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31.ソフィ、付きまとわれる

※加筆修正を行いました。

 ソフィ達は試合を終えた後に、試合会場からロビーの方へと歩いて行く。


 このままいつものようにディラックと合流して食事に向かおうとしていたが、会場のロビーを出たところでソフィを呼び止める声が聞こえてきた。


「おーい! 待ってくれ、ソフィ殿!」


「む?」


 急に声を掛けられたソフィは、足を止めてその場で振り返る。


 声の主は先程の試合で戦ったトンシーだったのだが、そのトンシーはソフィが足を止めたとみるや、猛スピードで猪突猛進という言葉が似合うくらいに走ってくるのだった。


「はぁっはぁっ、やっと追いついた……。突然呼び止めてすまない! うおおっっソフィ殿! 折り入って頼みがあるのだ!!」


 突然トンシーは再び彼特有の空気を醸し出しながら、その場に頭を床に擦り付けて聞く者が驚く程の大声を出し始めた。


「た、頼む! たぁの~~~む!! 俺をソフィ殿の弟子にしてくれ!」


 突然のトンシーの振る舞いに唖然とするソフィとニーアとディーダだったが、他にも見ている者が多いためにまずは、彼の頭をあげさせようとソフィが手を前に出すと、その手をガシッとトンシーに掴まれた。


「おおおお! かたじけない! この手は私を弟子にしてくれるということだな! うおおおお!! かたじけない、かたじけない!!』


「え?」


 ソフィは慌てて手を引っ込めようとするが、トンシーはガッシリとソフィの手を握りしめたまま離してくれない。


 そのトンシーの顔は、()()()()()()()()()()()()とばかりに、鬼の形相を浮かべていた。


「ちょ、ちょっと待つのだ。我はお主を弟子にするつもりは……」


 断ろうとするソフィをトンシーは最後まで喋らせない。


「ソフィ殿の武道は、私を更なる境地へと導いてくれるものだ! 武術の達人と呼ばれた私の直感なのだ! 絶対に離すものか!」


 トンシーは何を勘違いしているのか、魔法使いのソフィを武術の達人とでも思っているかのような口振りでソフィに弟子にしてくれと頼み込んでくるのだった。


「我は武道家ではなく、魔法使いなのだが……?」


 ソフィがトンシーの取り扱いに困っていると、合流する為に会場のロビーに向かっていたリーネがこの場面に出くわした。


「ちょ、ちょっとアンタ! 何やってんのよ! ソフィから離れろ!」


 リーネはソフィの手をいつまでも離そうしていないトンシーの頭に、思いきり足を振り上げた後に踵落としを決めた。


「ぐっ、ぐわあああっっ!」


 トンシーは脳天に蹴りを落とされてそのまま頭を押さえて蹲る。


 『彼は本当に武術の達人なのだろうか』とソフィはその様子を見ながら思うのだった。


 リーネが足を振り上げたためにソフィの位置からは、リーネの白の下着が丸見えだったが、わざわざ口にする事もないだろうと見なかった事にする。


「いつまでもソフィ達が合流する場所に来ないから、何かあったのかと思って迎えに来てみたら、変質者に付きまとわれていたのね。何て可哀想なソフィ……!」


 そう言ってソフィの頭を撫で始めたリーネだが、ソフィの頭を撫でられたことが嬉しかったのか、徐々に照れ笑いを浮かべ始める。


 どうやら昨日まで落ち込んでいたリーネは、いつも通りに戻ったようだった。


「うむ……。ひとまずこいつは放っておくとして、ディラックの元へ行こうではないか」


 一行は頷いてその場から離れようとするが、頭を押さえていたトンシーが再度声を掛けてきた。


「ソフィ殿、弟子にしてくれるまでは私は諦めませんからね! 今日は手合わせ感謝致す! ありがとう!」


 そう言ってトンシーはソフィに一礼すると、嬉しそうに笑いながら反対方向へと走っていった。


「あ、あいつ、一体何なのかしら……」


 リーネは厄介者を見るように、トンシーの背中に視線を送るのであった。

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