表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
始祖龍キーリ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

233/2223

227.魔王レアの回想

※加筆修正を行いました。

 リラリオの世界でソフィと対話を果たした後、魔王レアは自らの居城のある世界『レパート』に転移して戻ってきた。


「あの強さならフルーフ様に手を掛けたのは、大魔王ソフィで間違いはなさそうねぇ……」


 自分の城の玉座に座りながら、レアはソフィとの話を思い返していた。


(何がフルーフ様をおかしくしたのは我ではないよぉ、貴方じゃなければ一体誰がフルーフ様を壊せるっていうのよ)


 古の『大魔王』フルーフは今から何千年も過去の時でさえ、現在の『大魔王』の領域にいるユファや、レインドリヒを遥かに凌ぐ強さであった。


 リラリオの神に近い最強の種族と呼ばれる龍族、その始祖龍キーリであっても『フルーフ』の前では(かす)む。


 そんなフルーフに打ち勝つ強さを持つ者など『大魔王』の領域にいる者でも限られてくる。それにある程度信憑性(しんぴょうせい)のある証言もレアは得ている。


 その証言の出処は()()()()()()()()の大魔王『ヴァルテン』である。


 彼がどうやってこの『レパート』に来たかは知らないが、魔王レアがこの世界に戻ってきた時、この世界出身の魔王『レインドリヒ』と共に、この世界を支配しようとしていた。


 この世界の支配者をフルーフ以外認めるつもりがないレアは、その反逆ともいえる行為に当然怒り狂いあっさりとレインドリヒと、ヴァルテンの軍勢を叩き潰した。


 当然『ヴァルテン』たちを死刑にしようとしたところ、奴らはレアがフルーフを信仰している事を知り、現在フルーフがどこに居てどうなっているかを交渉材料に命を助けろと言ってきた。


 レアは主の情報を喉から手が出る程に欲しかった為にこれを快諾(かいだく)


 その時にレインドリヒ達から聞かされて『アレルバレル』の世界の存在を知った。


 どうやらレアがリラリオに行くことで『概念跳躍(アルム・ノーティア)』の有用性を認めて自らアレルバレルの世界へ転移したそうだ。


 そしてアレルバレルの世界で『大魔王』と戦い、フルーフ様は敗れて壊されたらしい。


 レアは初めてその話を聞かされた時、()()()鹿()()()()と全く信用しなかった。


 自分が助かりたいからと創作話を聞かされたと思ったレアは、激昂してヴァルテンの首に手をかけた。


 しかしその時にヴァルテンは、証拠もあると一つの魔法を見せてきた。


 映像を記録する根源魔法を用いた物で『映元(リーストア)』という名の魔法である。その映像では虚ろな目をしている主、フルーフの姿が映っていた。


 根源魔法である『映元(リーストア)』を偽る事や合成等ができない為、まず間違いなく本物であった。この時レアは精神が崩壊する程の衝撃を受けた。


 レアは血走った目で『ヴァルテン』を問い質してこれをやった者の正体を暴こうとしたが、どうやらヴァルテンはそこまでは分からなかったらしく、この映像を記録した場所は『ヌー』という『大魔王』の領地だったという事しか分からなかった。


 どうやらその『アレルバレル』という世界では『大魔王』同士が戦争をしている真っ最中だったらしく、フルーフ様は運悪くそのタイミングで『アレルバレル』へ転移してしまったらしい。


 そしてそこで『大魔王』たちと戦いフルーフが何とか逃げ延びた場所が、ヌーという大魔王の領地だったのではないかと、ヴァルテンは仮説を立てたようだった。


 映像を見せられたレアだがヴァルテン達の話を完全に信用したわけではなく、この情報を元に独自に調査を続けた。


 レアは『概念跳躍(アルム・ノーティア)』の魔法を用いて単身でアレルバレルの世界へ行き『大魔王』たちを調べたりもしたが、映像にあった領地の主『ヌー』は見つけられず、そのヌーを倒したというソフィの方は見つけられたが、到底フルーフ様に敵うとは思えない程度の戦力値だった。


 決定的な証拠も見つけられず『魔王』レアは途方に暮れた。


 今出来る事は何もないと感じたレアは、いつかふらっと戻ってくる可能性を信じて数千年という間、レパートの『世界』で統治を続けた。


 そしてある時に気分を転換しようと過去に支配した世界であるリラリオに戻り、ついでにどうなっているかを確認しにいった。


 過去にレアが龍族を封印して、魔人王や精霊王等も居なくなったリラリオは、魔族と人間たちしか残っていなかった。


 そこでレアがヴェルマー大陸に移動してみると、そこでは『ラルグ』『レイズ』『トウジン』という三大国家が戦争をしている最中であった。


 だが魔王レアにとってはどうでもよく、各国の王たちの力を見ても自分が鍛えた数千年前のこの世界の配下達に比べても話にならない程に低レベルであった為、興味を失くして『レパート』に戻ろうとした。


 ――しかし戻る寸前に人間たちの大陸『ミールガルド』で高い魔力を感じた。


 現在のリラリオの平均的な戦力値を大幅に越えている存在が戦っているようだった。


 『魔王』レアは人間から覚醒した新たな『魔王』が生まれ出るのかと、少し興味を持ち漏出(サーチ)を使った。


 そこで『魔王』レアを飛び上がらせる程の衝撃を襲った。


 何と『漏出(サーチ)』で表示された名前が、アレルバレルにいる筈の『大魔王』ソフィだったのである。しかしあの大魔王ソフィにしては、あまりにも戦力値が低すぎる。


 ここまで戦力値を下げる理由が見当たらないのだ。レアが数千年前に調べに向かった『アレルバレル』で見たソフィの戦力値は8億と少しだった。


 如何に戦力値のコントロールが出来るとはいっても、倍以上も簡単に変えられる筈はない。


 通常形態で8億程度の存在がフルーフ様の到達している位階には、とても届かないと普通は思うだろう。


 そして今人間らしきと戦っている『ソフィ』の戦力値は1億に満たない。


 魔王レアは酷い混乱に陥った。


(何故、()()()()()()()()()()()()()がある? 自分を強く見せたくない意図があるのか?)


 ここがアレルバレルの世界であれば、戦力値をギリギリまで下げる行為はまだ相手を油断させたり、侮らせようとする意味もあるが、この世界の魔族達は()()()()()()()()()()()筈である。


 大魔王ソフィ程の魔族であれば、その事に直ぐに気づく事が出来る筈である。


 レパートの世界へ戻ろうとしていたレアだが、もう少し『魔王』ソフィを調べてみようという気になった。そして実際に会いに『ミールガルド』大陸へも行っても見たが、やはりフルーフ様の戦力値には到底及ばない。


 レアはこのまま経過を見守る事にした。


 ――そして決定的ともいえる瞬間がきた。


 レアがこの世界でソフィに着目してから数か月の頃の事であった。


 よく分からない塵芥(ちりあくた)みたいな戦力値の魔族に、ソフィは戦力値を落とした状態で戦い意識を失ったのである。


(は? 一体何がしたいのだ……? この魔王のやっている事の理解が全く出来ない)


 『魔王』レアから見てこのソフィという魔王は、ある程度力の強い者を見出しながら、その者に殺されたがっているように見えるのだ。


 ソフィの味わってきた『退屈』という苦行を幾千年、幾万年という時代を味わってきた事を知らないレアはもう付き合いきれないと考えて、このまま『スフィア』とかいう魔族に殺されるようであれば、さっさと自分の世界へ戻ろうと決めた。


 ――しかしその意識を失った筈のソフィから詠唱が紡がれた。


 ここで初めて『魔王』レアは『大魔王』ソフィの真の力を見た。


 まず最初に驚いたのが、戦力値1000万にも満たない状態から、一気に戦力値が4億近くまで上昇。


 そして次の瞬間にレアでさえ、身構えてしまう程の存在をこの世界に召喚したかと思うと、その戦力値は通常形態のレアでは計測ができない程の戦力値であった。


 慌ててレアは自身の『真なる力』を開放しようとするが、その一瞬の間にソフィとスフィアの勝負はついてしまった。


「くそっ……! あの半端魔族(スフィア)!! もう少し持たせなさいよぉっ!!」


 しかし一つ分かったのは、自らの通常形態である『戦力値4億』の状態のレアが『漏出(サーチ)』で測れない程の力をソフィは持っていたという事である。


(やはりこいつがフルーフ様をやったのか? 分からない、もう少し調査が必要ねぇ)


 毒づいていたレアだが、数千年という月日の後にようやくではあるが、親愛なる主を破壊した者を見つけられたと感じた。


 その喜々とした事実に『魔王』レアの意欲がとんでもなく跳ね上がったのは、容易に分かることだろう。


 ――そして龍族のキーリという存在を思い出して、彼女は今に至ったのである。

※レアの親に対する想いの強さと、執念が理解出来る回。


『ブックマークの登録』や『いいね』また、ページの一番下から『評価点』を付けていただけると作者のモチベーションが上がります。宜しければお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ