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528.ソフィVSレキ4

※加筆修正を行いました。

 ソフィはこの状況になっても自分から仕掛ける事はなく、レキが何をしてくるか待っている。負けた事が無いソフィだからこそ、出る発想ではある。


(我の動きを止めるあの()()魔瞳(まどう)金色の目(ゴールド・アイ)』でも相殺は出来なかった。さてどうするかな?)


 レキが仕掛けるのを待つ間。ひたすらに先程の戦闘の反省を踏まえながら作戦を立てるソフィであるが、そのソフィの表情はここ最近では無かった、()()()()()()()()()()()()様子だった。


「来るか!」


 ソフィがそう呟いた瞬間、明確な殺意を持ってレキが魔神に向かっていく。


「クックック! お主、相手を間違えておらぬか?」


「いや、間違っていねぇよ。悪いが優先すべきはお前じゃない。その後ろの魔神だ」


 ラルフの試合で見た時のような『殺意』を魔神に向けていたレキだったが、ソフィがその前に立ち塞がったことで、その『殺意』が込められた視線はソフィに注がれた。


「!?」


 ソフィの身体が一瞬だけ硬直するように見えたため、その隙を狙ってレキは『魔神』の前に立つソフィを殴り飛ばそうと、右拳を思いきり振りかぶり放つ。


 先程と同じようにレキは、ソフィの身体が吹き飛んでいくだろうと思われたが、ガシリとそのレキの右拳をソフィは左手を思い切り前に突き出して止める。


 ぱぁんっ! という音を辺り一帯に響かせながら、ソフィはレキの攻撃を受け止めたのだった。


「ちっ! ならばこれならどうだ!」


 レキの目が左右違う色に発光したかと思えば、再びあの感覚がソフィを襲い始めた。


 だが、ソフィが完全にレキの固有結界魔法『創造羅移界クリエイト・トランジワールド』の影響を受けてしまう前に、こちらも()()()()()()()()()()()()()()()


 ――光は闇に、天は地に、森羅万象の流転。

 変遷する世界、それは止めようのない移ろいを示す。


 ――魔神域魔法、『転覆(カタストロフィ)』。


 『転覆(カタストロフィ)』の効果は術者の魔力の影響下に居る『全ての生物』の行動を操り反転させる。目を開けようとすれば逆に閉じられて、歩こうとすれば足は止まる。


 レキの固有結界魔法である『創造羅移界クリエイト・トランジワールド』と同様に、ソフィの固有魔法『転覆(カタストロフィ)』は、対象者に対して避けようのない絶対的な影響を与える。


 ――レキの両目が唐突に効力を失くした。彼の視界が目を閉じられた事で闇に染まったからである。


「なっ……、なにぃっ!?」


 そして()()()()()()との戦闘中に一瞬であっても、目を瞑るという行為をとるとどうなるか。それをレキはこの後思い知る事となった。


 ソフィを映す事が出来なくなったレキのその両目の前で『()』『()』『()()』と『三色のオーラ』が、左拳に集約するように纏われていく。


「さぁ、耐えてみせるがよい」


 ()()()()()()()()()()()()()()()のその恐るべき速度で振り切られたソフィの拳は、易々とレキの臓器を破壊していく。その勢いはそれで留まらずにレキの身体を強引に貫いた。


 背中からソフィの拳が見えたと同時に、レキの口から大量の血が噴出された。更にソフィの攻撃はそこで終わらず『レキ』を貫いている左手の中心『()()()()』が伴った状態で可視出来る程の魔力が膨れ上がった後に、やがて()()()()が発動された。


 ――魔神域魔法、『普遍破壊メギストゥス・デストラクション』。


代替身体(だいたいしんたい)』のビラーノの身体が爆発して肉片が飛び散った後、更に魔力のこもった余波が振動となり周囲に伝播して、まるで魔力がこもった超音波のようなものが『ビラーノ』の身体の『レキ』を再び襲う。


 そしてはじけ飛んだ肉片に振動が伝わり、震えるように揺れた後に粉々になって消滅していった。


「――!」(ソフィ、アイツの魂が飛んで行く!)


 『代替身体(だいたいしんたい)』を失って『レキ』の魂が元の身体に向かおうとする。慌てて魔神がその魂を逃さないように『結界』を張ってその場に動けないように押し留めた。


「構わぬ。そのままにしてやれ」


 ソフィの言葉に頷いた魔神は『結界』を解く。自由になったレキの魂はそのまま飛んで行き、やがてここから見えなくなった。


「あやつは『代替身体(だいたいしんたい)』でこれ程か。これは楽しみが増えたな」


 ソフィは纏っていたオーラを解除して、普段の小柄な子供の姿『通常状態』へと戻るのだった。


 ……

 ……

 ……


 ミールガルド大陸にある『クッケ』の街から近くにある『トータル』山脈にある崖下の洞窟の中でレキは目を覚ました。


 『代替身体(だいたいしんたい)』であった『ビラーノ』の身体が粉々にされた事で、レキの魂は本来の身体に戻されたのだった。


 レキは『梗桎梏病』を患った自身の本物の身体をゆっくりと起こしたかと思えば、震える拳を握りしめるのだった。


「この俺を始末しようとおもえば出来た筈だ。舐めやがって、あの野郎!」


 ギリッという音が聞こえる程に強く歯を食いしばったレキは、上手く練れなくなっている『魔力』を歯痒そうにしていたが、そこで深呼吸をして冷静さを取り戻していく。


「次だ。まともな身体を手に入れた後に、必ず貴様だけは……」


 ――『俺がこの手で必ず始末してやる』。


 ……

 ……

 ……


 こうしてこの時から『ソフィ』は、新たに『リラリオ』の支配者であった魔族の始祖『レキ・ヴェイルゴーザ』に命を狙われる事となるのであった。

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