2266.ソフィの配下の魔物達と護衛役
ソフィの『階級進化』によって、配下の魔物達はさらに強さを増した。
元々『ロード』であった者達も『エンペラー』という新たなクラスになり、単に戦力値や魔力値だけではなく、種としての持つ『特性』等にも磨きがかかり、これまでよりも更に出来る事は増えた事だろう。
例を挙げるならば、ソフィからキラーという名を付けられた『キラービー』の持つ毒針は、これまでは対象を一時的に麻痺状態にさせて動けなくするといった攻撃を得意としていたが、クラスが最終形にまで上がった事により、その麻痺の効力は更に強いモノとなり、加えて一刺しで麻痺以外に殺傷能力を伴う毒を付与したり、更に神経細胞や神経系に影響を与えるような副次的な作用も併用させる事も可能になった。
そして次にクラウザーワームの『クラウザー』もまた、地面の中を自分のテリトリーとして攻撃を加えることをこれまでも可能としていたが、クラスが上がった事によって、広範囲に流砂を生み出して相手を強引に呑み込む事も可能となった。
こうしたように、副次的な攻撃影響を交えながら『エンペラー』クラスの仲間達と連携を組む事で、過去の龍族戦の時のように、空から地へと幅広く攻撃範囲領域が広まり、各々が持つ特性を活かしながら確実に相手を仕留められる手段や手立てが増加したというわけである。
もはやソフィの配下の魔物達が、正式な『討伐指定ランク』で表記されるような事にでもなれば、冒険者ギルド至上で前代未聞の等級に該当する事だろう。
「では、そうだな……。ベアはこれまで通りに屋敷でリーネ達の護衛を頼むとしよう。次に『おやじ』と『カーネリー商会』の護衛役についてだが、今回クラスアップした者達全員で一チームとして動いてもらう。そこで『キラー』に『デス』よ、お主には護衛チームのリーダーとサブリーダー役を務めてもらうとしよう。空から商会に近づく良からぬ輩の動向などを窺い、逐一チームの者達に指示を出すのだ。今のお主らであればすでに『念話』で波長を合わせる事が可能だろう。後は『サーベル』と『ハウンド』と『ベイル』。お主らは常に商会に身を置き、守衛に備えてもらう。ひとまず向こうについたら『おやじ』の指示に従うのだ。後は『クラウザー』、お主は『おやじ』の専属の護衛役を担ってもらう。何があろうと『おやじ』の身を守るのだ。そして何かあれば我にも伝令する事を義務付ける。その為にお主らにはベアと同様に『金色のメダル』を渡しておく。魔王軍の者達に渡しておるものとは意味合いが少し異なるが、これで人間たちと意思の疎通が図れる筈だ」
そう言ってソフィが右手に『魔力』を集約させると、早速手の中に人数分の『金色のメダル』が出現を始めるのだった。
魔物達はソフィから『金色のメダル』を受け取ると、全員が目を輝かせながら嬉しそうにしていた。
「ふふっ、良かったな」
ボスであるベアがそう言うと『エンペラー』の面々は、何度も頭を縦に振って嬉しさを露にするのだった。
…………
その後、ソフィはテストを兼ねて『金色のメダル』を手にした『エンペラー』の面々一体ずつと『念話』での会話を試みて、緊急時に意思の疎通が図れるかの確認を行うのであった。
『念話』は波長が合っていないと、簡単な単語を使った会話すらも行う事が難しいのだが、どうやらこの場に居る者達はソフィに心から忠誠を誓っている為に、あっさりと全員がソフィと『念話』での会話が行えたのだった。
「これで一通りの準備は整った。まずは『おやじ』の屋敷に『クラウザー』を連れて行くとしよう。先程も言ったと思うがお主には『おやじ』の護衛を務めてもらう事になる。しかし最初に言っておくが無理はするな。危機に瀕した時にお主の力だけで守るのは難しいと感じた時は、直ぐに我に伝えるのだぞ?」
「はい、分かりました。お任せください!」
これまで頷きを返す事で相槌を打つぐらいしか出来なかった『クラウザー』だが、今回はソフィと問題なく会話を行ってみせるのだった。
クラウザーの返事を聞いたソフィは満足そうに頷き、そしてソフィと会話を行ってみせたクラウザーに、他の『エンペラー』の面々は羨望の目を向けるのだった。
どうやら主と会話を成立させた事を羨ましく思ったのだろう。これまではいくらソフィを主と慕っていても喋る事は叶わなかったのだ。それが今では自分の想いをしっかりと言葉にする事が出来て、それをソフィに伝えられる事が可能になったのだから、先程の『念話』での会話ではなく、しっかりと言葉にして伝えたいと配下の『エンペラー』達は考えたようである。
「では、今度ミールガルド大陸に行く時にでも『クラウザー』と『グラン』の屋敷に向かう事にしよう。商会の護衛を担う者達は、まだ屋敷で待機していてもらう。我が今度『ルードリヒ』王国に向かう時にまた、共に『カーネリー商会』について来てもらうが、それで良いな?」
「「御意!」」
ソフィに返事を行った『エンペラー』達は各々が感動を分かち合うように、仲間同士で顔を見合わせて満足そうに頷き合うのであった。
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