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72.古参の上級悪魔

※加筆修正を行いました。

 部屋の中は先程までとは打って変わって緊迫した空気が流れ始めていた。その要因となったのはやはりソフィで間違いはないだろう。


 当初レルバノンはこの屋敷にソフィを迎え入れて、(てい)のいい配下としてソフィを従わせるつもりだった。


 しかしソフィはあろうことか、ラルグ魔国でも恐れられていた程の存在である『魔族』レルバノンの魔瞳『紅い目(スカーレット・アイ)』をあっさりと『相殺』をしてみせたのである。


「さてレルバノン殿、こちらの話もそろそろはじめても良いかな?」


「聞きましょう」


 緊迫した空気の中で互いの『魔族』は、冷静に会話の流れを慎重に運び合う。


「この屋敷には魔物に『薬』を与える事で狂暴化させて町を襲わせている奴がいると聞いたのだが、その者に会わせてもらえぬだろうか?」


「はて、何の事でしょうか? 私の屋敷にはそのような者はいませんが」


 レルバノンが何の事だか分からないと首を傾げる。


 ここに来る途中でエルザから話を聞いていなければ、本当に居ないのかと思わせる程の完璧な演技であった。


「おや、それはおかしいな? 先程お主の配下の『エルザ』といったか? あの者がこの組織の中に居ると教えてくれたのだがな?」


 ソフィがそう言うとレルバノンは、表立っては表情を変えはしなかったが、内心で舌打ちをするのだった。


「そうなのですか? すみませんが私の与り知らぬ事ですね。部下がやる事にいちいち口を出さない主義ですので」


 レルバノンという男は、あくまで部下達が勝手にやっている事にしたいらしい。


「ふむ、では辞めさせるようにお主から伝えてもらえるかな? 先程も言ったが我は人間のギルドに所属していてな。ギルド長からの依頼で犯人を捕縛せねばならないのだ」


「それはそれは……。ソフィ君もご苦労な事だ」


 小馬鹿にした態度で、鼻をならしてレルバノンは小さく笑う。


「しかし残念ですが断らせて頂きます。私の部下達にも何か考えがあってやっている事なのでしょうし、私がわざわざ止める必要性を感じませんので」


「では我が直接話をしよう。その男に会わせてもらえぬか?」


 あくまでも引き下がらないソフィに、レルバノンに苛立ちが見え始める。


「少々しつこいですよソフィ君。私が知らないと言っているのだから、納得してもらえませんかね?」


「すまないが、我もギルドの依頼を受けている以上、町を襲わせている者を放っておくわけにはいかぬのだ」


「ふぅ……」


 レルバノンは引き下がらないソフィに対して、これ見よがしに大きく溜息を吐いた。


「何か勘違いをしているようだが、君は私と対等の立場ではないのだよ?」


 レルバノンが指を鳴らすと、屋根裏から三匹の『上級悪魔(グレーター・デーモン)』が現れた。


 【種族:デーモン族 名前:古参の上級悪魔 魔力値:999 戦力値:125万】。


「グォオオオ!」


 三匹の『上級悪魔(グレーター・デーモン)』は、レルバノンの指示を待ちつつも目前の餌ソフィに涎を垂らす。


 その『上位悪魔』達はどうやらソフィを纏う『魔力』を見て、久しぶりの上等な餌だと考えた様子であった。


「いくら君が『()()()()』とはいっても古参の『上級悪魔(グレーター・デーモン)』三匹を相手にするのは厳しいでしょう? このまま黙って引き下がって頂けませんか?」


 ――魔物は年齢を重ねるごとに強さを増していく。


 レルバノンの配下である上級悪魔(グレーター・デーモン)は、すでに数百という年齢を重ねた上級悪魔であり、単なる『魔族』よりも上位の存在である『上位魔族』であっても、この三匹を同時に相手どるには厳しい筈である。


「クックック、よいのか? 今ならまだ冗談の範疇にすませてもよいが、お主がその魔物達を我に嗾けた瞬間に、お主は後悔する事になるぞ?」


 そう告げると同時に『ソフィ』の周囲に『()()()()』オーラが溢れ出てくるのであった。


()()()()()()()()()?」

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