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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
九大魔王編

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252.偽大臣ルビリスVS魔王ルード

※加筆修正を行いました。

 ――同刻。アレルバレルの人間の大陸に到着したルードの目の前に、見た目が大臣のルビリスという魔族が現れた。


「ようこそ、侵略者諸君」


 ルードは音もなく突如現れたその姿に、虚を突かれたモノの直ぐに攻撃を開始する。


 所詮は人間だろうと『ルード』は敵の力を測り損ねた。


 それもその筈『九大魔王』である『ブラスト』の側近『ルード』は、戦力値だけでいえば『オーラ』などの技法を使っていない通常状態で既に1億を越える『真なる魔王』階級(クラス)の為、人間に遅れをとる事などないと、この場に現れた者を見下してしまっていたのだ。


 『真なる魔王』ルードは『淡く青い』オーラを纏い、無詠唱で魔法を唱える。


 ――超越魔法『万物の爆発(ビッグバン)』。


 キィイインという音と共に、大臣の姿をした男を目掛けて大魔法が放たれる。


 ――『真なる魔王』階級(クラス)の超越魔法である。


 完全にオーバーキルだと思われた大魔法は、ルビリスの身体を粉々に吹き飛ばす筈だった。そして大爆発が起こり偽大臣が居た場所で爆音が鳴り響く。


 ――しかし。


「貴方の魔法はまだまだ改善の余地がありますねぇ? この程度で満足をしていてはいけませんよ」


 回避をしたわけでも『絶対防御(アブソリ・デファンス)』のような防御魔法を使われたわけでもないというのに、直撃をした筈のルビリスは笑みを浮かべて何事もなく立っていた。


「貴方がたに本当の『魔法』というものを教えておいて差し上げましょう」


 そう告げると『ルビリス』はルードに向けて手を翳した。


 ――()()()()、『聖なる十字架(ホーリークロス)』。


 ルードの身体がその場に縫い付けられたかの如く動けなくなる。


 彼は驚愕しながらも何とか脱出を試みようとするが、自身の身体だというのに自分の意思通りに動かない。


「それでは、さようなら」


 ルビリスは手で十字をきると『ルード』はその場で絶命してしまうのであった。


「さて、掃除は徹底的にやらなくてはいけませんね」


 他のブラストの配下達は慌てて全員で『結界』を張り始める。


「敵が魔法を放つ準備をしている時に、悠長に結界を張るのは二流のやる事だ。あえて死を恐れずに反撃が出来る程の余力を残しながらの障壁をオススメしますよ?」


 ――()()()()追放(エクソリート)』。


 その場に居た『ブラスト』の配下数十体の周辺に青い球体が出現した。


「まぁ、反撃が出来なければ無意味ですがね」


 ルビリスが指を鳴らすと青い球体が明滅し始めた後、最後には周辺一帯を飲み込んだ。


「如何に美しく敵を葬るかを体現するとこうなります」


 自分の魔法が数十体の敵を飲み込んでいく姿を、うっとりとしたように見つめた後にルビリスは呟いた。


 ――「ああ、なんて美しい光景だ」。


 ……

 ……

 ……


 その頃ルード達に侵略するように命令をした『九大魔王』である『ブラスト』がダイス城にその姿を見せていた。


 ダイス城を守る門番達は『破壊』の大魔王の姿をその目に映しているにも拘らず、騒ぎ立てるような真似をせずに目上の上司にするような態度を見せながら道を開ける。


 すでに魔瞳『金色の目(ゴールド・アイ)』で操られている門番達は、何も不信感を抱かずに中を案内し始めるのだった。


 そしてダイス城の中に入ると門番達を外に戻らせて、ブラストは我物顔でダイス城を歩き始める。


「『大賢者』とやらは現在は城には居ないようだな。さて、ディアトロス殿は何処に居るのか」


 ブラストはディアトロスを探しながらも冷静に中の様子を探っていく。


 ここまですれ違う兵士達は人間ではなく、魔物だという事を理解した上で堂々と歩いている。


 ブラストにとって兵士達が人間だろうとそうでなかろうと全く興味がない。彼はディアトロスを助けた後、この城を吹き飛ばすつもりでいる。


 そして魔物達もブラストの『金色の目(ゴールド・アイ)』によって、上官とでも思わされている為に、ブラストが通りかかる時に頭を下げていた。


 …………


 中を歩いてどれくらい経っただろうか。


 そろそろルード達がやられてもおかしくない頃合いだと『ブラスト』は急ぎ始める。


「チッ! 無駄に広い城だな。全てぶち壊してやろうか」


 破壊の衝動に襲われながらもなんとか彼の中では、冷静な態度でディアトロスを探す。


 ――そしてようやく、魔力の残滓が残る部屋を見つけた。


 ブラストはその部屋に入ろうとするが、ドアに手をかける前に立ち止まる。鍵が掛かっているという訳ではなく、どうやら結界の類だと気づいたのであった。


 イリーガルの使い魔である『ヴァージア』程度の魔物であれば、この部屋に入ろうとしただけで、たちまち丸焦げになる事だろう。


 ブラストは『淡く青い』オーラを纏いながら、その結界に自分の魔力をぶつける。バチバチという音を立てながら結界を破壊する事に成功するのだった。


「なかなかの結界だったな」


 ブラストはそう呟きながら、部屋の中へと歩を進めるのだった。


 中はそこそこに広く、壁にはマジックアイテムの類が吊るされている。そこまで貴重な訳ではないが、あると便利な物ばかりだった。


「ほう? これは頂いておくか」


 ブラストは目についたものを次から次へと、自身の羽織っているマントの中へと無造作に放り込んでいく。


 そして一際高価そうな金庫を見つけたブラストは、鍵穴に魔力を込めて強引に破壊する。中を見ると見慣れぬマジックアイテムが入っていた。


「なんだこの宝玉は? よく分からないが、他のマジックアイテムとは比べ物にならない魔力が込められているな」


 そう言いながら宝玉を全て懐にしまい込むブラストだった。


 珍しいマジックアイテムや、使い勝手の良いマジックアイテムを拝借したブラストは、上機嫌で部屋を出るが、そこでようやく自分が何をしにここに来たのかを思い出して、浮かれていた自分に溜息を吐くのだった。


「ディアトロス殿は一体どこにいるんだ? 本当に面倒臭いな。もう城ごと吹き飛ばしてやろうか?」


 先程とは違い現実味を帯びたニュアンスでそう呟くと、ブラストはその視線を前方の壁へ動かす。


 そこは一見何もないように見えたが、その壁に『ブラスト』はどうやら違和感を感じたようである。


「また何か結界か?」


 ブラストが魔力を込めてその壁に触ると壁が崩れていき、そして壁の中に地下へと通じる階段が現れるのだった――。

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