2257.久しぶりに会う仲間達との交流
「では、そろそろ戻るとしよう。レルバノンよ、エイルの一件だが、向かう時期の日程など詳細が決まったらまた連絡する」
「ええ、分かりました。ご連絡頂けるまで何とか持たせておきますので、よろしくお願いします」
そう言ってレルバノンは、ソフィに向けて深々と頭を下げるのだった。
…………
そしてレルバノンの案内で中庭まで戻って来たソフィだったが、そこにはすでに帰る支度を終えたヌーが、テアと共にソフィ達を待っていたのだった。
「ようやく出てきやがったか」
ソフィがラルグの塔から出て来るところを見たヌーは、ソフィの元にゆっくりと近づきながら声を掛けるのだった。
「もうそのように歩いて大丈夫なのか?」
「ああ。今回は『魔力枯渇』を引き起こして意識を失ったわけじゃねぇからな。呪法の影響も特に残ってねぇしもう何も問題はねぇよ」
どうやら本当に何の後遺症もないようであり、無事に魔力も戻りかけている様子のヌーは、顔色の方も良くなっていた。
「……こうして当たり前のようにソフィに話し掛けてくるとはな。昔のお主をよく知る身としてはとてもではないが同一人物とは思えぬな」
ソフィとヌーが当たり前のように会話をしているのを見ていたディアトロスは、信じられないとばかりにそう告げるのだった。
「ふんっ、コイツの事はいずれは俺の手で倒さなければならねぇ相手なのは変わらねぇが、何が何でも殺さなければならねぇ『敵』ってわけじゃなくなったからな。それよりソフィ、まだ何か用事は残っていやがんのか?」
ディアトロスにそう告げた後、ヌーはそう言ってソフィに声を掛けるのだった。
「いや、当初の予定も済んだところであるし、そろそろ屋敷に戻ろうかと思っていたところだが……、何かあるのか?」
「ああ。昨日言っていた通り、最高に美味い飯をてめぇらに食わせてやろうと思ってな。別に屋敷で魚料理をふるまってやってもいいが、紹介したい店があんだよ。用事が終わったんなら、屋敷の者共を連れて俺について来いや」
「そう言えば、お主は昨晩もそんな事を言っていたな。では一度屋敷に戻った後に改めて向かうという事で良いか?」
「それで構わねぇ。流石にてめぇの配下の魔物共全員を連れては行けねぇからな。残していく連中の飯はてめぇらで用意しておけ」
余程にソフィに食べさせたい飯屋があるらしく、普段あまり見る事のないヌーのそわそわとした様子を眺める事が出来た一行であった。
(ほら、ディアトロス様。説明した通り、本当に別人のようでしょう?)
(……ああ。一体ノックスの世界で何があったかは知らぬが、とてもあの『最恐』の大魔王と呼ばれていたヌーとは思えぬ。呪法や魔瞳を用いられて操られていると言われても信じてしまいそうじゃ)
そう言って魔族の耳でも聴こえないくらいの小声で、ヌーの事を話し合うエイネとディアトロスであった。
今回アレルバレルからこちらにやってきた『九大魔王』の面々とは異なり、ディアトロスは前にこの世界にやってきてからずっとラルグ魔国に居た為、すでにエイネ達から話で聞いてはいたのだが、実際にこうしてソフィと親しげに喋るヌーを見て、大袈裟でも何でもなかったと改めて驚いた様子を見せるのだった。
「ではそういう事なのでな、我達はそろそろ屋敷に戻る。当面の間はまだこの世界に居るが、話していた通りに数日後には我達はアレルバレルに戻る。それまでに何かあれば、早めに『念話』で伝えてくれ」
ソフィがこの場に残る『九大魔王』の面々にそう告げると、彼らは大きく頷くのだった。
そんな話をソフィ達がしていると、シギン達やラルフ達といった全員が、ソフィ達を見送ろうとこの場に再び顔を見せ始めるのだった。
当然その中にはサイヨウの姿もあり、テアは少しだけむっとした表情を浮かべてはいたが、前回のように大鎌を具現化したり、漆黒のオーラを纏う事もなかった。
「ソフィ殿、もう帰られるのか」
「うむ。こやつとこの後に約束があるのでな。しかしまた別世界に向かう前にここに来る事になるだろう。その時はまたよろしく頼む」
「もちろんだ。それに今回は本当にヌー殿に迷惑を掛けてしまった。改めて謝罪を行っておく。すまなかった」
シギンがそう言ってサイヨウの肩を叩きながら謝罪を行うと、サイヨウもヌーに向けて頭を下げるのだった。
「事情はもう聞いている。それに負けたのは俺の実力不足が原因だったんだ。謝罪はもういらねぇよ。それに謝罪をするくれぇなら、俺に何か『呪法』の対抗に役立つ策を教えやがれ」
「……ふむ。確かにお主はある程度下地は出来ているようであるし、今回真鵺の『呪い』を受けた事も、経験するという意味では決して悪い事ばかりではなかった筈だ。そんな直ぐに抵抗力が身に付くというわけではないが、上位の『呪い』に対しての心構えぐらいは身に付いた事だろう。次に来る時までに色々と役立つ助言を含めて教えられるように考えておこう」
「ああ……。決戦を行う前にソフィと共にまたここに来る。その時に教えてくれ」
「分かった、約束しよう」
「その時は小生も協力しよう。と言っても真鵺を出すわけにはいかぬが……まぁ、小生でもお主の相手になるくらいは出来る筈だ」
「ふんっ、精々利用させてもらう」
「クックック、ではそろそろ行くとしようか」
「ええ、そうね」
リーネの顔を見ながらソフィがそう言うと、彼女も笑みを浮かべて頷くのだった。
「それでは皆、また会おう」
ソフィがそう言うと、九大魔王の面々やラルフ達が次々にソフィに別れの挨拶をかけてくる。
それを聞き見届けた後にソフィは『高等移動呪文』を使い、セグンスにある屋敷へと戻って行くのだった。
――こうしてソフィは、久しぶりに会う仲間達との交流を無事に終えたのであった。
……
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『交差する思惑編』 完。
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