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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
天才同士は惹かれ合う編

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717.ミデェールの決死の告白

※加筆修正を行いました。

 その頃『アサ』の世界に居るエイネは、ミデェールと同じく魔族のフィリーから自室で話を聞かされていた。その内容はある程度エイネが、予測出来ていた事だった。


 ――『()()()()()()()()()()()


 この世界の住人では無いエイネは、この世界のやるべき事を果たした後は元の世界に帰ってしまう。


 何度もその事を考えたミデェールは、どうしてもエイネから離れるという選択肢を選ぶことが出来なかった。


 彼はエイネの強さに憧れている。そして同胞である魔族達を魔人族に、隷属させられているという立場から救ってくれた。


 しかしミデェールがエイネについていきたいという理由は、それだけではなかった。


 ――『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』。


 その事に気づいた彼は、幼い頃から一緒に育った女性魔族である『フィリー』に悩みを打ち明けて相談した。


 一生懸命にエイネの事を話す彼に、フィリーは真摯に相談に乗ってやった。そしてそこまで彼女の事を想っているのであれば、後悔しない道を選べと説いたのである。


「お願いします! 俺は貴方についていきたい! 一緒に俺を連れて行ってください!!」


 当然エイネは彼が自分に対して、抱いているのは恋慕では無く、尊敬と理想の自分を重ね合わせる事で憧れの気持ちその強い現れである『憧憬』を抱いたからこその言葉だと思っていた。


 強くなりたいと思う事は間違いではない。


 そしてその気持ちこそ、エイネがこの世界に生きる魔族達に抱いてほしい感情であった。


 しかしエイネは、ミデェールを連れていく訳には行かない。


 今や自分は集落で個人として生きていた『()()()』では無く、大魔王ソフィに仕える『九大魔王』の『()()()』なのである。


 全ての決定にはソフィの許しが必要であり、勝手な事は許されない。


 あの心優しきソフィであれば、しっかりと説明をすれば許してはくれるだろう。しかしエイネが考えている事はそれだけではなく、ミデェールという未来ある若者を死なせたくは無いのだった。


 この世界であれば生き延びる事が出来るだろうが、アレルバレルという世界には、大魔王領域に居る『煌聖の教団』の魔族も多数残っている筈である。


 そんな奴らと戦争中に『ミデェール』を守りながら戦う余裕はエイネにはないのである。


 まだソフィが『煌聖の教団』とミラを倒したという事を知らないエイネが、そう考えるのも無理はなかった。


 だからこそ彼女が出した結論は――。


「ごめんなさい。貴方を私の世界へ連れていく事は出来ない」


 それは明確にミデェールを拒む言葉であった。


「!」


「貴方は金色と呼ばれる力に目覚めている。この世界の魔族達を守る為に、今後は貴方が魔族達のリーダーとなって彼らを導いてあげて?」


 ――エイネの言葉は間違ってはいない。


『金色の体現者』であり、既にその『()()』の一端にも目覚めているミデェールは、この『アサ』という世界で、魔族達を束ねる王のような立場を任せられるだろう。


 龍族と魔人族の協力を取り付けたとはいっても、抑止力となり得る力を持った者が居なければ、いずれはまた下に見られてしまうかもしれない。


 しかし『金色の体現者』である『ミデェール』が、修行を積んで力をつけて行けば、いずれはこの世界の力を有する者と互角以上の存在となることも出来るだろう。


 この世界の魔族達には彼が必要だろう。そう考えて突き放すエイネだったのだが……。


 納得し諦めてもらえただろうと考えたエイネが、ミデェールの顔を見るとミデェールは凄い形相でエイネを見つめていた。


 流石にミデェールのこの顔は予想外だったのか、エイネは分かりやすい程にたじろぐのだった。


「な、何よ! そんな顔をしても連れていけないわよ! 貴方が思う程、私の居た世界は甘くはない。この世界が平和そのものだと思える程に危険が多い世界なの」


「俺を連れていけない理由は……。それだけですか?」


「ま、まだあるわよ! 私は世界を束ねている方の魔王軍に属する魔族なの! 貴方を紹介無しに、勝手に連れていくつもりは無いわ!」


 ぴしゃりと言い放ったエイネの言葉は、流石に予想外だったのかミデェールは俯く。


 しかしそれでも諦めきれないのか、ミデェールはエイネに再び口を開いた。


「……俺は貴方を諦めきれません。貴方が好きなんです!!」


「あぇ……、は……、お……?」


 どんな言葉を投げかけられても断ろうと準備をしていたエイネだったが、真剣な目で自分を見つめての告白の言葉を言われてしまったが為に、目を丸くして驚き喉元まで出掛かっていた言葉を全て呑み込んでしまうのだった。

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