2267.適材適所
カーネリー商会とその商会長である『おやじ』の護衛を行う者達が決まり、今後の予定も話し終えたソフィは仲間達を連れて屋敷の中へと入っていった。
色々と落ち着いた後という事にはなるが、ミールガルド大陸にあるグランの町の『おやじ』の屋敷に向かい、護衛を務める『クラウザー』を『おやじ』に紹介する事が決まった。
彼が『おやじ』の護衛に選ばれた理由として、普段は地中深くに姿を隠す事が出来るという点が一番の利点として挙げられる。
そして有事の際、地中深くに潜っていたとしても『クラウザー』は即座に地上へと姿を現す事を可能とし、遠距離攻撃等が行われた際にも何処から狙われたかを地中から探る事も出来るのだった。
何より表立っては『おやじ』に護衛が付いていないと、襲撃者達に思わせられる事も大きいだろう。隙を見せる事であえて油断させながら襲ってきたところを仕留められるという点も大きなポイントの一つと言えるのだった。
ソフィ達が居なくなった後、久しぶりに大きな任務を与えられた『エンペラー』達は、意気揚々と庭で仲間達と話を交わし始める。
言葉で会話する事が可能となり、これまで以上に仲間意識を芽生えさせているようで、すでに先に金色のメダルを所有していたベアも含めて、今後の事を話し合い始める配下達であった。
当然に『エンペラー』だけではなく、これまでも家族同然に過ごしてきた他の配下の魔物達も集まっており、同じ種族の者同士間で会話を行いつつ、ハウンドやデスといった『エンペラー』が種を代表として他の魔物達にも話の内容を伝えて情報を共有し始めていく。
「『クラウザー』よ、お前も重々承知している事とは思うが、お前の護衛対象の人間は、ソフィ様がいつも大恩人だと仰られている『おやじ』殿だ。万が一にも下手を打つような事のないようにな」
「――ハッ! 分かっています。この身に代えても必ず『おやじ』殿を守り抜きますのでご安心を」
そう言って『クラウザー』は、この屋敷に居る魔物達のボスである『ベア』に恭しく頭を垂れるのだった。
今では『エンペラー』全員が『戦力値』3億を超える『真なる魔王』クラスの魔物達ではあるが、それでもクラウザー達が『ロード』の頃からすでに『ベア』は『魔王』の領域に君臨し、ソフィの配下となった魔物達全員をずっと陰ながら支えて面倒を見てきた功労者である。
屋敷に居る魔物達は他の『エンペラー』を含めて全員が、このベアをボスとして認めているのであった。
勿論彼らの主はソフィで間違いないのだが、そのソフィに何か重要な事を伝えるとなった時、まず最初に話を通すのがこの『ベア』なのである。
「うむ。その心意気があれば大丈夫だな。しかしソフィ様も仰られていたが、手に負えない相手が現れた時には直ぐに『念話』でソフィ様や仲間達に知らせるのだ。戦って負ける事は決して恥ずべき事ではない。それよりもみっともないという感情を持ってしまう事こそが恥ずべき事なのだ。これは『おやじ』殿の護衛を任された『クラウザー』だけではなく、カーネリー商会の護衛を任された他の者達にも通ずる話だ。我々の主は大魔王ソフィ様なのだ。決してソフィ様の名を汚す事のないようにな」
「「ははっ!!」」
ベアの言葉に『エンペラー』の面々だけではなく、庭に居る全ての魔物達も同調するかのように頭を下げるのだった。
これまでと比較にもならない程に大きな力を有する事になった『エンペラー』達だが、その全員が力に溺れるような事もなく、これまで通りに……否、これまで以上に気を引き締め直して、そして新たな信念を持ったようであった。
……
……
……
屋敷のリビングに戻ってきた面々だが、まず最初にリーネが台所に向かいながら『ベア』達の食事の準備を始めていく。
そしてそれを見た六阿狐が直ぐに後に続き、ヒノエもついて行こうとしたのだが、リーネに『貴女はソフィ達の話の相手をしてあげて』と告げられてしまい、部屋に戻されるのだった。
「ま、適材適所って奴だな……」
リーネはすでにヒノエがソフィだけではなく、ヌーとも上手く接する事が出来るという事を理解しているのだろう。
そして役割を仰せ付かったヒノエもまた、直ぐにリーネの言わんとしている事に気づいて、無言で居るソフィ達の元に向かうのであった。
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