263.怒りの龍滅
※加筆修正を行いました。
大ダメージを負っているキーリだが、何とか動けるようになると慌ててミルフェンの元へ向かう。
「おい! ミルフェンしっかりしろ!」
キーリが必死にミルフェンに声を掛けるが、意識が戻る事もなく気を失ったままであった。しかし息をしている事を確認したキーリは、ひとまず胸を撫でおろす。
だが、上空でこちらを見て嗤っているヴァルテンが視界に入ったキーリは、射貫くように視線を細めると歯を食いしばりながら恨みを表面上に押し出し始める。
「ば、馬鹿に……、しやがってええっ……!」
始祖龍化で人型になっているキーリの周りを『青と『紅』だけではなく『緑色のオーラ』が少しずつ混ざっていく。
元々持っている力を無意識に使ったシスとは違い、激しい怒りによってキーリ自身が新しい力に目覚めようとしていた。
「『青』でも『紅』でもないだと……?」
嘲笑うかのようにキーリを見て嗤っていたヴァルテンは、キーリが纏っている『緑色のオーラ』を訝し気に見てそう呟いた。
キーリの使える併用のオーラは、力ある魔族と同じく『青』と『紅』の二色だけである。始祖龍化した状態のリミットいっぱいの戦力値は10億と少し。
しかし今の激しい怒りによって、二色のオーラだけではなく微かに『緑』も混ざり始めており、ヴァルテンの感じるキーリの戦力値は、更にその数値が変貌していく。
――『漏出』。
【種族:龍族 名前:キーリ(始祖龍化) 魔力値:9500万
状態:混合三色(練度低) 戦力値:30億3840万】。
「さ、さん……、30億だとぉ!? ば、馬鹿な……!!」
大魔王ヴァルテンの純粋な戦力値は3億程であり、ヴァルテンの練度での『青』のオーラを纏った時の戦力値は12億。
先程までのキーリよりは遥かに戦力値は上であったが、現在のキーリの戦力値はそんなヴァルテンを優に超える。
魔力だけはまだヴァルテンの方が上である為に『漏出』の数値化は正しく行われたが、正しく行われた事によって、絶望感をヴァルテンに抱かせてしまい精神に影響を及ぼしてしまう――。
「今度こそ粉々にしてやる!!」
「ちぃっ!」
キーリが両手に魔力を集約し始めるのを可視したヴァルテンは、慌ててその場から猛スピードで離れる。
しかし三色のオーラを纏う現在のキーリが、上昇しているのは戦力値だけではない。
――『龍呼』。
恐ろしい速度でキーリから離れ始めていた『ヴァルテン』の体が唐突に止まった。第四段階に到達しているキーリの『龍呼』が、ヴァルテンの身体に負荷をかけたのだ。
「くそ! 魔瞳の類か」
そこへキーリが集約していた魔力を開放し『龍滅』が放たれた。
始祖龍化状態のキーリの時と、現在の三色混合状態のキーリの龍滅は、その速度がまるで桁違いであった。
キーリの龍呼の所為で、身体が思うように動かないヴァルテンだが、近くに居た配下の魔王数体を『ヴァルテン』の大魔王の魔力で逆転移させる。
「!?」
ヴァルテンによって引き寄せられた魔王達数体は、迫りくる『龍滅』に巻き込まれて全員が消し飛んでしまう。
「今だ!」
――神域『時』魔法『次元防壁』。
一瞬動きを止められたヴァルテンだが、そのタイムラグを自らの配下達を盾にする事で解消して、その間に魔法の詠唱に成功させて防御魔法を発動させる。
キーリの『龍滅』を何とか別次元へ弾き飛ばす事に成功して、何とか生き永らえたヴァルテンだった。
「どこまでも腐った野郎め、次は殺す!!」
再び魔力を集約し始めるキーリに『ヴァルテン』は顔を歪める。
「ちぃっ……! これは仕方あるまい」
ヴァルテンの姿が光ったかと思うと、そのままその光に包まれながら消えた。
「! くそっ、逃げたか!」
キーリはヴァルテンの魔力を感知出来なくなった事で、この辺りから完全に消え去ったと判断して新たに行おうとしていた『龍滅』の準備を解除する。
そしてレキオンにミルフェンを任せた後、未だに同胞達と戦闘中の魔族達を滅ぼす為に掃討戦に出るキーリであった。
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