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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
封印式神編

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768.研鑽の形

※加筆修正を行いました。

 レイズ城の最上階にある窓から中庭に居るサイヨウ達の様子を見る者達が居た。ここレイズ魔国の女王シスと同じく、レイズ魔国のフィクスである『ユファ』である。


「サイヨウって人は本当に何者なのかしら……」


 ユファが隣に居るシスに話しかけると、シスも同意するように頷く。


「ただの人間じゃないのは火を見るより明らかよね。それにあの使い魔みたいなものは、明らかに魔物に近いわ」


「式神だったっけ? それも今リディアと戦ってるあの人型の妖魔は、間違いなく『()()()()()はあるわよ」


「あれ程の強さの妖魔を何体も従えているのだとしたら、サイヨウさんって人も立派に大魔王よね」


「実はこの世界の大魔王だったりして」


「あはは。ヴェル、冗談に聞こえないからやめてよ」


「でもあの人がラルフの修行をつけるようになってからだいぶあの子は成長出来たわ。私の修行も継続して行っているし、きっとあの子もまだまだ強くなるはずよ」


 あの日、大賢者ミラが大魔王ソフィによって消滅させられた後、このレイズ魔国にサイヨウは気絶していたリディアとラルフを連れて戻ってきた。


 ここに来るまでに何やら一悶着あったようで、リディアが目覚めた後にしきりに彼に俺と戦えとしつこく迫っていた。しかしサイヨウにはその気がなかったようで、もっと強くなったら相手をすると断られていた。


 だが、諦めきれないのかリディアは、それならばお前が俺を強くしろと無理難題を告げていた。


 既にエルシスに金色のオーラの使い方や『支配の目(ドミネーション・アイ)』といった能力の使い方等、十分な程に強くしてもらった彼だが、研鑽の手を緩めるつもりは無いらしく、前を見据え続けているようだ。


 そしてそんなリディアの申し出を受け入れたサイヨウだったが、横で聞いていたラルフもまた、自身も関心があったのか、サイヨウの修行を自分も受けてみたいと彼の師であるユファに相談があったのである。


 ユファは悩んだ末に、サイヨウが修行をしてくれるというのであれば、構わないとラルフの申し出も認めた。ラルフがユファの弟子になってからかなりの年月が経ち、既に魔法使いであるユファが教えられる『戦闘基本研鑽演義(きほんけんさんえんぎ)』は全て叩き込んでいたからである。


 魔法使いでも無いラルフに、ユファが教えられる事はもう限られてきていた為、ラルフの今後のキャリアアップに繋がるのであれば、ユファは取り入れてみようと考えたのである。


 勿論今後もユファはラルフの面倒は見るつもりではある。


 ラルフもすでに魔族でいえば『真なる魔王』の中の上くらいの領域に到達しており『()』の練度も生粋の人間であれば、十分過ぎる程の().()()に達している。今以上にラルフが強くなるのであればとサイヨウの修行を受ける事に、反対はしなかったのである。


 そして今こうして、目の前で自分の弟子が強くなっていると実感出来た事で、あの時の決断は間違っていなかったのだとユファは満足そうに頷くのであった。


「嬉しそうね? ヴェル」


「ええ」


 弟子が強くなっていく事の充実感と、自分も負けていられないという意欲が漲っている顔を見られたユファは、少しだけ照れくさそうに頷いた。


「私も『()()()()()』はもう十分にモノにしたし、次は()()()()()()()の番かしらね?」


 キーリがヴェルマー大陸に攻めてきてユファと戦った時、あの頃はまだユファは『()()()()()』は使えず、精々が『()()()()()』までであった。


 しかしあれから時は経ち、ユファは弟子の面倒をみながらも自分の修行を怠らずに、必死に強くなる為の研鑽を続けて、今では『()()()()()』を完全に使いこなしていた。


 更には『高速転移』やこれまでは得意であった雷系統以外の『神域魔法』の無詠唱化も進んでいき『()()()()()』使用時の『魔力コントロール』や『戦力値コントロールも』スムーズに行えるようになってきていた。


 今のユファは『大魔王領域中位』と堂々といえる力量を手にしており、闘技場でキーリと戦っていた頃のリディアが相手であれば、あっさりと勝利をもぎ取る程の成長を果たしていた。


 そしてユファが彼に向けて『神聖魔法』に着手しようとしていると告げると、シスは少しだけ驚いた顔をした後、決して普段の彼女であれば、見せる事の無い『()()』をユファに見せるのであった。


 ……

 ……

 ……


 リディアは折れた刀の確認していたが、そこへサイヨウが言葉を投げかける。


「リディア殿、刀が折れては戦えまい。今回はひとまずここまでにしておこうか」


 サイヨウの言葉を聞いたリディアは折れた刀をその場に捨てる。リディアのその様子を見た鬼女は、リディアを格下の存在だと認識したのだろう。鼻を鳴らして嘲笑うようにリディアを見るのだった。


 そしてサイヨウが新たに札を取り出し始めようとする。どうやら鬼女を再び封じようとしたのだろう。


 しかし一歩前に出ようとしたところで、サイヨウはその足を止める。リディアが再び金色のオーラを、纏い始めたからであった。


「リディア殿?」


「お前もそこの『()()()()()』も何を勘違いしているか知らんが、勝負はこれからだ」


 リディアはそう口にすると何も持っていない両手に『オーラ』を集約させ始めると、徐々に『柄の無い二刀の刀』が、金色の輝きを放ちながら具現化され始めるのだった。


 ――そしてこれこそが、彼自身の()()()()()()()()()なのであった。

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