2263.階級進化
「『名付け』を行うつもりか……?」
ソフィが隣で考え始めたのをずっと見ていたヌーは、確信した様子でそう言葉を掛けてくるのだった。
「む? いや、すでに『名付け』自体は行っておるのだ。すでに『名付け』を行った魔物達の『階級進化』を検討していたのだ」
――『階級進化』とは生み出された魔物や、名付けが行われた魔物のクラスを強制的に引き上げる『大魔王』の『魔』の概念技法である。
これが行われる事による直接的な変化は、対象となる魔物達の『戦力値』や『魔力値』の大幅な上昇が見込まれる事となる。
そして間接的な変化は、その種となる魔物達の形態が変化が行われて、大魔王と呼ばれる力を持った魔族達のように特別な強さを得る事が可能になる。
具体的にはハウンドやキラーといったソフィ達の魔物が、過去にソフィに『名付け』を行われた事で大幅に強化された際、魔物達のクラスが一段階上向きに変化された。
彼らは単なる『名付け』だけで『ロード』という階級進化がすでに行われたが、本来は魔王が『名付け』を行うだけで『階級進化』が行われることは稀であり、通常は本来持っていた力が強くなったり、魔力が高まったりと少しの強化が常であるのだが、ソフィという魔族は『大魔王』として規格外すぎたが故に、単なる『名付け』だけですでに配下達の一部は、その爆発的な『戦力値』の上昇に伴った強制的な『階級進化』が行われてしまったというわけである。
そして今回ソフィが新たに決意した事とは、アレルバレルの世界でヌー達を襲撃した『存在』ともある程度戦えるように、本来の『階級進化』の概念技法を魔物達に行おうというものであった。
『名付け』による対象となる魔物達の強さの上昇は、その時のソフィの形態の『魔力』に左右される代物であるが、この『階級進化』は『技法』の発動に必要な『魔力』が明確に定められている為、ソフィという規格外の『大魔王』が使う事によって、その対象となる魔物達は『名付け』の時とは比べ物にならない『進化』が行われる事となる。
――まず間違いなく、その対象となる個体のクラスは、最終形に到達してしまう事だろう。
勿論、魔物達の種となる個体のクラスが最終形となったからといって、その魔物が研鑽を怠ってしまえば、大した強さにはならないだろう。
しかしソフィを主と決めた配下の者達の中に、そんな体たらくな魔物達は『存在しない』。
現段階でもすでに『名付け』が行われた『ロード』達は、主の為に強くなろうと研鑽を積み続けているのだ。そんな彼らが『階級進化』によってクラスの最終形に達する事になれば、間違いなく同個体の中の『最上位』と呼べる『存在』になる事だろう。
明確に一般的な魔物達の最終形とは、全く異なる『大魔王ソフィ』専属の魔物達の誕生は避けられない。
つまり、カーネリー商会の『護衛』となるこのソフィ達の魔物達を襲おうと言うのであれば、ミールガルド大陸やヴェルマー大陸に生息する一般的な魔物達はおろか、アレルバレルの世界に居る魔族達を最低限、複数体は連れて来なければ話にもならなくなる。
それは最早、いち商会である筈の『カーネリー商会』が、今後は『国家』レベルの戦力に匹敵するという事と同義となる。
…………
コーダでの食事を済ませたソフィ達は店主に食事の礼を告げた後、早速『おやじ』を含めた『カーネリー商会』の護衛を行う者達を選定する為に自分の屋敷に戻るのだった。
ソフィが屋敷に戻ると、庭に居た魔物達全員が一斉にソフィ達を出迎えようと集まってくる。
いつものようにソフィに撫でられる事に期待していた魔物達だったが、そんなソフィが真剣な表情を浮かべていた事で、ベアやロードといったソフィの配下の代表たる魔物達が、周りの者達がソフィに近づかないように制止をかけるのだった。
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