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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
封印式神編

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789.狐の封印式神・朱火

※加筆修正を行いました。

 その頃リラリオの世界にあるレイズ城の中庭では、リディアとラルフの修行が再開されていた。当然これまで通りにサイヨウの式神が彼らの相手となっている。


 リディアの対戦相手は変わらず鬼女の『紅羽(くれは)』が相手となり、今回からは『魔瞳(まどう)』を封印して戦うようにと、サイヨウに言われている。魔瞳を封じられた状態だと、まだまだリディアと比べて『紅羽』の方が総合的には強い。


 ――それだけ『支配の目(ドミネーション・アイ)』が、強力すぎるのであった。


 そしてラルフの方はというと、前回の一つ目の鬼の式神を退けられたという事で、今回から新たに上のランクの式神を相手にする事となった。


「ラルフ殿にも今回から、上位の式神を相手にしてもらう」


 サイヨウはそう言って懐から一枚の札を取り出すと、その場で何やら唱え始めた。するとボンッという音と共に、一体の大きな狐が姿を見せるのだった。


「狐ですか……」


 このリラリオの世界にも当然、野生の狐も生息はしているが、魔物が多く居る場所には姿を見せず、あまり見る機会は少ない。


「小生達の世界で昔から人間達に悪さをしていた『()()』でな。それなりに長く生きておる故、知恵もあるし人に化ける事も出来るのだ」


 サイヨウがそう説明すると、化狐は人間のように口角を吊り上げて笑みを浮かべた。そして次の瞬間には、人型へと形を変えるのであった。


 人型となった狐は、ボサボサの長い髪を腰まで伸ばした野性味溢れる女の姿であった。


「今度はコイツの相手をすればいいのか? 憎僧(にくそう)


「そうだ。しかし『朱火』よ。小生の事をそう呼ぶなと言っているだろう」


 サイヨウの事を『()()()()』という意味を込めて『憎僧』と呼ぶ化け狐の名は『朱火(あけび)』と呼ぶらしい。サイヨウが窘めるようにいうと、朱火はカカカッと痛快そうに笑う。


「ほう、この狐も魔物とは違うようだが……」


 ソフィは中庭の向こう側でラルフと同じように、リディアと戦っている鬼女の紅羽と見比べながら、感心するように頷く。魔族の魔王が『名付け(ネームド)』を行うのと同義で、強さが増しているのか、それとも朱火の妖魔としての本来の実力なのかどうかは分からないが、この『化狐』もまた恐ろしく高い魔力をソフィは感じる事が出来るのだった。


「どれ」


 ソフィは『漏出(サーチ)』を朱火に向けて放つと、直ぐに朱火の強さが数値化されて表示される……筈だった。


 【種族:妖狐 名前:朱火 年齢:1744歳 魔力値:測定不能 戦力値:測定不能 所属:サイヨウの式神】。


「何?」


 ソフィが『朱火(あけび)』に『漏出(サーチ)』を使って出した数値が測定不能と出た事で、第一形態であるソフィが使う『漏出(サーチ)』で測れる数値が上限を越えているのだと理解する。


 ――しかし当然の如く『ソフィ』は『漏出』の影響で脳が焼き切れるといった様子もなく、平然としているのだった。どうやらソフィは無意識の内に『漏出(サーチ)』での作用効力が生じる寸前に『魔法』自体を制御して影響を及ぼさないようにコントロールしたようである。


 こんな芸当は、やろうと思えば出来る者も居るが、ソフィのようにやろうとせずに無意識に出来る者は数少ないだろう。この場にソフィが行っている芸当を理解出来る者であれば目を見張っていたことだろう。


(まさか魔物でもない動物が、ここまで力を持つモノなのか?)



「サイヨウよ。お主の国に居る妖魔とやらは皆、こんなにも強い力を持っているのか?」


 ソフィの質問にサイヨウは頷き、口を開いた。


「小生達の育った国では九つまでにある程度訓練を積み、妖魔達を討伐出来る程の才を開花させねばならぬ。出なければこの『朱火』達のような、妖魔たちから国を守る事が出来ぬからな」


 どうやら目の前の妖魔とやらは、魔物を従える魔族より上の強さを持っているらしい。


 朱火という狐の妖魔を見ていたソフィだったが、やがて今度はラルフに視線を向ける。そして先程と同じように『漏出(サーチ)』をラルフに向けて放つ。


 【種族:人間 名前:ラルフ・アンデルセン 年齢:24歳 状態:通常

 魔力値:測定不能 戦力値:測定不能 所属:ソフィの配下】。


「ふむ、成程。 我は自分の配下の力を正しく測れてはいなかったのだな」


 ソフィは反省するように声のトーンを下げながらそう呟くと、自身の両手に魔力を集約し始めた。そしてソフィの目もまた『紅色(あかいろ)』に輝き始める。


 ――次の瞬間、ソフィの魔力が著しく上昇を始めていき、彼の姿もこれまでの10歳の人間の子供のような姿から変貌していき、背から羽根が生えて口からは鋭利な牙が伸びる。


 そのままソフィは第二形態の姿となるのだった。


 ソフィが変身を行うとラルフやサイヨウそれに朱火達だけでは無く、少し離れた場所で戦っていたリディアや、紅羽も手を止めてソフィの方を見るのだった。


 ソフィは完全な魔力のコントロールを用いたまま、再びラルフに『漏出(サーチ)』を放つ。


 【種族:人間 名前:ラルフ・アンデルセン 年齢:24歳 状態:通常

 魔力値:121万 戦力値:測定不能 所属:ソフィの配下】。


 ソフィ自体の魔力が上昇した事で、変身前より『漏出(サーチ)』の精度が上がり、ラルフの魔力値は数値化に成功したが、それでも戦力値は数値化されなかった。


「これは驚いた。この姿であれば『アレルバレル』の世界の魔族であっても、ある程度の領域までなら測れる筈だが……」


 そのソフィの言葉の通り『アレルバレル』の世界で、数日前に行われた序列選定の試験を行った時は第一形態のままで、正しくA・Bクラスの魔族達の戦力値を正しく測る事が出来ていた筈である。


 しかしどうやらこの世界ではアレルバレルの世界とは違い、出来る筈のあらゆる事が出来なくなっているようであった。仕方無くソフィはその姿の状態から『()()()()()』を纏い始めた後、再びこちらを見ているラルフに『漏出(サーチ)』を再度行う。


 【種族:人間 名前:ラルフ・アンデルセン 年齢:24歳 状態:通常 魔力値:121万 戦力値:6億4350万 所属:ソフィの配下】。


 ソフィの『漏出(サーチ)』でようやく、ラルフの現在の戦力値を正確に測れるようになった。しかしその数値を目視したソフィは、驚きで目を丸くするのだった。


「クックック、成程。どうやら我は配下の成長を見縊(みくび)っておったようだ」


 そこで今度は『朱火』に改めて『漏出(サーチ)』使ってみる。


「サイヨウよ……。この妖魔とやらと本当にラルフを戦わせるつもりなのか?」


「勿論だとも」


 ソフィの隣に居たサイヨウは前を向いたまま、当然だと言いたげにそう告げた為、ラルフの成長に喜びの笑みを浮かべていたソフィはその笑みを消す事となった。


 【種族:妖狐 名前:朱火 年齢:1744歳 魔力値:4600万 戦力値:31億1110万 所属:サイヨウの式神】。

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