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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
消えた龍王編

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725/2245

712.持つ者と持たざる者

※加筆修正を行いました。

「くっ……! 何故()()()()()()に当たらぬのだ!!」


 どれだけ攻撃を重ねてもその全てを目の前の若い魔族に見切られて、難なく躱され続けるガウル龍王は、徐々に苛立ちを隠す事が無くなってきた。


 そして避けられるだけではなく、馬鹿にしたような力の弱い攻撃を与えて来るのである。


 ダメージの在る無しに拘らず、それが更にガウルを腹立たせる要因となっていた。


(あ、あの龍族の恐ろしい筈の攻撃が全て遅く見える! 何であんなに遅く見えるのか分からないけれど、これならいつかは俺でも勝てそうだ!)


 ミデェールは特異の仕組みや、何故突然使えるようになったのかという事は、まるで理解をしてはいないが、どうやら相手の動きが遅くなって見えるのは確かだとよく分からないままに、自分の力に自信を持ち始めたのだった。


 だがそのミデェールの自信の表れが顔に出た事で、そのミデェールの笑みを見たガウルは、自尊心を酷く傷つけられてこれまでにない程に激昂する。


「ば、馬鹿にしおって!! 必ず貴様だけは殺してくれる!!」


 魔力の回復を待つ為に龍化などをせずに、節約して戦っていたガウル龍王だったが、魔族如きと侮っていた相手に殺し合いの最中に笑みを向けられた事で蔑まれたと感じた彼は、イルベキアの多くの民達を道ずれにする為だった魔力をミデェールという、たった一体の魔族の為に開放し始めるのだった。


 そして周囲に魔力が吹き荒れたかと思うと、ガウル龍王は空高く舞い上がっていった。


 ガウル龍王の姿が人型から龍の姿へと変貌していき、そこでようやくイルベキアの大勢の民達が、この国に現れたガウル龍王の姿を目撃するのだった。


 イルベキアの軍の龍兵の生き残り達が、続々と空に居るガウルの元へ向かっていくが、その数は先の戦争の所為で少ない。


「エイネ殿! 流石にこれ以上は……」


 ガウル龍王の龍化を見たヴァルーザ龍王は、慌て始めたかと思うと、空の上でエイネに声を掛けた。


「そうね。もう少し見ておきたかったけど、これ以上のリスクは負えないわね」


 流石に人型であった頃のガウルにさえ、ミデェールのダメージは余り通っていなかった。


 それが更に龍化にオーラを纏い始めた今、ミデェールの攻撃力ではもうどうする事も出来ないだろう。


 そう判断したエイネは、ヴァルーザの拘束を解き自由にするのだった。


 次の瞬間、ヴァルーザもまた龍化を果たしてそのままの勢いで同じ空の上で近づいてくる、イルベキアの龍兵達に向けて『龍ノ息吹(ドラゴン・アニマ)』を吐こうとしていたガウル龍王に背後から突進する。


「ぐぬっ……!」


 突然のヴァルーザ龍王の体当たりによって、口の中で『龍ノ息吹(ドラゴン・アニマ)』は暴発し、苦しみ始めるガウル龍王だった。


「まだ生きておったとは……。本当に驚かされる」


 苦しむガウル龍王を見ながら同じ『龍化』を果たしたヴァルーザ龍王が声を出すと、苛立ちはピークといった様子でガウル龍王は、ヴァルーザ龍王を睨んだ。


 …………


「あ、あれは……。ヴァルーザ龍王?」


 今までガウル龍王と戦っていた魔族ミデェールは、突然のガウルの龍化に呆けていたが、ヴァルーザ龍王がガウル龍王と戦い始めてようやく現状を理解したようだった。


 そしてそんなミデェールの元へ、一体の魔族が空から降りてきて声を掛けるのだった。


「どうやら貴方の力は、まだまだ未知数のようね」


「エイネ様!」


 尊敬する魔族の姿を見たミデェールは、嬉しそうにエイネの名を呼んだ。


「怪我はないかしら?」


「大丈夫です! あの龍族の動きがゆっくりになった後、攻撃は全て見えていましたので……」


 エイネはその言葉を聞いて、本人にはそう言う風に映っていたのかと納得をするのだった。


 遠目からではそれなりに早い速度で動いていたガウル龍王の攻撃をそれ以上の速度で、ミデェールが躱し続けているように見えていた為、()()()()()()()()という言葉で、他者と特異を使っている状態の彼とでは、()()()()()()()()()を引き起こしている状態なのだと、エイネは判断するのであった。


 つまり彼の特異発動状態において、速度で撹乱するような攻撃等は通用せず、また相手が何処に居ようと、常に先手をとれるような()()()()()()()()は、()()()()()()()だと、エイネは感じるのだった。


(金色の体現者は、どんな存在であっても侮る事は出来ない。それもこんな()()()()()()に目覚められては、我々のような()()()()()はたまったものではないわね)


 エイネが呆れるような表情をしながら、説明を続けているミデェールを見てそう考えるのだった。

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