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676.父へのお願い

※加筆修正を行いました。

 まだ大賢者ミラがこの世界に訪れる少し前。レイズ魔国の女王『シス』と『煌聖の教団』の司令官ルビリスが、相対する直前の話にさかのぼる。


 ラルグ魔国へ到着したレア達は、ラルグ魔国の王であるレルバノンに『煌聖の教団(こうせいきょうだん)』の者達の事を説明すると、直ぐにレルバノンは行動を開始した。


 ラルグ魔国のエルザやレヴトンといった主だった者達を集めて事情を話し、国民達に今はレイズやシティアス方面へ行くのをやめるように通達を始めた。


 ギルドの冒険者たちが依頼の完了を知らせる期限などがある為、レイズ魔国へ行かなければならないと、申し出る者もいたが、元々この国の魔国王であるレルバノンは、レイズ魔国の冒険者ギルド長をやっていた事もあり、今回の騒動が収まるまで依頼の期限などを延長する処置などを検討すると伝えた。


 そしてレアがソフィと知り合いであるという事を聞かされたフルーフは心底驚いていた。


 かつてアレルバレルの世界でフルーフはソフィに、自分には娘が居るという話をした事はある。努力家で『魔』に対して深く興味を抱いており、才能もあるとソフィに自慢をしていたのだ。


 しかし既にレアを独り立ちさせるために別世界へ送っていた為、フルーフはソフィに、レアをあわせる事は出来なかったのである。


 だが、ソフィを知らない筈の娘のレアが、ソフィと知り合い配下になっているという。


 ダールの世界に居た時に、ヌー達と交戦しながらレアの魔力を探知していた時、見つけたレアの魔力は、アレルバレルの世界からであった。


 その時にフルーフは、ソフィが保護をしてくれているのではと一度頭を過ったが、正に本当にその通りだったのだから、()()()()()()()()()()とは、よく言ったモノだと感心した。


 そしてソフィの事をよく知るフルーフは、レアを配下にしたソフィの本当の狙いは、自分の代わりに、レアを保護しようとしてくれたのだろうと信じて疑わなかった。


 ソフィという魔族はそういう奴だと、よく理解をしているフルーフだからである。


「フルーフ様。今レイズ魔国で『煌聖の教団(こうせいきょうだん)』と戦っている『シス』っていう子の中には、もう一人魂が宿っていて、その魂の持ち主は、生前のソフィ様の友人なのよぉ? あの子を助ける為に力を貸してください」


 フルーフはシスという魔族に二つの魂が宿っていると説明されて、どういう意味なのかが、あまり理解出来なかったが、レアに頼まれたならば、応えるのは当然の事である為、直ぐに頭を縦に振って了承した。


 それにどうやらそのシスという魔族の中に宿る者は、自分と同じくソフィの友人だというのだから、助けない理由がなかった。


「構わぬがレアよ。具体的にワシにどうしろというのだ。このままあの若造の組織の連中と戦っているであろうシスという子に加勢をすればよいのか?」


「いえ、まずはソフィ様をこの世界へ連れてきて欲しいのです。今の私の『概念跳躍(アルム・ノーティア)』では、自分だけは別世界へ跳べても他人を連れて来る事が出来ないんです」


「成程。そういう事なら理解した。ではアレルバレルの世界へ向かうとしよう、お前はどうする?」


「私もフルーフ様についていきます」


「分かった。ではワシに摑まるがよい」


 フルーフの言葉に素直に頷いたレアは、小さな身体で必死にフルーフの身体にしがみつく。レアの温もりを感じながらフルーフは、本当に嬉しそうな顔を浮かべた後、魔法を唱えた。


 ――神域『時』魔法、『概念跳躍(アルム・ノーティア)』。


 次の瞬間フルーフは、レアを伴ってアレルバレルの世界へと『世界間転移』を行うのであった。


 ……

 ……

 ……


 その頃。レア達と行き違いで『リラリオ』の世界へ戻ってきていたユファは、音沙汰の無くなったレアを探す為に『レイズ』魔国へ向かっていた。


「あの子、一体どこに行ったのかしら……」


 ソフィ様に妃となったリーネ様や、配下やラルフ達の様子を見てくるようにと頼まれた筈のレアだが、一向に帰って来る気配がなく、そして今もこの世界のどこにも魔力を感じられない。


 ユファは仕方なく、一度シスに事情を説明しようとシスの魔力を探知するが、そこでシスがレイズ城の中では無く『レイズ』魔国と首都『シティアス』の間の空に居るのを感知するのだった。


「シスの魔力がかなり弱まっている……。まさか誰かと戦っているの!?」


 ユファは慌てて『()()()()()』を纏いながら、シスの元へと向かうのであった。

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