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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
世界間戦争編

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282/2247

275.卓越したダメージ計算

※加筆修正を行いました。

 ソフィの意識を沈めて、ヌーはソフィの周囲に毒を蔓延させ続ける。一見消極的にも見えるこの作戦だが、この化け物を殺すには自分が安全を確保しながら、ゆっくりと慌てずにダメージを与え続けなければならない。


 あらゆる考察とあらゆる新魔法を研究し続けて、確実にこのソフィという存在を殺す為だけに『ヌー』は時間を費やしてきた。


 ――正しくこれは執念といえるだろう。


 アレルバレルの世界ではないソフィの事をよく知らぬ『大魔王』達連中が、今のこのヌーが行っている()()()()()()()()を見てどう思うだろうか?


 ――大魔王の身でありながら、()()()()()()と罵るだろうか?


 だがソフィという化け物を理解すれば理解していく程に、ダメージを与えるという作業は容易ではないという事に気づく事だろう。


 『最恐』の異名を持つ膨大な魔力量と戦力値を持つ、先天性の資質である『金色のオーラ』を纏う『大魔王』ヌーがここまでしてようやくこの化け物に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()を与えられるのだ。


 ――もちろんヌーには、まだまだ手はいくつも用意されている。


 ある程度のダメージ量を与える事に成功すれば、一気にそのダメージ量を増幅させる方法もある。


 だからこそ今は慌てずにソフィを確実に仕留める為に、待つ事が重要なのである。


 そしてソフィはここにきて、突如苦しみ始める。ようやく意識のないソフィ本人にダメージを自覚させられる状態に入ったようだ。


 ヌーは確かな実感をここでようやく得られた。


 数千年前の戦いではソフィに対して、ここまでダメージを与えられる事は出来なかった。確かな手応えに確かな実感。更には得られる高揚感――。


「長かったが、俺の辿った道のりは間違いではなかったようだ」


 そう言って魔力値数百億を越えるヌーは()()()()()()


 ――神域魔法、『仮初増幅(イフェメール・アンプ)』。


 ヌーが膨大な魔力を労して魔法を苦しんでいるソフィに放つ。


 ソフィの苦しみ方が変わり、一段階上の苦しみ方に変わった。


 どうやら今ヌーの放った魔法により、汚染からくるダメージが増幅されて、微々たる物であったダメージが許容範囲を越えつつあるようだ。


 しかしここで遂に、ソフィの中に眠る()()()が目を覚ます。


「う……グぬ……、グウウッッッ!」


 ヌーはその様子を見逃さず声を出す。


「どうやら奴の中で越えてはならない許容範囲を越えたようだな」


 ――大魔王は力をある程度抑えて戦う者が多い。


 世界に影響を与える程の力を無意識に使わないように、自身で強すぎる力を抑える為であったり、

 相手を嬲る趣味がある為であったりと様々な理由がある。


 そして今回はソフィの本能が、自身に脅威が迫ったと感じたからであろう。


 こうならないために『ヌー』は大きな攻撃魔法を使わずに、ここまでソフィにダメージを与えたのである。


 そして今神域魔法『仮初増幅(イフェメール・アンプ)』によって、恐ろしい速度でダメージ量が増幅されている。


 流石にここまで減らしてしまえば、ヌーの勝ちは決まったような物であろう。


「クククク! 俺の策が全て嵌ったようだな。今更対抗しようとするのは遅すぎるんだよ化け物が!」


 意識を失い正常な判断が出来ない上で、本人に自覚できない程の小さなダメージを延々と与え続けた結果、ソフィは気づかない間に取返しのつかない程のダメージを負ってしまった。


 そしてそのダメージは『増幅』の魔法の影響で一気に増やされている。


 ヌーの計算上では、あと一手で偉業を成し遂げられるところまで来たと判断する。


 ――ここで一気にヌーは『金色』のオーラを最大限に生かした極大魔法の準備に入る。


 ソフィが防衛手段に動き始めた以上は、ここからはダメージソースに遠慮する必要はない。


 一気に相手(ソフィ)の生命を奪い取る為に、これまでよりも一際大きな溜めに入るヌーであった。


 ……

 ……

 ……

※ヌーによって計算された、ソフィ崩しの手腕の回。


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