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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
リラリオの魔王編

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308.愛情が込められたエリスの決意

※加筆修正を行いました。

「来たわね……」


 ラルグ魔国で寛いでいたレアは大きな戦力値を持つ集団が、ヴェルマー大陸に近づいてくるのを察知してそう呟く。


 直ぐに『念話(テレパシー)』でエリス女王に知らせた後、レアはヴェルマー大陸中の魔族達を集める。魔族達は、()()()()()()()()()と戦々恐々としていた。


 しかし魔族達も何もしていなかったわけではない。レアがヴェルマー大陸の王となった後、魔族達はそれぞれが自己研鑽に励み、少しでも強くなろうと向上心をレアに見せていた。


 そしてレイズ魔国では魔法部隊という新たな戦闘編成も編み出されていた。魔人達に怯えて戦う事すら想像しえなかった魔族達が、今では戦闘意欲をみせるに至っていた。そんな様子を見ていたレアは満足そうに頷く。


 そして数刻後に魔人達がこの場に来る事を察知したレアは、それぞれの魔国王たちをラルグの会議室へと招集する。


 近隣諸国の魔国王だけではなく、ヴェルマー大陸の全ての国の王が一堂に会する。そして挨拶もそのままに、番奥の大きな椅子に座るレアが口を開く。


「貴方達よく来たわねぇ。もう気付いている事と思うけど魔人ちゃん達が、もうすぐこの大陸へ到着するわよぉ」


 レアの言葉に各国の魔国王達は、色々な表情を浮かべ始める。


 大国であるトウジン魔国王『クーティ』やレイズ魔国女王の『エリス』は、すでに覚悟を決めている為にレアの言葉に神妙に頷いている。


 しかし小国の魔国王達は、この期に及んでまだ戦いを避ける方法がないかと弱腰の態度を見せていた。その様子にレアは魔族としての矜持を持たせる必要があると考えるのだった。


「我々魔族は種族としてどれだけ優れているかを理解していない者が、まだこの場に居るようだから私が教えてあげるわねぇ?」


 そう言うとレアは椅子に深く腰掛けながら、信じられない言葉を言い放つ。


「魔人族とは私が一人で戦うから、貴方達はその様子をしっかりと見て、自分達がどれだけ優れている種族なのかを改めて考え直しなさい」


「「!?」」


 そのレアの言葉に『クーティ』や『エリス』。そして自国のフィクスにして宰相である『ベイド』までが驚きを隠せなかった。


「な、なりません! い、いけませんよ!? レア様、貴方は魔族の王なのですよ! この大陸を束ねる存在となった貴方が、たった一人で大規模の軍勢を従える魔人族と戦うなんてあってはならない!」


 エリスが焦りを見せながら、自らの主であるレアに反論する。それは反論というよりは()()()()()()()()()()()()()()()()()()に近かっただろうか。


 彼女の立場というモノを今いちど考えさせるように、それを引き合いに出して言葉を撤回させて()()()()()()()()()()()()()()()()


「あら? 私の力をまだ信用してもらえていないのかしらぁ?」


 落ち込んだ素振りを見せながら、レアは悲しそうにエリスを見る。


 しかしエリスは、椅子から立ち上がって首を横に振る。


「そんな演技をしても騙されませんよ! 貴方が強いのは理解しておりますが、それでもたった一人で、魔人の軍勢に立ち向かえるわけがないでしょう!!」


 戦争は()()()ではなく()()()()と、主張するようにエリスは声を荒げる。


「分かっていないわねぇ。確かに強くなろうとようやく決心したばかりの貴方達では、まだまだ一人でどうこうするのは難しいけどねぇ」


 そこでレアもまた椅子から立ち上がると、エリスを見ながら口を開いた。


「魔族という種族はね、強くなろうとすればどこまでも強くなれる、とても、とても、とーっても! 優れた種族なのよぉ? その証拠を私が見せてあげるといっているの! だから貴方達は私が戦うところをしっかりと見なさい!」


 最初はエリスの方を見ながら話し掛けてはいたが、最後の方は場にいる全体を見渡しながら、レアはそう言い放つのだった。


「くっ!」


 レアの言いたい事は理解は出来るが、エリスはどうしても一人で戦うと告げるレアに賛同することは出来なかった。


 しかしそれでもレアから決意が込められた視線を浴びて、歯を食いしばりながら自分の娘と同じ年頃の見た目をしたレアに泣き笑いを浮かべながら頷くのだった。


「分かりました。ですが危ないと感じたら、直ぐに私達も手を出させてくださいね? 私は貴方を絶対に失いたくないのです」


 エリス女王は仕方ないとばかりにレアの言葉を尊重しながらも、譲れない部分だけはしっかりと意思を言葉に示すのだった。


 その言葉は予想外だったレアは、少しだけ嬉しそうにしながら頷くのだった。


 そして弱腰な態度を見せていた小国の魔国王達もまた、レアの言葉に心動くものが芽生えるのであった。

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