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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
リラリオの魔王編

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328/2220

319.襲われるエリス

※加筆修正を行いました。

 レアに呼ばれて『ラルグ』魔国のレアの部屋に来ていたエリスは、ようやく解放されて『レイズ』魔国に帰るところだった。


「レア様も可愛いところがありますね。あの魔人のラクスという少年に嫌われたかもしれないから、私に相談に乗って欲しいだなんて」


 どういう理由があるのかは知らないが、ラルグの魔国の()()()はどうやらいたくあの魔人の事を気に入っておいでのようだ。


 不機嫌だったレアだがエリスがレアの愚痴を聞いてやったことでだいぶ機嫌が良くなり、最後には笑顔で見送ってくれたのだった。


 エリスが暗くなる前に自国へ戻ろうとラルグ城の廊下を歩いていると、その道中の部屋から怒鳴り声が聞こえてきた。そして同時に恐ろしい程の戦力値を感じた彼女は、慌てて食堂の方へと向かうのだった。


 ……

 ……

 ……


「ここに居やがったかぁ!! てめぇら、ぶち殺してやる!!」


 スクアードを身に纏ったラクスは、一直線に若い魔族に向かって攻撃を仕掛けようとする。


「う、うわああっっ!!」


「く、くるなぁっ!」


「あわ、あわわわ……」


 三体の魔族は魔人の威圧にやられて腰を抜かしてしまう。


「殺ったぁっ!」


 ラクスは一番前にいた魔族に鋭利な爪を振り下ろす。


「お待ちなさいっ!」


 しかしそこに乱入者が現れたかと思うと、逃げ惑う三体の若い魔族の前に立ちはだかる。


 だがもう止まる事が出来ないラクスは、そのまま乱入者である『エリス』女王に自身の殺傷力の高い一撃を入れてしまうのだった。


 『身体強化』をして『淡く紅いオーラ』で身を包みこんだエリスだが、スクアードを使って殺す気で攻撃をしている魔人ラクスの一撃に耐えられる筈がなく、あっさりとエリス女王の右手をちぎり飛ばした。


「う、うぐっ……!!」


 エリスの肩口から血飛沫が上がる。


 騒ぎを聞きつけたラルグ城の衛兵達が慌てて食堂へと入ってくる。


「こ、これは……!?」


「エリス様!?」


「す、すぐに手当てを!!」


 ――衛兵たちの行動は信じられない程に早かった。


 その場に倒れているエリスを医務室へと運び始めて、他の者達はラクスを取り囲むのだった。


「き、貴様……! 魔人め……! ついに本性を現したか!!」


 魔人という種族の恐ろしさを知る魔族達は、目の前でレイズ魔国の女王が攻撃をされたことで、ラクスを『敵』と判断するのだった。


「ち、違う! 俺はそんなつもりじゃ……っ!!」


 慌てて弁論をしようとするラクスだが、次から次に入ってくるラルグ魔国の兵士達は、聞く耳を持たない。


 そして何よりエリス女王が庇った三体の魔族達が腰を抜かして倒れているのを見た兵士達は、更に言葉に拍車をかける。


「は、はやくこの魔人をひっ捕らえろ! 次から次に犠牲を出すつもりだ!」


「た、倒れているお方は、国のお偉方のご子息だぞ!?」


「さ、最初からこういうつもりだったのか、蛮族めぇっ!」


 まるで最初からこうするつもりだったかの如く、口々に魔族の兵士達は大声をあげて『ラクス』を非難するのだった。


「ち、ちくしょうっ! 違うっつってんだろうが!!」


 取り囲まれているラクスは一直線に出口へと猛突進し衛兵達を掻い潜る。だが、出口はもうすぐそこという所でラクスは動きを止めた。


「一体、何の騒ぎよぉ!」


 ラクスが動きを止めた理由――。


 それは『魔王』レアがこの場に姿を見せたからであった。


「れ、レア……」


 ラクスは泣きそうな表情を浮かべながら、この国で一番偉い王の名前を呼ぶのであった。


「レア様!! お気を付けください! そこにいる魔人が次々と我ら魔族を殺害しようと暴れております!!」


「レイズ魔国王のエリス女王もそこの魔人に殺されかけました!!」


 衛兵達の信じられない言葉にレアは目を丸くして驚く。


「エリスちゃんが……?」


「ち、違う! 違うんだレア!!話を聞いてくれ!!」


 ――普段であればレアはもう少し冷静で居られただろう。


 しかしその場にはエリスのモノと思われる腕が血だまりの中に浮かんでいる。


 そして多くの衛兵達がラクスを取り囲んで口々にラクスが暴れていると告げているのである。


 この現状で冷静に状況を見極めろと言う方が難しいだろう。


「ラクスちゃん、貴方まさか本当に……?」


 レアの目と言葉は()()()()を孕んでいた。


 そのレアの失望に染まった目を見たラクスは、何故か理由も分からずに()()()()()()()()


 ――何でこうなるんだよ!


 心の中でそう叫ぶラクスであった。


 ……

 ……

 ……

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