2274.足並み揃わず
「それで話を戻すが、お主も冒険者ギルドに登録しに行く事に賛成という事で良いのだな?」
「ああ。ミールガルド大陸の人間の冒険者共に興味はねぇが、てめぇの配下共やヒノエ共とやり合うのは今後を考えても有意義な事だと判断出来る。今更てめぇの配下共と殺り合うつもりはねぇが、ルールがある上で試合を行うのも悪くねぇ。その『対抗戦』とやらに出る為に『冒険者ギルド』に登録しに行ってやるよ」
今回の『対抗戦』は本来『ミールガルド』大陸との交流が主だった目的なのだが、ヌーにとってはミールガルド大陸の冒険者たちは眼中にないようで、あくまで『九大魔王』の面々やヒノエといったノックスの者達との戦闘が目的で参加を決めたようであった。
「うむ。では、早速明日にでもレイズ魔国の冒険者ギルドに向かうとしよう。イリーガル達にもすでに城で伝えておいたからな。近々あやつらも冒険者ギルドに登録に向かう筈だ」
「それは良いんだがよ、そのレイズって町の冒険者ギルドで一度登録しちまったら、もう他の町には移籍などは出来ねぇのか?」
「いや、そんな事はない筈だ。そもそも我は元々『グラン』の町で登録を行い、その後にこちらの大陸に渡る事になった後に『レイズ』所属になったのだからな……いや、しかし我の場合はディラックに頼まれて、ヴェルマー大陸で初となる『冒険者ギルド』設立の為に派遣されたようなものだからな。移籍は出来るとは思うが、その際に何かペナルティ等が発生するのかは我も定かではないな」
元々ヴェルマー大陸支部として『レイズ』魔国の冒険者ギルドに登録し直したソフィは、その辺の詳しい事情を全く覚えていなかったようである。
「……まぁ、お主もレイズ魔国で登録しても問題あるまい? 今ではこの大陸もあらゆる魔国で冒険者ギルドが増えていっておるようだが、規模的に考えても大陸第一号となったレイズ魔国と、闘技場が併設されておるトウジン魔国であろうしな」
「そのレイズとかいう国は、てめぇの配下の『災厄の大魔法使い』が居る国だったか?」
「よく覚えておったな。その通りだ」
ソフィがヌーの疑問に答える形で肯定すると、見るからに不機嫌そうな表情を浮かべ始めるのだった。
「……ミラの『煌聖の教団』と同盟を組んでいた時に、俺は『災厄の大魔法使い』とフルーフの『ガキ』を纏めて始末するつもりだったからな。色々とその町で登録するのは抵抗がある。闘技場とかいうのがある方の町で登録しても構わねぇか?」
そう言えばこの『リラリオ』の世界にヌーが姿を見せた時、レアを狙って現れていたなとソフィは思い返すのであった。
「まぁ、別に我はそれでも構わぬが、イリーガル達はレイズで登録を行うのだぞ? 何かあった時に色々と情報を共有するという意味でも同じギルドで登録しておいた方が良いのではないか?」
「ふんっ、別にてめぇらと敵対しなくなったからといって、仲間にまでなった覚えはねぇよ。あくまでてめぇと居ると色々都合が良いから一緒に居るだけだ。九大魔王の連中と足並みを揃えるつもりはねぇ」
ぴしゃりと言い放ったヌーだが、ソフィも確かにこれまでの間柄を考えれば、ヌーは何もおかしい事は言っていないなと考えるのだった。
「うむ、分かった。しかしヒノエ殿や六阿狐達はすでに『レイズ』で登録を行ってもらう事にしたのでな。その後でも構わぬか?」
「ああ、それで構わねぇよ」
「分かった。ではまた明日リビングでな」
話は決まったとばかりにソフィが立ち上がると、ヌーも頷きを見せて同時に立ち上がるのだった。
こうしてひとまずは、主だった者達の冒険者ギルド所属が決まったが、ヌーだけは当初の予定から外れて『トウジン』魔国の冒険者ギルドに登録する事に決まるのであった。
(一応明日の朝、シチョウに我の知り合いを冒険者ギルドに連れて行って登録させると話を通しておいた方が良いかもしれぬな)
ルードリヒ王国の『エイル』の一件がある為、あまり関係はないと思いつつもソフィは、明日一番にでもトウジンの冒険者ギルドにヌーを登録させるという旨を『シチョウ』に伝えようと考えるのだった。
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