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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
封印式神編

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809/2223

795.天才と天才による解釈談義

※加筆修正を行いました。

「どうやら今のお主は、()()()()()()()()だな」


 顔も声もシス女王のものだが、直ぐにエルシスだという事に気づいたフルーフだった。


 彼の中ではエルシスという存在はソフィの友人というだけでは無く、神聖魔法という『魔』の英知を極めた人間として認識している。そんな彼が間違える筈がなかった。


「彼は少し特殊なケースでね『金色』の体現は、()()()()()()()()から体現したものだ」


 エルシスの解説を聞いたフルーフは再び眉を寄せる。


「つまり金色の体現を自覚せずに、魔族でいうところの()()()()()()の技術を応用した事で、オーラを纏えるようになったという事か」


「そう言う事だね。もう一つ付け加えると、彼が金色のオーラ自体を纏えるようになったのは、つい最近の事だ」


 フルーフはその言葉を吟味するように頷き、そして徐々に笑顔に変えていく。


「成程? 確かに珍しいケースだな。人間にして祖先に魔人の血を持っているようだが、しっかりと魔人の力を継いで生まれてくる人間など確率は低い。その上に金色の体現も果たして居るのだとしたら、楽しみな事だな」


 そのフルーフの台詞にエルシスは、ラルフと何かを話すソフィを一瞥する。


「彼がこの子を気に入っている理由が、分かるというモノだろう?」


 フルーフとエルシスは互いに、何かを分かり合っているように頷き合い、そして笑い始める。


 間に挟まれたリディアは会話についていけていないが、自分の事で話をされている以上離れることも出来ずに、その場で溜息を吐くしか出来なかった。


「しかしそれだと説明が困難だな。ワシも魔人のスクアードは、他者からの知識でしか『(ことわり)』を説明出来ぬ」


 ようやく本題に戻ってきた事で、再びリディアは話に耳を傾け始める。


「そうだな……。ボクにさっき言っていた事をもう一度、詳しく説明してくれるかい?」


「自身を客観的に捉えながら、『魔』では無く『力』の依り代となる物を連想し、自身の身体に宿らせるようにイメージし、()()()()()()()()を生み出した後、その()()()()()()()()()()()()()()()ように意識を集約させるのだ」


 フルーフは先程リディアの前で口にした内容をもう一度エルシスに話し始める。リディアはやはり何度聞いてもさっぱり理解出来ないようだったが、エルシスはフルーフの言葉を反芻させるように呟きながら思案し始める。


「魔力回路を通さず意識だけで具現化するというのであれば、()()()()()()では出来ないな。そして()()()()()()も魔力を伴う為に役立ちはしない」


 フルーフとも会話をしている様子では無く、エルシスはあくまで独り言をいいながら思案を続ける。


「そうだな。魔族であれば紅の具現創成という物がある為、意識しやすくさらに金色の体現者であれば、自身の存在となる結晶を自分の先に生み出しながら握り潰すという感覚をそのまま応用する事が出来る。だが、金色の体現自体の感覚が曖昧なうえに人間である以上、()のオーラの『(ことわり)』自体を理解出来ていない。資格は持っているのに理解が出来ないというのは惜しい事だ……」


 フルーフの言葉を耳で聴きながら、頭では思案を続けるエルシスだった。


 ……

 ……

 ……


 フルーフとエルシスがリディアを挟んで会話を続けている頃、ラルフと話をしていたソフィにサイヨウは語り掛けるように口を開いた。


「ソフィ殿。お主の友人たちとやらはお主を含めて化け物揃いだな。エルシス殿はシス殿の中の裏側で数百年もの間、魂を崩壊させる事無く同化を続けられておる程の存在だし、あのフルーフ殿とやらは小生から見ても只者ではないと感覚で分かるぞ」


「フルーフもエルシスも『魔』を無から生み出す事の出来る天才だ。我とて長く生きていると自負しておるが、あれらの『魔』の理解はとても出来ぬし、存在しておるだけでその()()()という物を強く周囲に示せる逸材達だな」


 自分の友人たちを褒められた事でソフィは、誇らしげにサイヨウにそう語って聞かせるのだった。


 ……

 ……

 ……


 思案を続けていたエルシスだったが、唐突に顔をあげたかと思うとリディアに話し始める。


「リディア。キミの強さの象徴と呼べる者を頭の中ですぐに思い描けないかい?」


「何?」


「魔法でも物理的な力でもいい。一度でも自分の身にそれが当たると想像を絶するダメージを負うと思える物、それを頭の中で考えるより先に思いつく事の出来る物の事だ」


 リディアはその言葉で直ぐに鬼の持っていた刀が、自分に襲い掛かって来る姿が脳内に浮かぶのだった。

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