表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
序列部隊の選定編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

756/2219

742.神速のリーシャの矜持

※加筆修正を行いました。

「見たか? 信じられぬ程の才じゃぞ。ソフィよ」


「うむ、確かにあやつの『特異』はかなり強力なようだな」


 レアの結界を感知したソフィとフルーフは、そのままレアの結界をすり抜けて施設に入り、そして今のリーシャと、ミデェールのやり取りをその目で見るのだった。


 エイネとレアは顔を見合わせて互いに驚く。張本人であるリーシャは自分の手を見て硬直していたが、無言で振り返ったかと思うと……。


 ――突然、リーシャは前傾姿勢になりながら再び目を金色に輝かせる。


「ま、待ちなさい、リーシャ!!」


 リーシャが何をしようとしているか理解したエイネは、慌てて叫んで制止を呼びかける。


 リーシャは金色に目を輝かせながら金色のオーラを纏い『高速転移』を使ってミデェールの右斜め五メートル程前に着地したかと思うと、その場所で思いきり軸足に全体重を集約させた後に地面を蹴り飛ばした。リーシャはその一歩で、大きく反動をつけて速度を増してみせたのだ。


「あああっっ!!」


 怒号に似た叫びをあげながら、リーシャは全力でミデェールに向かっていく。反動をつける毎に、リーシャの速度は際限なく上がり続けていく。


 ――これこそがリーシャの神速たる所以。そして彼女の持つ特異である。


 互いに金色の体現者同士。選ばれし者達の特異と特異、天才同士の才能のぶつかり合いが始まった。


 反動をつけたのは一回である為、まだ完全な『神速』と呼ばれた彼女の速度の領域では無いが、それでも一歩目で思い切り反動をつけたリーシャは先程の速度とは比べ物にならない。


 ミデェールは再び『紅い目(スカーレット・アイ)』で特異を発動させていたが、それでも今のリーシャの速度は、捉えきれていないのか先程とは違い、今のリーシャの居る場所とは、見当違いの方向。一番最初に居たリーシャの場所辺りを見ていた。しかしそれは何もおかしなことでは無い。


 ミデェールと同じようにレアやエイネもまた同じ場所に視線を向けていた。

 最早、今の瞬間移動を起こしたような速度のリーシャに正確に見る事の出来る者は限られている。


 ――この場では、ソフィとフルーフの両名のみである。


 恐ろしい速度でリーシャは鼻息荒く両手でミデェールの肩を掴んだかと思うと、そのまま押し倒すのだった。


「ふーっ、ふーっ……! ぐすっ!!」


 興奮冷めやらぬといった様子でリーシャは泣きながら、ミデェールの身体に馬乗りになって、両手で地面に押さえつけるのだった。


 リーシャは余程悔しかったのだろう。先程自分が泣いていた時以上に自尊心を傷つけられたようで、直ぐに傷つけられた自尊心を回復させるために、本能で行動したようであった。


『大魔王最上位』領域の魔族に恐ろしい形相で乗っかかられたミデェールは、そのまま倒れたまま気を失うのだった。


「み、ミデェール!!」


 そこでようやくエイネはリーシャを後ろから両脇に手を入れて立ち上がらせて払いのけた後、気絶をしているミデェールに駆け寄るのだった。


「リーシャ……?」


『女帝』の顔になったエイネは、ミデェールの頭を自分の膝に乗せながら、再び鋭い視線を呆然と立ち尽くしているリーシャに向ける。


「ヒィッ!! だ、だってぇ……! ご、ごめんなさぁい、エイネさん……!!」


「そこまでにしておくのだエイネよ。リーシャもやり過ぎた事を反省して謝っておるしな」


 そこでようやくエイネ達はソフィがこの場に居た事に気づき、慌てて立ち上がって頭を下げる。そのソフィの背後からフルーフもゆっくりとした足取りで歩いてくる。


「えっ……! えぇ、フルーフ様もぉ!? 私の結界では何も感知出来なかった……」


「クククッ、まだまだワシはお前の結界程度で悟られる程、老いぼれてはおらぬぞ?」


 レアの結界にばれないようにこの施設に入り込んでいたフルーフは、そう言ってレアに笑いかけるのだった。


「しかしリーシャを本気にさせるとは、この若者も大したものだ」


 ソフィは床で寝かされている『ミデェール』を見ながらそう呟くと、フルーフもソフィの言葉に同調するように頷くのだった。


 ……

 ……

 ……

『ブックマークの登録』や『いいね』また、ページの一番下から『評価点』を付けていただけると作者のモチベーションが上がります。宜しければお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ