一瞥する。


「お主が蒔いた種じゃ、仕方あるまい。それでは一度地下牢の上へあがるが、念のために拘束具をつけてもらうがよいな?」


「ああ、勝手にしろ。つけてもつけなくてもお前らが一緒にいる以上、俺に自由は無いだろう」


「クックック、分かっておるならそれでよい」


 そう言うとソフィは右手に魔力を集約させると、手足を縛るマジックアイテムの拘束具を何も無い空間に生み出しそれをヌーに装着する。


 元々は単なる拘束具に過ぎないマジックアイテムだが、この拘束具には牢の扉と同じ『聖動捕縛セイント・キャプティビティ』の神聖魔法の効力が発揮されている。


 カチャリという音を立てて、四肢に拘束具を装着させられる。言葉通りに暴れる事もなく、素直に手足を差し出すヌーであった。


 その様子はソフィとフルーフを前に暴れて抵抗をしても、無駄だと分かりきっているような態度であった。


「その拘束具は無事にノックスの世界についたら外してやる。それまでは束縛を我慢してもらう」


「ああ、それでいい」


 ヌーの言葉に頷いたソフィはフルーフに目配せをした後、結界の効力が無い一つ上の階層まで歩いていくのだった。


 地下牢の一つ上の階『()()()』へ繋がる事務室の部屋に三人は戻って来る。ここまで戻ればソフィの『結界外』となり『概念跳躍(アルム・ノーティア)』といった魔法も使用できるようになる。


 事務室に居る魔族達は『特別牢』からソフィが戻ってくると、すぐに立ち上がって敬礼をする。


 ソフィが軽く手を挙げると、事務室に居た魔族達は普段通りの業務へと戻る。

 何体かの魔族は()()()()()()()()()()()()()()()()()、フルーフを見て首を傾げるが、直ぐに自分達の仕事戻っていった。


 ――彼らは先日『金色の目(ゴールド・アイ)』でフルーフに操られた者達だった。


 フルーフという大魔王階級の存在が本気で放つ『金色の目(ゴールド・アイ)』は、超越魔法である『誘操風可(マニピュレイトエアー)』よりも余程洗脳する力が高い。それでも何か違和感を感じられたという事は、彼らは相当に優秀な耐魔力を持っていたという事だろう。


 フルーフは仕事に戻った彼らを一瞥すると、流石はソフィの配下だと頷くのだった。


「それではヌーよ。フルーフにノックスの座標とやらを言うがよい」


「ああ、分かった。場所は……―――」


 フルーフはヌーから教えられた世界の座標を頷きながら聞く。そしてどうやらそれで伝わったのか『スタック』の準備を始めるのだった。


「ではヌーよ、お主には我と一緒に『ノックス』やらの世界についてきてもらうぞ」


「分かっている。だが貴様も約束は守りやがれよ? 『天衣無縫(てんいむほう)』を取り戻したら、俺を自由にしてもらう」


「うむ、約束はしっかりと守る。その代わりにエヴィを取り戻したら、このアレルバレルの世界まで送ってもらうぞ」


概念跳躍(アルム・ノーティア)』の『スタック』をしながらフルーフは、横目でヌーを睨むのであった。


 フルーフはそんな視線に『分かっている』と意味を込めて視線を返すのだった。


「ああ、てめぇは未だに『概念跳躍(アルム・ノーティア)』を使えないようだからな。特別にアフターサービスを兼ねてやるよ」


 そう言ってヌーは、ソフィに笑いかけるのだった。

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